中国、オーストラリア産ワインの関税撤廃 安保は不信感
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM285WC0Y4A320C2000000/
『2024年3月28日 16:49 (2024年3月28日 19:35更新)
【北京=田島如生、シドニー=今橋瑠璃華】中国商務省は28日、同国がオーストラリア産ワインに課した関税を29日から撤廃すると発表した。中豪関係の改善を踏まえて豪州側の要望に応えた。貿易面で協力を深める一方、安全保障面では対中抑止を念頭に米英と連携する豪州と溝がある。
中国外務省の林剣副報道局長は28日の記者会見で「中豪は互いの懸念を適切に解決し、両国の関係改善を共に進めてきた」と述べた。「中豪関係…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『貿易面で協力を深める一方、安全保障面では対中抑止を念頭に米英と連携する豪州と溝がある。
中国外務省の林剣副報道局長は28日の記者会見で「中豪は互いの懸念を適切に解決し、両国の関係改善を共に進めてきた」と述べた。「中豪関係の健全な発展を推進したい」と語った。』
『「この結果を歓迎する。中国市場に再参入することは、豪州の生産者と中国の消費者の双方に利益をもたらす」。豪州のアルバニージー首相は28日の声明で中国側の決定を評価した。』
『もっとも、中国がすんなりと豪州産ワインの関税撤廃を決めたわけではない。
中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相が20〜21日に豪州を訪問した際も、この問題を巡り同国のウォン外相らと協議していた。かねて豪州が要望していただけに、王氏の訪豪にあわせて中国が発表するとの見方があった。
ところが中国は王氏の豪州滞在中には明らかにせず、1週間後に商務省から発表した。事務的な調整に時間がかかったことに加え、中国が米英との安保協力を深める豪州に不信感を抱いた可能性がある。』
『米英豪は中国抑止を念頭にした安保協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じ、豪州へ原子力潜水艦の配備を計画する。英豪両政府は21日、両軍の往来を円滑にし、踏み込んだ合同軍事演習などを可能にする地位協定に署名した。
中国は貿易拡大をテコに豪州に接近し、米英との分断を狙う。王氏は21日、シドニーでオーカスに批判的な立場をとるキーティング元首相と会談した。「豪州が自らの利益に基づいて独自に政策を定めることを歓迎する」と伝えた。』