防空は数の戦い、大量のシンプルなシステムでローエンドの脅威に対抗

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防空は数の戦い、大量のシンプルなシステムでローエンドの脅威に対抗
https://grandfleet.info/european-region/air-defense-is-a-battle-of-numbers-countering-low-end-threats-with-high-volume-simple-systems/#comment_headline

『2024.04.20

ノルウェーは長期防衛計画に基づく国防費増額を表明、ノルウェー軍参謀長のクリストファーセン陸軍大将は防空能力の向上について「最も重要なのは保有しているシステムの数を増やすこと」「ローエンドの脅威に対抗できるシンプルなシステムが大量に必要だ」と指摘した。

参考:Norway’s air defense priorities: Volume first, then long-range capabilities
安価なローエンドの脅威には安価なローエンドのシステムで対抗しなければならない

ノルウェーのストーレ首相は5日「政府は今後12年間に6,000億クローネの国防費増額を議会に提案した」「この計画が承認されれば我が国の国防予算は現在の約2倍となり、2024年~2036年までの国防支出額は1兆6,400億クローネ(約23兆円)に達するだろう」と表明、この長期計画における優先事項には全領域における防空能力の向上(弾道弾迎撃に対応した防空システムの取得、NASAMSの追加取得、NASAMSのドローンやミサイルへの対応力強化など)が含まれている。

出典:Admiralis-generalis-Aladeen/CC BY-SA 4.0

ノルウェー軍参謀長のクリストファーセン陸軍大将は防空能力の向上について「最も重要なのは保有しているシステムの数を増やすことだ。我々は既に携帯式の対UAVシステムからNASAMSまで多くのシステムに投資を行っているが、これをもっと増やさなければならない」「特にローエンドの脅威に対抗できるシンプルなシステムが大量に必要だ。そのため戦術レベルでドローンに対処できる優れた対UAVシステムを探している」「安価なローエンドの脅威には安価なローエンドのシステムで対抗しなければならない」と述べた。

さらに弾道弾迎撃に対応した長距離防空については「何を購入すべきか明確な答えは出ておらず、時間を無駄にすることなく何に投資すべきなのか見極めなければならない。パトリオットシステムなのか、それとも他の選択肢なのか、このようなシステムはコストがかかるため大きな決断になる」「出来るだけ早く決断したと願っているが、弾道弾迎撃に対応した長距離防空には本当に多くの選択肢が登場している」と言及しているのが興味深い。

出典:IDF Spokesperson’s Unit/CC BY-SA 3.0 DEED

ノルウェーが取得を表明した弾道弾迎撃に対応した防空システムは「短距離弾道ミサイルの迎撃」を想定していたるため、下層迎撃に対応した米国のパトリオットシステム、仏伊のSAMP/T、イスラエルのDavid’s Sling、Barak MX、Barak-8、韓国のM-SAM BlockIIなどが候補(全の候補が輸出実績あり)に上がり、ノルウェーが何を選択するのかに注目を集まる。

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※アイキャッチ画像の出典:Raytheon
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 20  』

『 Whiskey Dick
2024年 4月 20日

返信 引用 

ドローンの様なローエンドの空中目標の迎撃には、アメリカのアベンジャー(近SAM+機関銃)にドローン検知装置とジャミング装置を追加したものが有効と思われます。対ドローン装備は消費電力が大きいので、六輪トラックに搭載することになるでしょう。

指向性エネルギー兵器は1ショット当たりのコストが極めて安価なのが魅力ですが、消費電力が大きく射程は短いので拠点防御若しくは艦載兵器に用いられる。

寸法が大きくドローンの餌食になりやすい装甲車両には、個々に対ドローン装備を備える必要がある。武装とセンサーの邪魔にならない部分は金網で囲い、戦闘機の様にドローンとミサイルの接近を警告、自動で攪乱する機能も普及するでしょう。
4

    58式素人
    2024年 4月 20日
    返信 引用 

米陸軍は30mm機関砲を選んだみたいですね。

他所の記事によると、ルーマニアにM-LIDSを配備したとか。
四駆の対地雷車両にAN/TPQ-50レーダー/熱画像センサー/
他のセンサー類とEW装置、30mmXM914をまとめていますね。
ルーマニアを威嚇するシャヘド対策のようですが。
3 』

『 58式素人
2024年 4月 20日

返信 引用 

シャヘド-136なら飛行速度は巡航時速185km/hなのですが。

シャヘド-238(ジェット化)ですと520km/hになります。

追いつくためにも700km/hくらいの速度性能が欲しいのでは。
レシプロ機でも高性能機の範疇になりそうですね。
かといってジェット戦闘機でも結構キツイようです。
例として、朝鮮戦争の時ですが、
夜間に嫌がらせ爆撃(シャヘド136とやっていることは同じ?)
をするAn-2(巡航速度185km/h)を撃墜するのに、当時の米軍の
ジェット戦闘機(F-84/86?)は失速寸前まで減速する必要があったとのこと。
ですから、低速でも比較的?安全な初等ジェット練習機かな、と想像します。
フーガ・マジステールやフォーランド・ナットくらいの機体か、と思います。
武装は機銃で十分でしょうが、欲を出して、亜音速ミサイルをも
的にしたければ、MANPADSベースのAAMも欲しいでしょう。きっと。
2

    あああ
    2024年 4月 21日
    返信 引用 

火力についてはミサイルでなくレーザー誘導のハイドラロケットで結構いけそうな?
ジェット化シャヘドにはダメでもジェット化を強要する効果はあるなら単価上昇で投入数を抑制はできるだろうに思います。またこれで現在は後方に回されてるAAGやスティンガーを前線に送り返せるなら前線が攻撃機に蹂躙される事もなくなる。
何より対応範囲が広い空中警備機であるなら現状より省人化が望めると思う。何も供与対象を軍用航空機に限る必要もないような?
2
        58式素人
        2024年 4月 21日
        返信 引用 

    先日、他所の記事で。
    APKWSがシャヘドを撃墜した内容のものがありました。
    お話の”レーザー誘導のハイドラロケット” はこれですね。
    SAMで一番コストが安いのは、おそらくこれなのでしょう。
    地上発射だと射程距離が短いのが”難あり” のようです。
    現在、長射程版を開発中のようですね。
    地上発射はレーザー誘導のままでも良いのですが、
    AAMの形式だと少し面倒に思えます。
    IR画像誘導のものが欲しいですね。開発中とも聞きます。
    ”何も供与対象を軍用航空機に限る必要もないような?”
    今のところ、広域警戒に決定打はまだ無いようです。
    他所も記事を見ていると、ウクライナはマストの先に
    携帯電話をつけたものを多数建ててネットで結び、
    広域の聴音探査をしていたりするようです。
    ポーランド・他が、早速、自国用に試験中ともありました。
    まだ他に、色々と出来て来そうですから、
    そうした物を供与するのも大いに意味があるのでは、と思います。
    3 』