習氏「途上国で共同体を」インドネシア次期大統領と会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM301N70Q4A330C2000000/

『2024年4月1日 12:42 (2024年4月1日 21:18更新)
【北京=田島如生、ジャカルタ=押切智義】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は1日、インドネシアの次期大統領に就くプラボウォ国防相と北京で会談した。東南アジアと米国の接近を阻むねらいだ。プラボウォ氏は2日から日本を訪問し、岸田文雄首相と会談する予定だ。
習氏との会談は中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。プラボウォ氏は3月31日に中国入りし、4月2日まで滞在する。インドネシアで2月14日に投…
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『ASEANを重視する背景には米国への警戒心がある。南シナ海の領有権を中国と争うフィリピンは米国と相互防衛条約を結び、対中抑止のための安全保障協力を深めてきた。米軍は南シナ海にたびたび艦船や哨戒機を派遣し、中国軍の動向を監視する。』
『インドネシアにとっても対中関係の優先順位は高い。インドネシアの貿易総額に占める中国の割合は23年に約30%と、10年前の18%から大幅に増えた。インドネシアへの直接投資の国別ランキングでもシンガポールに次ぐ2位だ。
インドネシアは電気自動車(EV)に関する資源や高速道路の延伸、首都移転に伴うインフラ整備といった分野で中国企業の投資に期待する。
同国はEV向け電池に欠かせないニッケルの生産量が世界の半分近くを占める。国内産業保護のため20年に未加工のニッケル輸出を禁止した後、中国の投資が急増した。今では精錬所の7割が中国系資本だ。比亜迪(BYD)などのEV工場建設も相次ぐ。
インドネシアで23年10月に開業した東南アジア初の高速鉄道は中国が建設を主導した。首都ジャカルタから西ジャワ州の主要都市バンドンまでの現路線を延伸するため、インドネシア政府は中国に協力を求めている。
ジャカルタからカリマンタン島のヌサンタラに首都を移す計画を巡っても、インドネシアは中国の関与を想定する。総額466兆ルピア(おそよ4.4兆円)の建設費のうち、8割を中国を含む外国や民間からの資金で賄う方針だ。』
『一方、プラボウォ氏は「全ての勢力との良好な関係は国益につながる」と中立外交を掲げ、米中それぞれの陣営から実利を得る考えも示してきた。
在インドネシア日本大使館によれば、プラボウォ氏は3日まで日本に滞在し、岸田首相らと会談する。中国の直後に日本を訪れ、外交バランスをとって中国傾斜の印象を避ける考えだ。日本はインドネシアにとって中国に次ぐ貿易相手だ。』
『インドネシアは安保面では中国と距離を置く。両国は南シナ海のナトゥナ諸島周辺の資源開発を巡って対立してきた。プラボウォ氏は23年8月、米国のF15戦闘機24機を購入する計画をまとめた。9月にはインドネシアが主導し、ASEANで初となる合同軍事演習を南シナ海で実施した。
ASEAN加盟国で親中の立場を鮮明にし、米国と一線を引くのはカンボジアやラオスなどにとどまる。インドネシアやマレーシアは中国との関係を重視する一方、南シナ海への進出拡大を警戒して米国との安保協力を広げる。
北京の外交筋は「中国が南シナ海問題を抱えている以上、ASEANの囲い込みには限界がある。経済協力をちらつかせ、米国とのさらなる接近をけん制し続けるのではないか」と話す。』