イスラエル軍は物資不足、兵士らは装備や物資の供給をボランティアに依存

イスラエル軍は物資不足、兵士らは装備や物資の供給をボランティアに依存
https://grandfleet.info/middle-east-afria-related/israeli-army-is-short-of-supplies-soldiers-rely-on-volunteers-to-provide-equipment-and-supplies/

『イスラエル軍は予備役30万人分の基本装備や消耗品を賄えておらず、開戦から半年が経過しても兵士らはボランティアからの供給に依存し、大隊長は「本当になにもない、何もかもが不足している」と、中隊長は「飲み物すら不足している」と訴えている。

参考:Six months into war, Israeli soldiers still count on donations for basic supplies. Why?

例え装備が足りなくても任務をやり遂げるべきだというのが国防軍の文化で男のエゴの一種だ

イスラエルはハマスとの戦争に備えるため10月9日までに予備役30万人を招集、当時のハガリ報道官は「これほど迅速にこれほど多くの予備役を動員したのは初めてのことだが装備や食料に不足はない」と述べていたものの、招集された兵士らはあらゆる物資(ヘルメット、戦闘服、ブーツ、防弾ベスト、ニーパッド、手袋、衣類、ライフルスコープ、ガンスリング、懐中電灯、暗視装置、テント、寝袋、生活必需品など)の欠如に直面し、国民は「事前の備蓄が前例のない国家の危機に十分ではない」と直ぐに理解した。

出典:צבא ההגנה לישראל

そのため必要な物資を兵士に届けるボランティア組織が幾つも組織され、Boots for Israelと呼ばれるボランティアは4万6,000足以上のブーツを、Unit 11741と呼ばれるボランティアは約11,000個のヘルメットを兵士に届けるなど精力的な活動を展開したものの、いずれ国の兵站がニーズに追いついてボランティア組織による物資供給は収束すると思われたが、Jerusalem Postは「開戦から半年が経過しても兵士らは寄付に依存している」と報じている。

あるボランティア組織の代表者は「フルタイムで働く何千人ものボランティアが毎日何千件もの支援要請に対応している」「主に海外からの援助によって10億ドル以上の装備を兵士らに届けた」と述べており、未だに国の兵站がニーズに追いついていないことを物語っているが、イスラエル国防軍の構造や度が過ぎた官僚主義も現在の事態を招く要因になっているらしい。

出典:Daniel Hagari

この代表者は「参謀本部も物資不足に陥っていると知っているが『我々にボランティアが持ち込んでくるような物資量はない』と、旅団司令官は『物資不足は参謀本部が把握しているよりも深刻だ』と、大隊長は『本当になにもない、何もかもが不足している』と、中隊長は『飲み物すら不足している』と言う」「彼らは『問題が起きている』と認めるのを恥だと考えており、例え装備が足りなくても任務をやり遂げるべきだというのが国防軍の文化で男のエゴの一種だ」と言及。

物資不足をFacebookで訴えた兵士も「国防軍に根付いている倹約文化が問題を大きくしている。機能に問題がある装備も原型を保っている状態では交換が出来ない。もしブーツの交換を申請するなら完全に破壊しなければならないため大掛かりな手続きが必要になる」と述べ、必ずしも備蓄分の装備が使用に耐えるものではないと言いたいのだろう。

出典:צבא ההגנה לישראל

因みに開戦から2年が経過したウクライナやロシアでも兵士、部隊、ボランティアなどが毎日にように「アレが足りない」「コレを送って欲しい」「あの装備を購入する資金を寄付してほしい」とTelegram上で発信しており、ウクライナ軍が使用するドローンも国ではなくボランティアからの供給に依存しているらしい。

英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジャック・ワトリング氏も大規模戦争を支える兵站について「欧米諸国はテロ攻撃のような小規模で短期間の危機管理しか経験してこなかったため、大規模戦争に対処する組織的なノウハウが失われようとしている」と指摘したことがあり、このギャップを「SNSと個人の資金が結びつくことで何とかカバーしている」と評価するのか「これが新しいカタチの兵站」と称賛するのかは何ともいないところだ。

関連記事:イスラエルがガザ地区沿いの支配権を確保、30万人の予備役動員も完了
関連記事:ウクライナに支援が届くまでのリードタイム、西側諸国は理解してない

※アイキャッチ画像の出典:Israel Defense Forces
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投稿者: 航空万能論GF管理人 中東アフリカ関連 コメント: 36  』


