インドネシアが開発中の新たな首都「ヌサンタラ」とは

世界最速で沈む巨大都市ジャカルタを離れ… インドネシアが開発中の新たな首都「ヌサンタラ」とは
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『George Glover [原文] (翻訳、編集:山口佳美)
May. 07, 2024, 10:30 AM 国際22,933
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ヌサンタラ

ヌサンタラで進む建設作業。

Firdaus Wajidi/Anadolu/Getty Images

インドネシアはその首都をジャカルタからヌサンタラに移転する方針だ。
新しい都市の建設にかかる費用は350億ドルで、2045年の完成を予定している。
ジャカルタは地盤沈没の危機に瀕していて、気候危機が首都移転につながった。
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ジャワ島の北西部チリウン川の河口に位置するインドネシアの首都ジャカルタ。

人口約1060万人、都市圏人口は約3000万人のインドネシア最大の都市だ。そして、ジャカルタの約40%が海面よりも低い位置に沈んでいる。

インドネシア政府は、首都をカリマンタン島の東海岸に建設中の新都市ヌサンタラに移転する方針だ。

新しい都市の建設にかかる費用は350億ドル(約5兆5000億円)で、2045年の完成を予定している。ただ、10月の次の大統領就任式までに約6000人の政府職員が移住する見込みだ。
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インドネシア、地盤沈下の進むジャカルタから森林破壊の進むカリマンタンに首都移転へ
首都移転はこれが世界初ではない。ブラジルは1960年にリオ・デ・ジャネイロからブラジリアに、ナイジェリアは1991年にラゴスからアブジャに首都を移した。

しかし、気候危機が首都移転につながったのは今回が初めてだ。近年、海面上昇によってジャカルタは”世界最速で沈む巨大都市”となり、インドネシア政府は首都移転を決めた。
ヌサンタラについて、詳しく見ていこう。

新たな始まり
ジョコ大統領

インドネシアのジョコ大統領。

Getty Images

2019年8月、インドネシアのジョコ大統領はジャカルタからヌサンタラに首都を移転させる計画を承認した。

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カリマンタン東部のこの地が選ばれたのは、海に近く、地震や津波、火山噴火のリスクが比較的低いからだった。

海面下

Donal Husni/NurPhoto/Getty Images

ジャカルタにあるこのモスクは、海面上昇の影響を受けている。地下水をくみ上げ過ぎたことで、地盤沈下のペースは年間最大で約15センチにも達し、今ではジャカルタの40%が海面よりも低い位置にある。

環境問題の専門家は、現在のペースで地盤沈下が続けば、2050年までにジャカルタの3分の1が水没すると警鐘を鳴らしている。

インドネシア政府もジャカルタの洪水対策に数百億ドルを費やしている。

洪水のリスク
地図

Earth Observatory/NASA

NASAやその提携機関の研究者たちは、ジャカルタで洪水のリスクが高い地域を特定するために、2020年のデータを使ってこの地図を作成した。

「ヌサンタラ」は大雑把に訳すと「外側の島々」
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ヌサンタラはジョコ大統領の地政学的ビジョン、群島国家としてのインドネシアの一体性を反映するべく選ばれた地だ。インドネシアの人口2億7600万人は、1万7000以上の島々で暮らしている。

ヌサンタラは世界最大の島、カリマンタン(ボルネオ)にある
カリマンタン

yusnizam/ Getty Images

カリマンタン島(ボルネオ島)は1億4千万年前から存在する熱帯雨林で知られ、ボルネオオランウータンをはじめとする絶滅危惧種の在来種が生息している。

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この島の約4分の3がインドネシア領で、残りをマレーシア領とブルネイ領が占めている。カリマンタン島の総人口は約2300万人だ。

2022年7月、建設が始まる
ヌサンタラ

建設中のヌサンタラ。

Firdaus Wajidi/Anadolu/Getty Images

ジョコ大統領はヌサンタラの建設に約10万人の労働者を送り込み、建設作業が進むにつれ、その数は15~20万人に増えた。

2022年4月時点のヌサンタラの様子がこちら
ヌサンタラ

Earth Observatory/NASA

この衛星画像はランドサット9号に搭載されているOLI-2によって撮影された。

そして、これが2024年2月時点のヌサンタラの様子だ
ヌサンタラ

Earth Observatory/NASA

政府施設やその他の居住施設を建設するため、2022年から森に道路網が整備され始めた。プロジェクトの公式サイトによると、当初の人口は約50万人と見込まれている。

インドネシア政府はヌサンタラを「100%グリーン」にすると約束
当局は、ヌサンタラは2045年までに使用電力を再生可能エネルギーのみで賄う「グリーンで歩きやすい」大都市になるとしている。

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新都市の開発には50メガワットの太陽光発電所の建設計画が含まれ、2029年までに電気自動車のみを許可することを目指している。

このプロジェクトには”ビッグネーム”も参加
トニー・ブレア

Tony Blair Institute

イギリスのトニー・ブレア元首相とアブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領は、いずれもヌサンタラの運営委員会のメンバーだ。2023年10月にはトニー・ブレア研究所がヌサンタラに研究センターを建設する契約を結んだ。

ただ、その資金がどこから来るのかは明らかでない

孫正義

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

新しい都市の建設にかかる費用は約350億ドルと見込まれているものの、インドネシア政府が提供を約束しているのはこのうちの約20%のみで、残りの資金の確保に苦労している。2022年3月、ソフトバンクはこのプロジェクトへの出資を見送った。 』