ウクライナ人ジャーナリスト、勝利を妨げるのは最高司令官の無能さと無責任さ
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-journalist-says-incompetence-and-irresponsibility-of-commander-in-chief-hinders-victory/#comment_headline
『2024.05.4
ウクライナ人ジャーナリストのユーリイ・ブトゥソフ氏は3日「前線の状況は本当に危機的だ。我々の勝利を妨げている主な問題は最高司令官の無能さと無責任さだ」と指摘し、政府の意思決定の遅さ、戦略的決定を実行しない組織、何事も順調としか報告しない体質を糾弾した。
参考:БУТУСОВ ПЛЮС
この話がどこまで事実かは「戦場の結果」と照らし合わせて見ないと何ともいない
ウクライナ人ジャーナリストのユーリイ・ブトゥソフ氏は自ら前線に赴いて「現地の危機的状況」や「直面している問題点」をいち早く報告するため注目を集めており、メディアが取り上げるようになった「ローテーション問題」や「防衛ラインの欠如」を最初に取り上げたのもブトゥソフ氏で、前者については2023年10月に、後者についてはセベロドネツク、リシチャンシク、ソレダル、バフムートを巡る戦いで度々言及し、アウディーイウカについても2023年11月に「十分過ぎるほど時間があったのに準備された防衛ラインが存在しない」と報告している。
出典:Юрій Бутусов
そのブトゥソフ氏が3日「前線の状況は本当に危機的だ。我々の勝利を妨げている主な問題は最高司令官の無能さと無責任さで、これについては誰の目にも明らかだ」と言及した。
“我々は戦場の問題について革新的な解決策を生み出すことができるのに、最高レベルの集中的な管理や指導力が欠如しているため、結果を出した解決策の規模を拡大させることが出来ないでいる。最高司令官(ゼレンスキー大統領)は勝利について語るが、自身が下した命令が実行されているのか管理出来ていない。最も分かり易い例は無人機だ。我々は弾薬、大砲、航空機、戦車、歩兵の数で敵よりも劣っており、技術的な優位を確保できる唯一の手段が無人機だ”
出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ Lancetの類似品について説明を受けるゼレンスキー大統領
“世論の圧力を受けて今年2月に無人システム軍が創設されたが何の変化も生まれていない。無人システム軍の指揮統制は未だに手つかずで、任命された司令官にも権限が与えられておらず、予算獲得にしか興味がないため「無人機で占領者を排除する」という目標に責任を持つものは誰もない。だから問題解決や結果が出てこないのだ。私は近々、大々的にアピールされた無人システム軍がなぜ失敗しているのかについて詳しく書くつもりだ”
“世論の圧力を受けて昨年11月に要塞建設が決定されたが、その実行は非常に原始的だ。兵士が戦っている最前線には何の変化もなく、コンクリート製の構造物が供給されることもなく、自らの命を守るため自力で建材も機材も調達しなければならない。ロシアは攻勢に転じている時でも防衛ラインの強化を続けている。弾薬の生産についても同様で生産拡大計画は10%も実現していない。この2年でロシアは木材からセルロースを生産し始めたのに我々は何をしているのか?”
出典:Сухопутні війська ЗС України
“将軍や旅団の司令官レベルで過去の反省や分析が行われていない。彼らは近代的な戦術への理解度が乏しく地図に頼った戦い方しかできない。リーダーシップはなく、無駄に人員や装備を失い、何も学ぼうとせず、全てが順調で状況はコントロール下にあると報告する人々が昇進しているだけだ。最大の問題はこのことを誰も気にしてないことだろう”
“我々は多くの場所で戦術的勝利、英雄主義、兵士個人の技量、個々の指揮官や部隊のプロ意識を発揮しており、だからこそ3年間も前線を維持出来ているのだ。しかし動員された戦力による大規模戦争では政治と軍の最高指導者に意思決定を集中させなければならない。兵士も砲弾も爆弾も少なく無人機で勝負するなら、より優れた管理、組織、運用によってのみ優位性を作り出すことができる”
出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ
“戦いに勝つため規模で圧倒する必要はないものの、あらゆる面で敵よりも先行しなければならないが、残念なことに犯罪的で不道徳で知的にも制限があるロシアは、自由で民主的で知的にも道徳的にも優れたウクライナより変化する戦場への対応力、戦略的決定のスピード、規模の全てで先行している”
“もしゼレンスキーがプーチンとの取引に応じたくないのであれば「口だけでなく勝利」ではなく「本物の勝利」が必要で、それには戦略的決定でロシアよりも先んじなければならない。全ての可能性はそこにかかっているが、今のところゼレンスキーは何も変えようとしない”
出典:Генеральний штаб ЗСУ
ブトゥソフ氏は「政府や最高司令部の意思決定の遅さ」「戦略的決定が実行されていない組織」「何事も順調としか報告しない体質」と批判し、物資的に劣るなら「せめて他の面で先行しなければならない」と訴えているのだが、この話がどこまで事実かは「戦場の結果」と照らし合わせて見ないと何ともいない。
但し、ブトゥソフ氏の批判が出てくると「何かが起こる=ウクライナ軍にとって良くないこと」ので嫌な予感がする。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 3 』