女性が一生理解できない、男の原動力
ダメダメ男子中学生を一変させた「任務と権力」
https://toyokeizai.net/articles/-/31555?page=3
※ 今日は、こんな所で…。
『2014/03/24 6:00
女と男はなぜすれ違うのか? なぜ話が合わないのか? あの人はいったい何を考えているのか? どうしてあんなことを言ったのか? この連載では、今、職場で起きているリアルな「女と男の探り合い」を、社会心理や生声エピソードなど、さまざまな視点からひもといていきます。
中学生男子が、いきなり「男」の顔になった瞬間
以前、ある国際ロボットコンテストの手伝いをしたときのこと。会場設営の現場には、地元中学生の男子・女子が数名、ボランティアで集まっていました。
中学生といえば、男女の成熟度合いに最も差が出る時期。周囲に気を配りながら粛々と作業をこなせる女子と、終始落ち着きがなく、ちょっとしたヒマができると、すぐにホウキと新聞紙で野球を始めたがる男子。戦力としての差は歴然でした。
会場にいても邪魔になるだけのある男子に、「近くのコンビニで、来場者が脱いだ靴を入れるためのビニール袋を買ってきてくれ」と頼みました。それほど難しいことではありません。
ところが「はぁ……」と不承不承に引き受けた彼は、数分後、手ぶらで戻ってきてひと言、「なかったです」と。そのヌケヌケとした「使えなさ」に、開いた口がふさがりませんでした。
「あのさ~」と言いたくなる気持ちをぐっとこらえ、女子に同じことを頼んだところ、「近くのコンビニにはなかったけど、もう1軒先のコンビニにありました。これでいいですか?」と、実にそつがなく、その仕事ぶりには感動すら覚えました。
融通が利かず、気も利かない幼稚な男子たち。どうにかして、彼らを戦力として使えないかと悩んだ私は、「そうだ!」とひらめきました。「男には任務と権力だ!」と。
そこで、その男子に「君はこれから訪れるお客さんにビニール袋を渡す係だ。その隊長に任命する。周りの男子を率いて、くれぐれも漏れなく、粗相のないように配ってくれ」と、頼みました。
そのときの彼の表情は、いまだに忘れられません。それまで1ミリも頼りがいを感じさせなかった彼が、「そうか、オレが隊長か」とでもいうように、みるみる「働く男の顔」として引き締まっていきます。その後、周りの男子たちにキビキビと指令を出して(ときには「おい、ちゃんとやれよ」としかりながら)、働き出したのです。さきほどとは別の意味で、感動的な光景でした。』
『縦社会の中で「言われたことはやり遂げる」男性
男性は縦社会の中で生きています。野球やサッカーといったチームスポーツに慣れ親しんでいる彼らは、「上の人から言われたことはやり通す」し、「いつかは上の立場になりたいと願っている」生きものです(参考記事:「男は野球、女はままごとで仕事を学んだ」)。
頼まれたビニール袋がなかったら別のコンビニを探してみる、あるいは、ほかの商品で代用を考えるといった、最低限の臨機応変さすらなかった男子中学生が、責任を持って任務を果たし、喜々として周囲を動かし始める。その変貌はひとえに「配り係の隊長」に就任したから。少々危険なものすら感じるほどでした(スタンフォードの監獄実験が思い出されたのです)。
これはそっくりそのまま、ビジネスの世界にも置き換えられること。男性社員をうまく活用しようと思ったら、「内容と結果が明確な任務」と「プライドを満たすだけの権力・肩書き」を与えるのがいちばんというのは、人材活用の現場ではセオリーです。
男性は「縦社会」で生き、「結果」と「プライド」をバネに仕事をする。女性は「横社会」で生き、「過程」と「共感」をバネに仕事をする。
これが女と男の基本原則です(言うまでもないことですが、例外はあります)。』
『「任務」も「肩書き」も与えられない現代の男子たち
「言ってくれればやる」「権力を与えてくれればさらに頑張る」。男性たちがそうやって原始的なモチベーションをたぎらせる一方で、現代の仕事のあり方は大きく変わってきています。
ビジネスの高度化に伴い、仕事は自ら発掘すべきものになりましたし(待っていても降ってきません)、刻々と変わる状況に臨機応変に対応する能力が要求されるようになりました(一昔前、「コミュ力」なんてものは必要なかったのです。不器用に黙々と作業をこなしていれば、それでお給料がもらえて、結婚もできていた時代でした)。
さらには「肩書き」も満足に与えられません。出世ゲームでは上がつっかえ、みんな「権力なき責任」を押し付けられ、疲弊しています。そして、イクメンブームだの、ワークライフバランスだの、と社会のあり方も複雑になる一方。正直、うんざりしてしまうこともあるはずです。
ですが、今後、日本経済が奇跡的に好転し、ポストも仕事もふんだんに与えられるようになる、と夢を見ている人はいないでしょう。となれば、男性もモチベーションの湧かせ方を変える必要があります。「周囲と共感し合いながら」「プロセスに喜びを見いだす」ような働き方を身に付けなければなりません。
大丈夫、お手本はごく身近にいます。
周囲の女性社員こそ、今後、自分が積むべき「新OS」の先行機種だと思えば、「自然な敬意と興味」が生まれるのではないでしょうか?』