今次戦役の初盤では、露軍の巡航ミサイルの主役は「カリブル」艦対地ミサイルだった。しかし…。

今次戦役の初盤では、露軍の巡航ミサイルの主役は「カリブル」艦対地ミサイルだった。しかし…。
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『Boyko Nikolov 記者による2024-5-1記事「Ukrainian fighter’s high-stakes clash with Russian Kh-101 missile」。

    ウクライナ空軍機がAAMによって、露軍の「Kh-101」巡航ミサイルを撃墜する模様がビデオに撮られ、ネットにUpされたという。

 AAMは、巡航ミサイルの後方から追い討ちで発射された。

 「Kh-101」の最初の撃墜事例は、2022-4に報告されている。このときは、地上から、ありふれた自動火器を命中させたのだそうだ。

 今次戦役の初盤では、露軍の巡航ミサイルの主役は「カリブル」艦対地ミサイルだった。しかしそれは涸渇し、今では「Kh-101」空対地ミサイルが数的な主役である。

 こうした巡航ミサイルの量産のネックは、エンジンである。「カリブル」と「Kh-101」は、同じターボファンエンジン「TRDD-50」を搭載している。

 「カリブル」が退場しつつある理由は、直径の制約にあると思われる。もともと533ミリ径の魚雷発射管からも運用できるようにと、「カリブル」の外径は魚雷と同寸に抑制されている。それに比して「Kh-101」の外形は742ミリあり、余裕が大きいわけである。

 ※Kh-101の胴体断面は、円形ではなく、三角おむすび形。

 カリブルの飛翔体の重さは1770kgなのに比して、「Kh-101」は2300kgある。

 カリブルが主翼を展張すると、ウイングスパンは3.1mなのに比し、「Kh-101」のウイングスパンは4m。

 カリブルの内臓燃料は560kgである。他方、「Kh-101」の内臓燃料は1250kgあり、それに加うるに、空中発射だから、そもそも初期の加速のために燃料を浪費する必要がない。ますます遠くへ飛ばし易い。

 Kh-101が5500km飛ぶのに比し、カリブルは、2000km~2500kmしか飛ばない。

 Kh-101のナビゲーション方式は、INS+航法衛星電波利用+陸地等高線照合 だが、その回路基盤には、米国製の市販品のチップが35個も使われている。

 Kh-101の弾頭重量は今のところ400kgほどである。 』