ハイチで死者急増 国連、続く武器密売「衝撃的」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28DRO0Y4A320C2000000/
『2024年3月29日 3:01 (2024年3月29日 8:49更新)
【メキシコシティ=市原朋大】国連が28日公表した報告書によると、カリブ海の島国、ハイチでギャングの暴力による死傷者が急増している。1〜3月は1500人超が死亡し、800人超が負傷した。密売された武器や弾薬がギャングに渡ってさらなる治安悪化を招いており、国際社会に規制強化も求めた。
首都ポルトープランスは8割をギャングが掌握しているとされ、食料をはじめ生活物資も慢性的に不足している。2023年通年…
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『2023年通年の死者は4400人超、負傷者は1700人弱だった。「24年1月、2月が過去2年間で最も暴力的な状況だった。これまで平和だった郊外など新たな地域に暴力が広がりつつある」(国連)
人質とした女性への性的虐待やメンバーからの脱出を試みた未成年者の殺害など、ギャングの手法は残虐性を増している。混乱が長引くハイチでは警察による治安維持が機能しておらず、住民がやむなくバリケードを築くなどして自警団を結成。ギャングを刺激し、抗争が激化する負の連鎖に陥っている。
アリエル・アンリ首相の辞意表明を受け、国連安全保障理事会が承認した多国籍治安維持部隊を率いる予定だったケニアは派遣の延期を表明した。報告書は「悲惨な状況にもかかわらず、武器が流入し続けているのは衝撃的だ」として、ハイチの民主化プロセス支援のためにも多国籍部隊を緊急展開する必要性を訴えた。
米国本拠の非営利団体、ハイチアン・ブリッジ・アライアンスは人権団体や移民支援団体ら481組織と共同で書簡を発表し、米国政府に強制送還をやめ、ハイチ人移民を一時的に保護するよう求めた。ロイター通信が報じた。米国やカナダはハイチからの出国を希望する自国民の避難を本格化させている。
2021年に暗殺されたモイーズ大統領の後任を選ぶ暫定評議会が機能するまでにはなお、時間がかかりそうだ。有力なギャング集団を率いる「バーベキュー」ことジミー・シェリジエ氏は戦闘の継続を宣言しており、治安は膠着状態に置かれている。
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