ウクライナ軍とロシア軍は兵士補充で格差、愛国的動機による補充は有限

ウクライナ軍とロシア軍は兵士補充で格差、愛国的動機による補充は有限
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/there-is-a-disparity-between-the-ukrainian-and-russian-armies-in-terms-of-soldier-recruitment-and-patriotic-motivated-recruitment-is-limited/

『kyiv Independentは「ロシア軍は消耗した兵士の補充に困っておらず、ウクライナ軍は兵士の消耗と補充に苦しんでいる」「ブトゥソフ氏は予備戦力の兵士らが適切な訓練や支援を受けていないと指摘したが、これは本紙が兵士から聞いた話と一致する」と報じた。
参考:Smelling weakness, Russia presses advantage in Donetsk Oblast

まもなく発効する新しい動員法の下で大規模な追加動員が行われても、直ぐに兵士不足が緩和されるわけではない

“ロシア軍はチャシブ・ヤールへの攻撃を開始し、同時にコンスタンチノフカ~クラマトルスクの補給路を遮断するためアウディーイウカ方面から前線をじわじわと押し上げている。

チャシブ・ヤールはコンスタンチノフカの玄関口であり、ウクライナ軍の重要な中継拠点として機能してきた大きな街だ。カーネギー基金のマイケル・コフマン氏は「この地域の主要な中継(兵站)拠点に迫ることでドネツク州全体の防衛を困難にさせるのがロシア軍の目的だ」と述べた”

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

“ロシア軍はアウディーイウカ方面のオチェレティネを占領することに成功し、窮地に陥った我が軍は幾つかの集落から撤退した。

ロシア軍の致命的な突破を防いだとは言え、この方向のウクライナ軍部隊は苦戦を強いられている。

弾薬や物資の欠乏、慢性的な兵士不足、部隊によっては適切な訓練、実戦経験、組織化の欠如が見られ、参謀本部や政府からの十分な支援や明確な計画がないと訴える声もある”
“まだ最終的な結果は不明だが、コフマン氏は「ロシア軍も大きな突破口をこじ開けるのに十分な戦力がないため『現在の勢いを維持できない』というのが一般的な見方だ。

しかし、少しづつでも前進を続ければ主要な中継拠点や補給路を危険にさらすことは可能だ。問題はロシア軍が突破口を開くかどうかではなく、ウクライナが直面している問題がどれだけ深刻で、戦力を安定させるのにどれだけ時間がかかるかだ」と述べた”

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

“Black Bird Groupのパシ・パロイネン氏も「恐らくロシア軍は線路沿い地雷がないルートを発見し、消耗した第47旅団と第115旅団の交代が行われている最中に攻撃を開始した可能性が高く、ロシア軍は短期間でオチェレティネを含む複数の拠点を占領した。

現在もロシア軍はウクライナ軍が守る陣地や拠点を迂回して側面から攻撃を仕掛けようとしている。

これはウクライナ軍に新たな流血を強いて負担を大きくさせるためだ」と述べ、ロシア軍はポクロウシクとコンスタンチノフカを結ぶ幹線道路(T0504)に最短コースで向っているらしい”

“ウクライナ軍のアドバイザーを務める英国のグレン・グラント元中佐も「ウクライナ軍は兵士と火力が不足しているため現在の戦場にはスペースが存在する」

「欧米の支援から得られるものだけでは止血にしかならず外科手術が必要だ=前線維持以上のことをするには新たな追加弾薬を送る必要があるという意味」と述べたが、ウクライナ軍は戦闘能力は内部問題によっても妨げられており、コフマン氏は「部隊構造、指揮統制、部隊観の連携に問題がある」と指摘した”

出典:Сухопутні війська ЗС України

“これはお馴染みの問題で目新しいものではない。多くの軍事的決定は各旅団レベルで行われるため能力や装備もバラバラで、前線で塹壕を掘る機材しか持っていない旅団もある。

訓練内容や組織的支援についても部隊毎に異なり、アウディーイウカ方面にローテーションとして入ってきた第115旅団は2022年3月に創設された部隊の1つだ。

ジャーナリストのブトゥソフ氏も「第115旅団は部隊単位で戦うための訓練を受けていなかった」「政府や軍は戦場に送り出すための支援を十分行わなかった」と述べ、この指摘はkyiv Independentが第110旅団等の兵士から聞いた話と一致する”

