米国防情報局、オープンソース情報を片手間で扱うのではなく専門家が必要
https://grandfleet.info/us-related/u-s-defense-intelligence-agency-needs-experts-to-handle-open-source-information-not-just-one-person/
『2024.05.2
米国防情報局のグレッグ・リックマン副長官は「以前のオープンソース情報は諜報機関が収集した情報の上に振りかける塩だったが、その役割は逆転してしまった」と述べ、オープンソース情報の収集を専門に扱うプロが必要だと述べた。
参考:US intelligence needs ‘professional cadre’ for OSINT to replace ‘amateur’ IC analysts: Official
情報を素早く理解して届けることは『どちらが優れた爆弾を持っているか』と同じか、それ以上に重要なこと
米国防情報局のグレッグ・リックマン副長官は「オープンソース情報は諜報機関が収集した情報の上に振りかける塩だった。しかしオープンソース情報の爆発的な増大は情報収集と分析の在り方を大きく変え、パラダイムが逆転した現在ではメインコースに振りかける塩は諜報機関が収集した情報の方だ」
「我々は世の中に出回っている大量の情報を収集し、その意味を理解し、これを活用できるよう情報を加工することに苦戦しており、諜報機関の分析官が片手間でOSINTの真似事をやっている」「アマチュアではなくオープンソース情報の収集を専門に扱うプロが必要だ」と言及した。
出典:U.S. Air National Guard photo by Technical Sgt. Luke R Sturm
米国のインテリジェンスコミュニティ(United States Intelligence Community=IC)はオープンソースを扱う専門家の必要性を認識しており、2015年にIC19番目の独立組織としてNational Open Source-Intelligence Agency(NOSA)を設立、アヴリル・ヘインズ国家情報長官とCIAは今年3月「IC OSINT戦略」を初めて発表。
ヘインズ長官はIC OSINT戦略について「OSINTを専門分野として確立し、情報分析の在り方を変革し、米国の優秀なイノベーターや志を同じくする海外のパートナーとの新しい協力の第一歩だ」「新しいOSINT分野の人材確保と技術開発は重要項目の1つだ」「国防情報局は企業全体に対する訓練と防御戦術に重点を置いているが、ICはオープンソース情報の扱い方について大きな変革を必要としている」と述べ、情報分野における危機感についても「過去20年間と異なる環境が自身の眠りを妨げている」と表現している。
出典:U.S. Secretary of Defense/CC BY 2.0
ヘインズ長官は「情報の爆発的な増大が起こる中、ウクライナ危機、中東危機、中国の問題が大きくなっている。この3つが同時に発生しても情報を上手く活用できなければ我々は何もできないだろう。物事の意味を素早く理解し、これを意思決定者や兵士に手に届けることは『どちらが優れた爆弾を持っているか』と同じか、それ以上に重要なことだ」と述べているのが興味深い。
オープンソース情報が増大したため相対的に「諜報機関が収集した情報」の有効性が低下しただけで「オープンソース情報さえあればいい」「諜報機関が収集した情報は価値がなくなった」という意味ではないが、オープンソースから有益な情報を引き出すためには専門家が必要で「国家として取り組む必要がある」というのは新鮮な視点だ。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Wesley Farnsworth
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投稿者: 航空万能論GF管理人 米国関連 コメント: 13 』
『 TKT
2024年 5月 02日
返信 引用
まあ今さらそんなこと言っても遅いよ、特にウクライナ兵にとっては遅すぎる、完全に手遅れというべきでしょう。
日本陸軍の諜報の神様といわれたスウェーデン日本大使館の武官であった小野寺真少将のテレビドラマが昔、NHKで、ムーミンの翻訳者である奥さんの役を薬師丸ひろ子が出演してやっていましたが、小野寺真少将が重視していたのもむしろオープンソースの情報でした。
小野寺真少将は、中立国のスウェーデンの首都であるストックホルムでドイツ軍とソ連軍の情報を比較して、ドイツ軍が劣勢、不利であるという報告を日本陸軍の参謀本部に送り続けていましたが、親ドイツ派の作戦参謀の多い参謀本部では、小野寺真少将の報告はずっと無視されていました。
当時でも中立国のスウェーデンやスイス、スペインなどでは独ソ両軍の大本営発表、スタフカや総統大本営とは違う情報、記事が入ったわけです。
特にドイツと貿易を続けているスウェーデンでは、ドイツが不利になると輸入品が値上がりしたり、物不足になったりしました。経済情報も一種の貴重な軍事情報なわけです。
特に長期戦や消耗戦になればそうです。日本はソ連とは中立条約を結んでおり、ソ連に対する情報収集には日本軍の方がむしろ有利だったわけです。ドイツのゲーレンの方がむしろおかしい、極端に楽観的な分析をしていたわけです。
今の米軍、NATO軍はゲーレンの過ちを再び繰り返しているように見えますが、今、見習った方がいいのは小野寺真少将のような人ではないでしょうか?
16 』
『 れんちゃ
2024年 5月 03日
返信 引用
かつてあるレベル以上の詳細情報というものはとても貴重なものでした。
しかし、現在の我々は高度なネットワークと情報収集にアクセス出来る特殊な状況にいるとされています。
例えば、このサイト一つにしても、かつては専門機関が取り扱う様なデータを軽く用いる事が可能となっており、多くのニュースや情報機関の分析報告や民間や私的な検証分析報告等をすべて並べて比較検討するという事が可能となっています。
当然ながら、秘匿情報や現地の詳細な情勢等については情報機関の方が多くを得られる訳ですが…ここまでの条件が揃った場合、より重要なのは「情報を比較検討したりその情報から何を読み出せるのか」という能力が重要になってきます。
つまり、時によっては民間の名もなき者のつぶやきが物事の深層により近付いている事があるという事なのでしょう。
また、公的なデータであれ詳細不明なデータであれ、その中には誤報や誤解、意図的な虚報、それらに振り回されたものなども紛れ込んできます。
特定のグループが今まで思いつかなかった面白い分析であった場合も、そこから情報ソースの再確認や、どこかから受けた影響等を差し引いて再分析する専門家が必要となるという訳なのでしょうね。
コロンブスの卵とはよく言ったもので、常にプロが発見で先んじられるとは限らないという事です。むしろ、後になって重要な見落としに気付くなんていうのは過去の事例からもよくある話ですので…
例えば、どこかにウクライナに供与弾薬が眠っているなんていう発想もプロに任せたままだったならば当面は出てこなかったでしょうね。彼らは専門性が高い上に、その範囲が狭すぎたり、ルールに縛られ過ぎていて実は気付いていても言えなかったりする事もあります。
1 』