米軍、ウクライナの砲弾「数週間でロシアの10分の1に」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11EMQ0R10C24A4000000/
『2024年4月12日 6:30
【ワシントン=坂口幸裕】米欧州軍のカボリ司令官は10日、下院軍事委員会の公聴会でロシアの侵略を受けるウクライナの武器不足について「状況は極めて深刻だ」と表明した。現時点でウクライナ軍が使用する弾薬はロシア軍の5分の1で、数週間で10分の1になると危機感を示した。
カボリ氏は北大西洋条約機構(NATO)の欧州連合軍最高司令官を兼務する。公聴会で米国の支援停止を受け「ウクライナ軍は供給がなくなるのを…
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『公聴会で米国の支援停止を受け「ウクライナ軍は供給がなくなるのを見越して、砲弾を節約している」と指摘。「ロシア軍はウクライナ軍の5倍の砲弾を撃っている」と述べた。
ロシアとウクライナの砲弾の格差は「数週間のうちに10対1になる。数カ月という話ではない」と懸念を示した。「ウクライナはかなり短期間で砲弾と防空ミサイルを使い果たすだろう。米国の支援がなければ勝利を得ることはできない」と話した。
最大の支援国である米国が決めた軍事支援は底をつき、ウクライナは弾薬不足に陥る。与党・民主党が多数派の上院は2月に対ウクライナ支援の600億ドル(9兆円)を含む緊急予算案を可決したものの、野党・共和党が多数派を握る下院はメドが立たない。
カボリ氏はウクライナ軍への武器供与の内訳について、戦車の9割、燃料・石油製品の全てが米国以外から提供されたと説明した。一方「米国の貢献が不可欠なのが砲弾と迎撃用の防空ミサイルだ」と言明した。
弾薬不足でウクライナが一段と劣勢になれば「ロシアはウクライナの領土を得られるだけ得ようとするだろう」と分析。「最悪の場合、ウクライナ全土にロシア兵が配置され、現在より多くのNATO加盟国との国境に配備される」と言及した。
NATO加盟国との国境沿いにロシア軍が増強されれば緊張が高まり「対処に膨大な費用がかかる」とみる。そうした事態になれば「ロシアが奮起し、ある時点でさらなる侵略を仕掛けてくるだろう」と訴えた。
同席したワランダー米国防次官補もロシアの侵略について「プーチン(大統領)はウクライナだけにとどめるつもりはない」と明言した。ウクライナの隣国モルドバなども標的にしている可能性に触れた。
上院で可決した対ウクライナ支援の600億ドルのうち「480億ドルが米国の(防衛)産業に支払われ、米国の在庫を補充したり長期的な調達に充てられたりする」と述べ、早期承認に理解を求めた。可決されれば弾薬を1〜2週間で提供できると明かした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月下旬、米CBSテレビでロシア軍の大規模攻勢が5月下旬か6月に予想されるとの見方を示した。攻勢への準備が整っておらず「今こそ支援が必要だ」と呼びかけた。
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