“ロシア軍は消耗した兵士の補充に困っていないが、パロイネン氏はアウディーイウカ方面のウクライナ軍について「一部部隊は数個大隊分の戦力しかなく、残りの部隊は多大な死傷者を出しているため統合するの妥当だ」と指摘し、kyiv Independentも「ウクライナ軍は兵士の消耗と補充に苦しんでいる」

「これを解決するには侵攻初期に国内を席巻した愛国的動機が有限であるという問題にぶつかるだろう」

「総司令官の交代、動員スキャンダル、そして公表された部隊の状況は兵士補充に殆ど役にたっていない」と述べた”

出典:Сухопутні війська ЗС України

現在も小規模な動員が続いているのかどうかは不明だが、まもなく発効する新しい動員法の下で大規模な追加動員が行われても直ぐに兵士不足が緩和されるわけではない。

動員した兵士を実戦投入するには何ヶ月(海外で訓練を受ける場合には半年程度)も訓練を行う必要があり、お馴染みの失敗を繰り返せば無駄に命が失われるだけで、追加動員による兵士不足の緩和は当分先になると理解しておくのが妥当だろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 67  』

『 い
2024年 5月 06日

返信 引用 

ウクライナやロシアの戦争におけるビッグデータの活用状況って、どれだけ進んでいるんでしょうね。

人的資源、兵站(兵士、兵器、弾薬、燃料、食料、医薬品等)、敵戦力情報、サイバー、情報戦にかかる情報が活用でき、分析可能な状態であればより戦争全体の最適化に近づけるだろけど、ウクライナは把握出来ていない自軍兵士がいるって問題意識を持っているくらいだから、人的資源管理はまだまだなんでしょうね。

他方で自衛隊でも正規兵(階級、所属、所在、専門、訓練の状況等)の人的資源管理が軍種を超えて統合的に行われているんでしょうかね。
7

    D-day
    2024年 5月 06日
    返信 引用 

おそらくされていません。

特にウクライナからのガセネタや水増しがニュースになり、それに基いてビッグデータの情報としていけば蓄積されるのでは?

なのでシンクタンクなどの発表や予測すらも現地からの簡易的なSNSの報告に遅れるか外れるかしていると思われます。

もっとも政治的理由で外部には出さない、歪曲するとかは別次元の話です。
13
    Easy
    2024年 5月 06日
    返信 引用 

一時期、ビッグデータやネットワーク応用のシステムが、戦場のUber みたいな感じでもてはやされたりしてましたが。

弱点として、「端末がロシアに奪われて、ウクライナ側の情報がロシアに筒抜け」これが非常に防ぎにくいんです。特に負けている時は陣地が敵に奪われて、端末と捕虜が取られることが増えます。

また、偽装端末による「敵の大群を発見!」などの偽情報による撹乱も悩みの種です。情報の投稿を強く制限すると、今度はネットワークによる広く即時の情報共有というメリットが失われてしまいます。

なので、今ではさほど開戦時ほどのセンセーショナルな効果は見られません。

むしろ,ロシアがやってる「現場単位での割とローテクで人間関係に基づいた情報共有」の方が機能してしまっているのが現状ですね。
21 』

『 なな
2024年 5月 06日

返信 引用 

兵器数だけではなく防衛陣地の質もウクライナ軍とロシア軍で雲泥の差が有るみたいです。
ウクライナ軍の防衛陣地は兵士が単にスコップを作って掘っただけの深さも足りず補強もされていないタダの溝で、
雨が降っただけでも崩れてしまい陣地を維持できず放棄される例が多数あるそうです。

対するロシア軍の陣地は深く補強もされており、地下道や兵士たちが生活するスペースまで作られ長期間の戦闘に耐えうる作りになっていて、ロシア軍の陣地を占領したウクライナ兵達に絶望感を与えています。

兵器供与でカッコイイ西側兵器で武装しガワだけ揃えていたとしてもタダのハリボテに過ぎません、こういう地味な部分での差こそ戦闘の勝敗において重要なのではないかと思えます。
38

    Easy
    2024年 5月 06日
    返信 引用 

非常に皮肉なことに,ロシアが作ったラボティーノの塹壕が非常に頑健でロシアですら攻めあぐねているところから見て、実際そうなんでしょうね。
陸戦の本質は土木と兵站、なんですよ。
30 』