中国、南米に「一帯一路」働きかけ 訪中の3外相と会談

中国、南米に「一帯一路」働きかけ 訪中の3外相と会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM011WE0R00C24A5000000/

『2024年5月1日 19:16

【北京=田島如生、ブラジリア=水口二季】中国が南米諸国との外交を活発にしている。アルゼンチン、ペルー、ボリビアの外相が相次ぎ訪中し、王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相と会談した。中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」の推進を掲げて南米の取り込みを図る。

中国外務省によると王氏は4月30日、北京でアルゼンチンのディアナ・モンディノ外相と会談した。アルゼンチンで2023年12月に右派ミレイ政権…

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『アルゼンチンで2023年12月に右派ミレイ政権が発足後、初めての外相訪中となった。

王氏は「一帯一路」の推進へ航空・宇宙や海洋の分野で協力し、貿易を発展させるべきだと説いた。「アルゼンチンの経済・金融の安定に向けた努力を支持する。力の及ぶ範囲内で支援し続けたい」と表明した。

中国が南米などに接近する背景には、米国との対立長期化をにらみ貿易や投資の相手国を分散させるべきだとの判断がある。バイデン米政権は中国製電気自動車(EV)などの過剰生産を問題視し、対中関税の引き上げも視野に入れる。

アルゼンチンはミレイ大統領が23年の大統領選で「共産主義者とは手を組まない」と述べ、中国と距離を置く考えを打ち出した。大統領に就任後、前政権が決めたブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成するBRICSへの加盟を撤回した。

とはいえ経済面で中国への依存度が高く、対中関係を重視せざるを得ない。23年の輸入額は2割が中国からで、隣国ブラジルに次ぐ規模だった。輸出先でも中国が3位となった。

モンディノ氏は会談で「中国との友好を追求する政策は変わらない」と語った。「一帯一路」の枠組みのもと、貿易・投資や金融、観光、宇宙、海洋を巡る連携に意欲を示した。中国企業によるアルゼンチンへの投資拡大も呼びかけた。

アルゼンチン外務省によると、モンディノ氏は今回の訪中で中国の国家発展改革委員会や商務省の幹部とも経済協力を協議した。中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中国機械設備工程のトップらと会い、アルゼンチンへの投資を促した。

「中国とアルゼンチンは未来をみすえ、相互支援とウィンウィンの協力を堅持しなければならない」。王氏はモンディノ氏との会談後の記者会見で強調した。南米諸国と組み「平等で秩序ある多極的な世界」をめざすと訴えた。

王氏は28日にボリビアのソーサ外相、29日にペルーのゴンザレス外相ともそれぞれ北京で会談した。いずれも「一帯一路」などに基づくインフラ整備やデジタル経済の推進に関する連携を申し合わせた。』