Easy
2024年 4月 20日

返信 引用 

ロシアのMavicはほとんどボランティア団体が調達していると聞いたことが。
ロシア国防省がソ連的官僚主義で超硬直的組織である一方、ボランティア組織は効率最優先で資金集め>ドローン供給の一連の業務をこなしており。しかもボランティア組織が旅団単位で設立されており、兵士の家族が運営に関わっていて。
この条件だといかに腐敗国家ロシアと言えど、兵士の家族の目があるところでは前線に送る兵器の横流しや着服がやりにくく。意外にちゃんと現地に送られる(足りなかったり届かなかったりすると兵士たちから家族にクレームが入りまくる)そうである。
一方、ウクライナ側は資金の出どころが主に国際支援資金のため、どうしてもトップダウン型になりやすく。官僚制の非効率の弊害に陥り、買い付けの資金力では負けていないはずなのになかなか前線の兵士にドローンが届かない、という状況だそうで。
43

    たむごん
    2024年 4月 20日
    返信 引用 

情報ありがとうございます、勉強になります。

ドローンは、兵器と比べれば格安ですから、他国・他人の金であれば汚職などにより相当な非効率があると推察します。
ウクライナは最近でも汚職で逮捕されるており、逮捕されるだけマシという見方もありましたが、本土決戦中に士気が低い・汚職が文化という印象を受けています。

ロシアの情報を見ると、日本メディアが流しているよりも、兵士の命が掛かっているのもあり家族を中心に協力的に感じます。
反政府志向が極めて強い人は、すでに海外移住したというのもあるのでしょうか。

(2024.02.01ウクライナの兵器調達で新たな汚職摘発、国防省元職も逮捕 CNN)
14
        Easy
        2024年 4月 20日
        返信 引用 

    ウクライナ側はドルとユーロの後ろ盾がありますので、MAVICの買い付けではロシアに負けておらず。世界一のMAVIC購入国だそうです。
    が、そうやって買い付けたMAVICを前線に分配する段になると、中央に対して強い発言力とコネがある極右系の旅団がゴッソリ持って行くか、または担当者の事務処理能力を超えて前線に届かずに倉庫に眠っていたりするわけです。
    補給を市民がボランティアで支えるのは軍事的には格好悪いですが、前線のニーズに素早く適応出来るという点では割と合理的かもしれません。
    塹壕ネズミが問題になってる時、ボランティアが猫を積んで届けに来たって話はその最たるものですね。旅団の兵站部の支給品リストには、子猫は載っていないでしょうから。
    14
            たむごん
            2024年 4月 20日
            返信 引用 

        情報ありがとうございます、資金の裏付け仰る通りですね。

        ボランティアは仰る通り、小回りが利きますよね。
        政府自治体が、法律・制度・規制の問題でガンジガラメで動きが遅い時に、ボランティア・NPOであれば小回りが利くわけですし。

        過酷な最前線で、猫を現地調達するのは困難ですよね。
        ネズミ対策の猫、ボランティアが届けている情報、とても勉強になりました。
        3 』

『 もへもへ
2024年 4月 20日

返信 引用 

どの国も例外なく大規模動員なんて数十年してこなかったからノウハウが無いんでしょうね。

ついこの前までロシアの動員の稚拙さを嘲笑ってたのに、西側で1番戦争に近くて準備が出来てそうなイスラエルがこうとは…

日本を含めて他の国ならもっとひどいことになりそうですね
アメリカも戦争自体は数多くやってますが、基本圧倒的格下相手で常備軍だけでやってるので同等レベルの相手と戦う際の動員のノウハウも無くなってそうです。
55

    hiroさん
    2024年 4月 20日
    返信 引用 

日本の場合は、動員対象となる予備自衛官が3〜4万人程度なので、そんなに酷いことにはならないでしょう。
一般人を動員する法的根拠も装備も無いので、自衛官と予備自衛官が崩壊した時点で詰みですがね。
7 』

『 2024年 4月 20日

返信 引用 

イスラエル軍って中東で最強と扱われることも多かったですが
この感じだとエジプト サウジアラビア イランなどの軍事力のある国と全面戦争になれば
勝つことはできても圧勝ではなく厳しい戦いになりそうですね
最近はエジプトとの関係は悪くないですがもしも敵対したら陸続きなのもあって勝てるかどうかも怪しい
36

    たむごん
    2024年 4月 20日
    返信 引用 

自分も仰る点に同意します。

イスラエル経済は、ハイテク産業に比重を置いていますから、汎用品の自国生産力が低いんですよね(西側諸国は全般的に似たような傾向があります)

