Microsoft、日本にAIデータセンター 4400億円投資

Microsoft、日本にAIデータセンター 4400億円投資
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN060CF0W4A400C2000000/

『2024年4月9日 19:00 (2024年4月9日 23:32更新)

【シリコンバレー=渡辺直樹】米マイクロソフトが日本でデータセンターを拡充する。2年間で29億ドル(約4400億円)を投じる。人工知能(AI)の開発や運用に適した、大量の演算処理ができる最先端の半導体などを組み込む。日本政府でも生成AIの活用が始まるなか、国内で個人データや機密情報を管理できる体制を整える。

日本への投資額としては過去最大となる。AIがデータを学習し、推論するための計算能力はデータ…

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『AIがデータを学習し、推論するための計算能力はデータセンター内のサーバーが供給している。言葉を巧みに操る生成AIでは膨大な計算が必要となる。

マイクロソフトは2024年から東日本と西日本にある2つのデータセンターに、精度向上に向けて大量の演算を並列してこなす最先端の画像処理半導体(GPU)を組み込む。

同時に3年間で300万人を対象とするAI関連のリスキリング(学び直し)支援策やロボットやAIを研究する国内拠点の設立、サイバー攻撃対策における日本政府との連携にも取り組む。

インターネット経由でソフトウエアやIT(情報技術)インフラを提供するクラウドサービスの世界市場で、マイクロソフトは米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に次ぐシェアを持つ。日本国内では14年から情報処理の基盤となるデータセンターを運営している。

セキュリティーやプライバシー意識の高まりから、各国・地域の規制当局は自国のデータを国内で管理する「データ主権」を重視する。日本政府も個人情報保護法で国境をまたいだ個人データの移転を制限している。

マイクロソフトは生成AIで「Chat(チャット)GPT」を手がける米オープンAIと提携している。23年に海外では欧州に次ぐ2カ所目として、日本でチャットGPTの基盤技術の提供を始めた。情報処理を国内のデータセンターで完結し、行政や民間が持つ機密情報を扱えるようになっている。政府のクラウドサービス認定制度のリストにもチャットGPTが入っている。

マイクロソフトの研究部門であるマイクロソフト・リサーチ・アジア(MSRA)が東京都内に研究拠点を設立することも表明する。日本が強みを持つロボット分野の研究にAIの活用を促す。東京大学と、慶応大学・米カーネギーメロン大学が取り組む研究にそれぞれ5年間で15億円を提供する。

独スタティスタによると生成AIの世界市場は年平均約2割のペースで成長し、30年には約30兆円となる見通し。日本は米国、中国に続く規模で、ロボット関連のほか生成AIを活用した日本発のサービス開発などで増加する国内のデータセンター需要を取り込む。

AIは企業の生産性向上に貢献する一方で、様々な産業で人間から仕事を奪う可能性が指摘されている。マイクロソフトは今後3年で非正規雇用を含む国内300万人を対象にAIの活用スキルを学べる教育プログラムを提供し、転職やキャリアアップを後押しする。

国際エネルギー機関(IEA)によると、チャットGPTの利用には一般的なグーグルの検索に比べて1回あたり約10倍の電力量を消費する。地震など災害対応が欠かせないほか、データセンターの立地は需要地近隣に集中しやすく、供給電力の確保も重要だ。

クラウドサービスではAWSとマイクロソフト、米グーグルの3強で世界の3分の2を占める。日本の政府クラウドもAWSやマイクロソフトなど米国勢が優勢で、さくらインターネットが23年に国内勢として初めて選ばれたばかりだ。同盟国として米国の力を借りつつ、日本として自前の体制を整えることも今後の課題となる。

BSテレ東「日経ニュース プラス9」でこのニュースを解説

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