米国、イスラエル支援転換辞さず 自国民犠牲で非難増幅
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN050KE0V00C24A4000000/
『2024年4月5日 13:00
【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は4日、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスと戦闘を続けるイスラエルが人道状況を改善しなければ軍事支援の見直しも辞さないと警告した。米国に拠点を置く支援団体の米国民がガザで犠牲になったことで非難が高まる米世論を意識する。
「人道支援要員への攻撃やガザの人道状況全体を容認できない」。バイデン氏は4日、イスラエルのネタニヤフ首相との電話協議で断言した。30…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『30分ほどの電話で民間被害者や人道支援を担う関係者の安全確保策を早急に講じるよう迫った。
米ホワイトハウスの声明によると、バイデン氏は安全確保策を念頭に「ガザに関する米国の政策はこうした対策を巡るイスラエルの即時の行動への評価で決める」と伝えた。即時停戦も改めて要求した。
2023年10月7日にハマスがイスラエルを奇襲攻撃して以降、後ろ盾となってきた米国が支援の再考に言及して方針転換を迫るのは初めて。ブリンケン米国務長官も4日の記者会見で「見るべき変化がなければ我々自身の政策に変化があるだろう」と訴えた。
きっかけは米首都ワシントンの支援団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」の車両に対するイスラエル軍による1日の攻撃だった。二重国籍の米国民を含む同団体の隊員7人が死亡した。バイデン氏はWCKの創設者で有名シェフのホセ・アンドレス氏に電話し、弔意を伝えた。
与党・民主党内では対イスラエルの軍事支援に条件をつけるべきだとの声が出ている。バイデン氏に近いクリス・クーンズ上院議員は4日、米CNNテレビで「民間人保護や人道配慮をしないなら支援に条件を課すことに賛成する」と明言した。
米調査会社ギャラップが3月に米国民を対象に実施した世論調査によると、イスラエルによるガザでの軍事作戦について55%が「支持しない」と答え、36%だった「支持する」を上回った。23年11月調査では「支持する」が50%、「支持しない」が45%だった。
WCKへの攻撃で世論の反発が一段と強まる事態に、11月に大統領選を控えるバイデン氏は神経をとがらせる。
では、バイデン政権はイスラエルへの軍事支援の停止・縮小に踏み切れるのか。
ゴードン・グレイ元米国務次官補(中東担当)はイスラエルとの対立は先鋭化するとしつつ「実質的な米国の政策変更はないだろう」と指摘。「バイデン氏が軍事援助を制限するとは思えない」との見方を示す。
イスラエルの戦時内閣は5日、ガザへの人道支援物資の搬入拡大に向けた緊急措置を取ると決めた。地元メディアが報じた。ガザ北部にあるエレズ検問所などを開放する。時期は不明だが、開放されれば23年10月以降で初めて。米国に一定の歩み寄りをみせた。
イランを除くアラブ諸国とイスラエルの関係正常化による中東の安定をめざす米国は、ハマス壊滅を掲げるイスラエルへの支援をやめられない事情がある。イスラエル側も米国の胸の内を知り尽くしており、双方の神経戦という側面も透ける。
』