2022-2以後、米国は、4億発の小火器弾薬と手榴弾・擲弾を、ウクライナに供給している。
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『Daniel Christman 記者による2024-4-29記事「How the Ukraine War Exposes Vulnerabilities in U.S. Ammo Production」。
2022-2以後、米国は、4億発の小火器弾薬と手榴弾・擲弾を、ウクライナに供給している。
それと比較しよう。2004年のたった1年間だけで、米軍は、イラクとアフガニスタンにて、小火器弾薬を18億発も必要としたのである。
小銃弾のプライマー(雷管)を製造するメーカーは米国内に4つしかない。
ウィンチェスター社(オリン社の傘下)と、レミントン社、フェデラル社、CCI社(この3社はいずれも、ヴィスタ・アウトドアー社の傘下)だ。
米連邦政府が直営する軍工廠も、いまでは、すべてのパーツを自前で賄えない。
たとえば「レイク・シティ陸軍弾薬工場」からは、米軍の小火器弾薬の85%を納品しているが、その雷管部品は、今では、オリン社かヴィスタアウトドア社のどちらかの系列の民間工場から買っているのである。
2023-10に、ヴィスタ・アウトドア社は、チェコスロヴァクグループ(CSG)社に、身売りされようとした。CSG社は2022に、イタリアの弾薬メーカー「フィオッキ・ムニズィオニ」社も買収している。
もしCSGがヴィスタを買い取ると、米国内のプライマーの75%の供給源が、外国の一資本の手に握られることになる。
米国内の懸念を宥めようとしてCSGは2024-4-8に声明した。わが社がヴィスタ・アウトドアーを買い取ることで、NATOのための弾薬生産量が増加し、米国の弾薬製造能力も拡張されるのである、と。
だが長期的には、工場の資本統合は、米政府にとって雷管の調達コストを上昇させるだろう。そしてまたサプライチェーンは脆弱化するだろう。
今、連邦議会内のCFIUS(外国人による米国内投資を監視する委員会)が、CSGにヴィスタを買収させて可いかどうかを審議している。この委員会は、それが米国の安全保障にとってリスクがあると判定すれば、買収を禁ずることができる。
懸念の筆頭は、対政府納入の忠誠心が、外国資本にはあるかということ。たとえば緊急に米軍が弾薬が欲しいと言っても、工場の経営者が外国資本の麾下であったならば、商売上の儲けを最優先して、米政府のリクエストには敢えて応じないという経営判断も、とうぜんにあり得るわけである。
外国資本傘下の武器工場から、米国の敵の軍に対して製品が供給されるようなことはないのか?
あるいは、米国の敵勢力が、その外国人経営者に間接的に影響力を及ぼして、米国政府に仇を為す会社運営をしない保証はあるか?
さらにまた、無形資産である熟練労働者のスキルは、外国人経営の工場内で、保護・伝承されるのであろうか? 』