「完全に失敗」の対ロシア制裁に、新たな手段 中国経由の抜け道封じに一定の成果、さらなる課題も

「完全に失敗」の対ロシア制裁に、新たな手段 中国経由の抜け道封じに一定の成果、さらなる課題も
https://nordot.app/1155067757000688052?c=39546741839462401

『2024/05/05

開戦から2年が経過したロシアとウクライナの戦争。欧米各国や日本はロシアに厳しい制裁を科し続けているものの、ロシアの最大の貿易相手国、中国との交易拡大などにより影響力は損なわれている。欧米は遅まきながら中国など第三国を対象としたある部門の制裁を強化。

その効果はめざましく、ロシアのハイテク製品輸入などに打撃を与えているとみられる。(共同通信=太田清)

 ▽中国メーカー

 ロシア国営大手軍需企業ロステフ傘下の歩兵戦闘車両メーカー「クルガンマシュザボト」(中部クルガン州)。同社では欧州連合(EU)により科せられた制裁に反発し、PR動画が作成され、通信アプリを通じて今年3月までに公開が始まった。

 工場内で製品を作る男女の労働者らが作業をしながら「われわれは(問題なく)働いている」「(部品・材料は)すべてある」「全く問題ない」と口々に話し、制裁が何の効果もないことを誇示する。

 動画には、コンピューター制御の溶接ロボットが動く様子も映っているが、ロボット上のメーカー名を示すロゴ部分はぼかし加工が施され判読できないようになっており、メーカーが制裁を破って輸出した「制裁破り」の製品であることを疑わせる。

 これに対し、ともにラトビアを拠点としロシアに関する調査報道を手がける独立系メディア「バージヌイエ・イストリイ(重要な話題)」と「ザ・インサイダー」は、動画を紹介する記事で、このロボットは日本の産業用ロボット製造大手「安川電機」(福岡県北九州市)製で、制裁破りの製品である可能性があると報じた。

 一方、安川電機の広報担当者は動画を見た上で、「ロボットのアームや操作プレートの形状から当社のものではない。これまでロステフやクルガンマシュザボトと取引をしたこともない」と報道を全面的に否定。

 その上で「形状から、中国メーカーのものではないか。具体的にどこのメーカーであるかについては申し上げる立場にないが」と述べた。』