3分で心を癒やす「自律訓練法」 力みが取れて体が軽く

3分で心を癒やす「自律訓練法」 力みが取れて体が軽く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD267AF0W4A220C2000000/

『2024年3月28日 5:00

頭痛や、おなかを壊すなど、ストレスが原因で体の不調が起きているとわかったら、どうしたらいいのだろう。まず自分がすべきこと、受診の目安、そして精神科と心療内科の違いなどについて、SNS(交流サイト)で話題の心療内科医「内科医たけお」さんに詳しく聞きました。

まずは緊張をゆるめる自律訓練法から

ストレスが体の不調症状に関わっていることに気づいたら、悪化しないうちに、速やかに対処をしたい。

「心身…

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『3分でできる自律訓練法とは?

(1)座るか横になり、静かに目を閉じて呼吸を整える。

(2)心の中で「気持ちが落ち着いている」と3回唱える。

(3)心の中で「両手が重たい」を3回、次に「両足が重たい」を3回唱える。

(4)心の中で「両手が温かい」を3回、「両足が温かい」を3回唱える。

(5)消去動作として、目を閉じたまま手を握って開き、伸びをして目を開ける。

※(5)の動作は「消去動作」といい、リラックス状態から元に戻るために行う。眠るときはそのまま寝てしまってよいが、そうでない場合は消去動作を必ず行う。』

『食後や起床後、寝る前など、1日に2〜3回、2週間ほど続けてみよう。会議の前、なかなか寝付けないときなどもお薦め。「ストレスがあると日常的に緊張が強くなっていて、心身がゆるむ機会が少ない。普段から自律訓練法をリラックスの習慣に取り入れるといい。繰り返し行うことで心地よくゆるむ感覚が実感できるようになる。心身の状態の変化にも気づきやすくなる」』

『不調の記録をしておくことも大切

一人でできるセルフケアとして「記録する」ことも有効な対処法だ。「診療現場では患者さんに『 記憶より記録』と伝えている。痛みなどの症状の記憶は、強いものほど残りやすい。その記憶や症状にこだわることでさらにストレスが増幅し、悪循環を起こす。一方、客観的な記録を続けると、症状にも弱い・強い時期があることを冷静に認識できるようになる」』

『心療内科は実は「心理療法内科」
自分なりに対処をしてみてもストレス不調による症状が改善しない、生活に支障が出ている、というときは受診を検討しよう。とはいえ、どの科を受診すればいいか悩むかもしれない。

実は、同じストレスが関わる不調でも、本来は「心療内科」と「精神科」では診る病気が異なる。「心療内科は、ストレスが原因となり身体症状が表れているとき、精神科は、うつや、うつによる不眠など精神症状が表れているとき、とカバーしている病気が異なる」』

『ストレスによる困りごとが精神面で出ているなら精神科、体の症状に出ている場合は心療内科、と覚えておこう。心療内科では、ストレスにともなう体の病気を幅広く診る。ストレス時におなかが痛くなり、下痢や便秘を伴う過敏性腸症候群は代表的な心身症。それ以外にも、片頭痛、糖尿病、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、PMS(月経前症候群)など、原因の一部が心理的ストレスに起因することがわかっている病態は心身症に分類される。
「心療内科とは、心理療法内科の略。身体疾患の診断と治療を専門としつつ、心の問題にも配慮していく」』

『もちろん、ファーストステップとして内科や消化器内科など困っている症状ごとの専門科を受診してみるのもいい。それでも症状が改善しない場合は、ストレス要因が大きいと考えられるので心療内科の出番となる。心療内科では詳しい問診を行い、症状そのものに対する薬物治療と合わせて、原因となるストレスを根本的に解決していく。

「原因となっている病原体を殺す薬で治療する肺炎などとは異なり、心身症を改善していくには自身のストレス対処力を引き出していくことが不可欠になる。医師との信頼関係を築くことも大事なので、相性が合わないと感じたら病院を変えるのも選択肢。ただ、薬物治療も心理療法も試行錯誤をしていくことになる場合が多いため、1回の受診だけで結論を出さず、最低3回は通ってほしい」

診療科の名前は、心療内科、精神科、神経科などさまざまな名称があるのが現状だ。「残念ながら、現在、心療内科医の数が少なく、精神科医が心療内科を標榜していることも多々ある」(大武さん)。受診前にウェブなどでチェックを。精神科医ではなく、心療内科医に診てもらいたいなら「日本心身医学会」「日本心療内科学会」の医師リストを見てみよう。』

『心療内科、本来は精神科とはカバー範囲が異なる

どちらに行くべきか? 実は異なっている2つの科

精神科

「主に精神症状が出ている場合」は精神科を受診する。うつ病、適応障害、双極性障害、幻覚や妄想などを特徴とする統合失調症、発達障害など。精神科では、それぞれの精神症状に合わせた薬物治療を行う。

心療内科

「ストレスが要因となる体の不調」を診るのが心療内科。過敏性腸症候群、機能性ディスぺプシア、片頭痛、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、PMS(月経前症候群)などがあり「心身症」と総称される。心療内科では薬物治療とともにストレスへの対処法を探す心理療法も行われる。』