フィリピン、海洋安保の強化へ組織再編 大統領令に署名
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM012AO0R00C24A4000000/
『2024年4月1日 19:53
【マニラ=藤田祐樹】フィリピンのマルコス大統領は3月31日、海洋安全保障を強化する大統領令に署名した。既存の会議体を再編し国防相や外相らが参加する「国家海事評議会」を新設する。
南シナ海での中国による覇権的な動きが念頭にある。
大統領府によると、マルコス氏は大統領令で中国への名指しを避け「領土にとどまらず、国民の平穏な生活への深刻な挑戦と脅威に直面している」と指摘した。組織改編により「海洋安保に関する認識の強化が不可欠だ」と訴えた。
新たに設ける国家海事評議会は2011年に設けた「国家沿岸監視評議会」を改組した。海洋安保に関する政策を練る国の中核機関とし、国内外の専門家と意見交換する。政策変更が必要な場合は大統領に助言する。
国家海事評議会が今後2カ月以内に海洋安保の強化に向けた新戦略と指針をまとめると明記した。評議会のメンバーには国家安保担当顧問や国家情報調整局の長官を加えた。
南シナ海ではフィリピンと中国の衝突が激しくなっている。3月には南沙(英語名スプラトリー)諸島に位置するアユンギン礁周辺で中国海警局の船がフィリピンの船舶に向けて放水銃を発射し、フィリピン側の乗組員が負傷する事案が相次ぎ発生した。
マルコス氏は3月28日、SNSを通じて中国の対応を「違法で危険な攻撃だ」と非難した。「フィリピンは屈しない」とも強調し、対策を講じる意向を示していた。 』