米、イスラエル「国際法違反」断定せず 武器カード温存
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1114Q0R10C24A5000000/
『2024年5月11日 19:23
【ワシントン=坂口幸裕】米政府は10日、パレスチナ自治区ガザでイスラエルが米国から供与された武器を国際人道法に違反して使用していると「判断するのが妥当だ」とする報告書をまとめた。一方、国際法違反があったとは断定せず、武器供与停止のカードは温存した。
米政府は2月、米国から武器支援を受けている国に国際法を順守して使っていることを示す「信頼できる保証」の提出を義務付けた。国務省や国防総省が国際人権法…
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『国務省や国防総省が国際人権法や米国内法に抵触している事実を確認すれば、イスラエルへの武器供与の一時停止を含む是正措置を検討すると定める。
米国務省は10日、米連邦議会に報告書を提出した。2023年10月以降のガザ攻撃でイスラエル軍により「国際人道法の義務に反して使用された事例があると判断するのが妥当だ」と指摘。「同法の順守に懸念を抱かせるような事件に関与している可能性が高い」と提起した。
国際法違反があったと結論づけるのは避けた。イスラム組織ハマスが民間人を人間の盾に利用するなど「紛争の性質や現地に米政府職員がいないことを考慮すると、決定的な調査結果に至るのは難しい」と明記した。
「イスラエルは米国製の武器が国際法違反とされる行動に使われたかどうか検証するための完全な情報を共有していない」と説明。民間犠牲者が出た事件などで米国の装備品が使用されたのか問いただしても「限られた情報しか提供されていない」と唱えた。
イスラエルが国際法に違反した可能性を強くにじませながら情報不足を理由に断定を避けた背景には、「軍事支援の縮小」というカードを温存したい米政府の思惑が透ける。
バイデン米大統領はイスラエルによるガザ最南部ラファへの大規模な地上侵攻に強く反対し、強行すれば武器供与を大幅に制限すると警告してきた。いまカードを切れば、イスラエルのラファ侵攻を止める手段を失うおそれがある。
ストックホルム国際平和研究所によると、19〜23年の間にイスラエルが海外から調達した武器の7割が米国からだった。米国の武器供与縮小はイスラエルの安全保障にとって痛手となる。
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米国はラファでイスラエルが投下する可能性がある2000ポンド(約900キログラム)の爆弾などの一部輸送を停止した。「他の武器の停止も検討している」(国務省のミラー報道官)という。カービー米大統領補佐官は「イスラエルは選択しなければならない」と迫った。』