地中海・紅海~アカバ湾の海上補給ルート、戦前のように維持する事は難しくなりますから、仰る通り物資不足により厳しい戦いになると思います。

(2024/02/08 イスラエル経済のけん引役、ハイテク産業が大きな打撃…従業員が予備役に招集され外国投資も落ち込む 東京新聞)
12
    スコーピオンコバートX
    2024年 4月 20日
    返信 引用 

もし戦争になって持久戦に持ち込まれ、米国にも愛想尽かされたら終わりだと思う。まさに味方のいないウクライナみたいな状態になりそう。

先日のイランの300発の報復ミサイルや去年の10/7のハマスの大規模攻勢、それと21年だったかに大量のロケット弾を発射されたモノをアイアンドームで撃ち落としたりしてたけど、こんなの滅多に起こらないから対処できてるわけで、ウクライナみたいに毎日空爆やらドローン攻撃されたらとても、もたないだろ。 弾なんて1~2ヶ月で枯渇するんじゃないか?

戦闘機にしたって、飛ばせば飛ばすほど消耗は早くなるし、機体寿命も短くなる。f15、16もボチボチ旧式化しつつあるし、最新のf35も開発国の米国ですら稼働率50%程度しかない。イスラエルもそれと同じかそれ以下くらいだろう。それをビュンビュン飛ばせは、すぐにガタが来て使えなくなる。

西側兵器全般に言えるけど、性能は良いけど、高価で大量生産に向かないので、安価で大量の粗悪品作って放り投げて来る連中と長期戦やるのは物凄く分が悪いよな。テロ戦争でテロやゲリラ集団を撲滅した殆どないよな。isisくらいか。

ウクライナはまだ外国から支援でなんとかなってるけど、イスラエルはイメージ悪すぎて殆ど期待できない。
イスラエルの継戦能力ってなんぼのものだろう…、米英に依存しすぎて、ぶっちゃけあんま国力ないよね。あんな小さい国で資源も乏しいのに製鉄や重工業、製造業に強いイメージ全く無いけど。
19 』

『 ごんべえ
2024年 4月 20日

返信 引用 

もともと国土も広くないうえに濃淡あれど周囲は敵だらけということで、米英の軍事的・政治的バックアップが無かったら遠からず干上がっちゃいますよね。
裏を返せば何があってもアメリカがバックについてくれるという虎の威が、これまでの横暴を許してきた一因だと思います。
ここからは100%私の願望ですが、早いところ西側諸国はイスラエルに対するはしごを外して地域のなりゆきに任せてしまえと思ってしまいます。
曲がりなりにも同じ西側にいる目線で見ると獅子身中の虫でしかない…
25

    名無し
    2024年 4月 20日
    返信 引用 

誰の目にも明らかなイスラエルの横暴を何でアメリカは全肯定してるかというと、ユダヤロビーは目茶苦茶強力で反イスラエル、反ユダヤ的な言動をした政治家はロビーと金の力で落選させられるからだとか。
政治家は政治家として生き残りたいし、わざわざ落選してしまうような原因を自分で作りたくはないでしょうね。
26
        む
        2024年 4月 21日
        返信 引用 

    たた、そのユダヤ系も世代を重ねてアメリカ人化しているようでガザ侵攻に反対しているグループもあり一枚板ではなさそうですね。
    7 』

『 傍観者
2024年 4月 20日

返信 引用 

いずれにせよイスラエルは狭すぎ人口も少なすぎる。

イラン(ペルシャ)が力を増し、イラクも勢力圏にしている。

シリアも長年の戦争で国は疲弊しつつも軍事力、国民の結束力がついてきている。

レバノンもヒズボラの存在は光っている。

ハマス相手に苦戦して国際非難を浴びつつ長期戦を戦うのは無理。米軍を必死に引き込もうとしているようだが米も地上軍を送る事は出来まい。

ユダヤ人は昔新バビロニア(イラク)のネブカドネザル2世に敗れバビロン(バクダッドの近く)に連行された。新バビロニアはユダヤ人の宗教を許しユダヤ人たちはアイデンティティーを失わないために聖書(いわゆる旧約)を記して記憶を伝承していた。アケメネス朝ペルシャのキュロス2世が新バビロニアを滅ぼしユダヤ人を解放したのでユダヤ人はキュロスを救世主と呼んだ。これが歴史だ。

シオニストたちは神が歴史がという癖に御恩を受けたイラクにもイランにも全く敬意を払っていない。こういう自分勝手で恩知らずな者たちを神がお許しになるはずがない。200~300核兵器を持ったところでイスラエルは持続不能だ。
19 』