欧州AIは産業特化型 独見本市、規制対応で米大手に対抗

欧州AIは産業特化型 独見本市、規制対応で米大手に対抗
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『2024年4月24日 14:45

【ハノーバー(ドイツ北部)=林英樹】世界最大級の産業機器見本市「ハノーバーメッセ」が26日まで独ハノーバーで開かれている。

目玉のひとつが人工知能(AI)の活用だ。米国発の生成AIブームが席巻するなか、欧州勢は専門性の高い産業分野に特化。厳しい欧州連合(EU)規制への対応もアピールし、米IT大手との差別化を図る。

「専門的なプログラムで複雑な作業を制御する必要がなくなる。いわばエンジニア向けの『C…

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『米マイクロソフトの会議アプリ「Teams(チームズ)」を活用し、工場で従業員が指示内容をテキスト入力するだけでAIが複雑なプログラミングを作成。生産ラインの不具合や人的ミスを自動修正できるようになる。

シーメンスCSO兼CTOのピーター・ケルテ氏は製造現場のAI導入に注力する

シーメンス最高戦略責任者(CSO)兼最高技術責任者(CTO)のピーター・ケルテ氏は「製造業で深刻な人手不足を解消し、現場の生産性を向上できる」と述べ、独自動車部品大手シェフラーなど製造現場への導入を広げていく考えを示した。

日常利用を念頭に普遍的なサービス展開を進める米IT大手と一線を画し、「限定的かつ具体的な業務について機能を追加し、工場に欠かせない安全性と信頼性を確保する。何を委ねるかという見極めが欧州企業は優れている」と語った。

多言語対応、製造業がデータ管理

独制御機器大手ベッコフオートメーションは画像認識と生成AIを組み合わせた新サービス「TwinCAT Chat(ツインキャット・チャット)」を開発した。生産ラインを流れる製品の品質チェックなどをAIが学習しながらこなす。

AIへの作業指示は多言語に対応する。ベッコフ日本法人の川野俊充代表は「移民が多い欧州には言葉の壁があるが、AIで解消できる。マニュアルを精読したり、プログラミングを習得したりしなくても一定の生産性をあげられる」と話す。

ベッコフの特長はAIをツールとして提供し、学習データの管理を顧客企業に委ねる点にある。収集した学習データを基にAIの精度を高め、新たなサービス開発につなげる米IT大手のビジネスモデルと異なるが、「競争力に直結するデータを出したくない製造業のニーズに合っている」(川野氏)。

EUの一般データ保護規則(GDPR)、26年にも全面適用される包括的なAI規制「AI法」が求めるリスク管理に対応できる利点もある。独生成AIスタートアップのアレフ・アルファもデジタル主権の維持を打ち出し、公的機関への導入が広がっている。

日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査では、2019〜23年5月に生成AIを手がける米国企業への投資額は198億ドル(約3兆円)を超え、英国の50倍、ドイツの70倍と欧州勢を圧倒する。欧州勢は伝統的に強い製造業でのAI活用で巻き返しを図る。

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