誰がウクライナにパトリオットを提供するのか? ギリシャは提供に否定的
https://grandfleet.info/european-region/who-will-provide-patriots-to-ukraine-greece-is-negative-about-providing/
『2024.04.23
ウクライナはパトリオットシステムの追加供給を要請、Financial Timesは22日「EUとNATOの加盟国からギリシャとスペインは防空システムを提供するよう圧力を受けている」と報じたものの、ギリシャは「自国の安全保障を損なう行動はとらない」と述べた。
参考:Greece and Spain under pressure to provide Ukraine with air defence systems
参考:Greece will not compromise defense, spokesman says following FT report
参考:Germany Urges US to Send Kyiv Another Patriot Missile System
この交渉は欧州以外のパトリオットシステム保有国にも拡大する可能性がある
Financial Timesは8日「ロシア軍のエネルギーインフラに対する攻撃戦術と目的が変更されている。昨年は変電所や送電施設を破壊して都市を暗闇と寒さに陥れようとしたが、今年は発電所を破壊して短期的に復旧できない損害を与えようとしている」と、ウクライナメディアのRBC Ukraineも10日「約2週間に渡る攻撃でウクライナは6GW相当の発電能力を失った」「これはザポリージャ原子力発電所の発電量(原発6基分)に等しい」と報じた。
出典:Dmitri Tovstonog/CC BY-SA 4.0 トリピル火力発電所
RBC Ukraineは「ウクライナは昨年の暖房シーズンに発電所の50%と送電網の40%以上が損傷したが、過去2週間の攻撃量は昨年の暖房シーズンに匹敵し、特に弾道ミサイルで発電所を攻撃しているため深刻な被害をもたらしている」「この攻撃でウクレネルゴの送電施設は約1億ユーロの損害を被り、DTEKも発電量の80%以上を失った」と指摘したものの、11日の攻撃でトリピル発電所(1,800MW)が破壊されたため、DTEKは所有する全ての火力発電所を、ウクライナは火力発電所の80%を失ってしまった格好だ。
DTEKは次の暖房シーズンまでに「2GW分の発電量を回復させることができる」と見積もっているが、これは「ロシア軍のミサイル攻撃を受けなかった場合の話」で、ウクライナメディアも「ロシア軍の攻撃を阻止出来ない中で発電所を復旧させても意味がない」と指摘しており、クレバ外相は12日「パトリオットシステム(2セット)とSAMP/T(1セット)に関して積極的な交渉を行っている最中だ。もし提供国の準備が整っているなら1週間以内に入手できるだろう」と言及、ドイツ政府は13日「直ちに新しいパトリオットシステムをウクライナに引き渡す」と発表。
出典:Verteidigungsministerium
Financial Timesは22日「ギリシャとスペインはウクライナに防空システムを提供するようEUとNATOの加盟国から圧力を受けている」「両国はパトリオットシステムやS-300といった複数の防空システムを保有しており、その必要性はウクライナほど差し迫ったものではない」と報じ、クレバ外相も「4つのパトリオットシステムについて協議している」と明かしたが、ギリシャ政府の報道官は「自国の安全保障を損なう行動はとらない」と述べている。
今のところ追加のパトリオットシステムを誰が提供するのか不明だが、この交渉は欧州以外のパトリオットシステム保有国にも拡大する可能性があり、特にG7の米国と日本はウクライナの交渉相手に挙がっているかもしれないので決して他人事ではない。
追記:ドイツは米国に少なくともパトリオットシステムを1セット提供するよう呼びかけているらしい。
関連記事:ドイツ、新たなパトリオットシステムを直ちにウクライナへ提供すると発表
関連記事:ウクライナ外相、防空システムを確保するため強硬な外交手法に変更
関連記事:ウクライナメディア、約2週間の攻撃で原発6基分相当の発電能力を失った
関連記事:BILD記者、ウクライナはパトリオットの迎撃弾とIRIS-Tを使い果たした
関連記事:ロシア軍のインフラ攻撃は発電所の破壊が狙い、短期的な復旧が見込めない
※アイキャッチ画像の出典:Photo by Jason Cutshaw
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 35 』
『 たむごん
2024年 4月 23日
返信 引用
パトリオットの重要性・注目が高まるということは、皮肉な事に各国ともに提供しにくくなります。
ギリシャは、南北キプロス問題がありますし、東地中海はイスラエルが全方位に火種があり揉めまくっていますからね。
日本は、日本海沿いに原子力発電所・火力発電所があり、とんでもなく長い距離を防空する必要があります。
日本海沿いの原発関連だけでも、九州(玄海原発)~島根~福井~石川~新潟~青森(津軽湾周辺)~北海道(泊原発)、とんでもない防空リソースが必要になります。
日本は、極東で隙を見せられる余裕がないですから、相応の対価がないければ自国配備分を渡せないでしょうね。
17 』
『 半分の軍事費の国から
2024年 4月 23日
返信 引用
簡単に説明すると、SM-3[遠距離]THAAD[中距離]PAC-3[短距離]で守備範囲が違う為、全部揃えていなければ迎撃するのはかなり難しくなりますよ、
後はイージス艦のSM-3なら射程1000km前後、SM-6で射程400km前後あるので、船の航路から外れた所で待機していても首都圏防衛は出来ますが、イージス艦の本来の仕事が出来なくなる為、お勧め出来ないです。
それこそ、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦を浮き砲台として使いたくても、旧型のSPY-1A、B型なので弾道ミサイル迎撃能力が無いのですよ‥日本のあきずき型の古くてデカいアメリカバージョンという‥
なので、新規に迎撃ミサイルシステムの全入れ替えを行い、今使っているのをウクライナに提供するのが一番良いという、
そして、生産能力倍増では済まないので、いろんな国に売り込んで購入してもらい‥法律で武器輸出出来ない国にそれ出来るのか?
‥事実上無理では‥冷戦時代の常識を変えないといけない‥公明党が未だに20世紀オジサンしているので‥
サードミサイル
リンク
2 』
『 ひろゆき
2024年 4月 23日
返信 引用
中国のミサイル保有数と生産力を考えると日本のパトリオットを供与するなんて絶対にありえない
有事の際にどれだけ貯められているかが、とても重用だとイスラエルとウクライナ自身が身を持って教えてくれているのに、ここで日本が供与をしたら戦略のなさ、戦争の教訓をアップデート出来ていない事を中国に教えるようなもの
そもそもウクライナは北朝鮮と中国に武器・技術輸出をしてきた国で、有事の際にはロシアに武器を渡されると困るから中国に配慮して日本に対する軍事的な見返りを渡してくることはないから
可愛そうだとか精神論に振り回されてウクライナが渡してくる見返り以上の事を施すのはやめたほうがいい
3 』