ガザ停戦決議にイスラエル硬化 代表団送らず、米と亀裂

ガザ停戦決議にイスラエル硬化 代表団送らず、米と亀裂
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR260150W4A320C2000000/

『2024年3月26日 8:07

【カイロ=久門武史】イスラエルは25日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの地上侵攻の代替策を協議する代表団の訪米を中止した。ガザの即時停戦を求める国連安保理決議に米国が拒否権を行使しなかったのを受け、態度を硬化させた。ラファ侵攻回避は一層見通せなくなり、米国との亀裂は深まる。

「一貫した立場からの逸脱だ」。イスラエル首相府は25日の声明で後ろ盾の米国をなじった。ワシントンへの代表団の派遣は、バ…

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『ワシントンへの代表団の派遣は、バイデン米大統領が18日にイスラエルのネタニヤフ首相に電話で要請していた。中止は強い不快感を示す。』

『安保理による25日の即時停戦要求は、昨年10月の戦闘開始から初めて。米国は投票を棄権し、国際社会が一致してイスラエルに圧力をかけるのを容認した。イスラエルの自衛権を尊重してきた米国の姿勢は変化している。』

『ラファには避難民ら150万人が密集し、地上侵攻で民間人の犠牲が膨らむのは避けられない。米国は「ラファで達成したい目標は他の手段でも達成できる」(サリバン大統領補佐官)とし、今週イスラエルとの高官協議で落としどころを探るとされていた。

「ワシントンに来ないのは非常に残念だ」。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は失望をあらわにした。』

『ネタニヤフ氏は22日、ラファ地上侵攻について「米国の支持を望むが、必要であれば単独でやると伝えた」と明言していた。強硬姿勢を崩さないのは、内政的にいま矛を収める理由が乏しいからだ。』

『シンクタンク、イスラエル民主主義研究所が今月公表した世論調査では、ユダヤ人の74%がラファ地上侵攻を支持した。人質解放を訴える市民のデモは強まる。取り戻せないまま停戦に応じれば、昨年ハマスの奇襲を許したネタニヤフ氏への退陣圧力が増す。政権延命をかけた打算が働く。

カタールで継続中の戦闘休止と人質解放に向けた交渉にも関わる。一貫してラファ侵攻をちらつかせ、軍事的圧力でハマスから人質解への譲歩を引き出す方針だ。』

『こうしたネタニヤフ政権の論理と、国際世論との溝は広がる一方だ。国連のグテレス事務総長は25日、訪問先のヨルダンで「ラファ地上侵攻は人道的破滅を意味するとの国際的合意が強まっている」と述べ、停戦を重ねて求めた。ガザ保健当局によると、ガザ側死者は既に3万2千人を超えた。

犠牲者の増加を顧みないイスラエルを支援するバイデン政権に対し、米国ではアラブ系や若年層の批判が強い。一方、イスラエルの安全保障を脅かす支援停止は、ユダヤ系の支持層の反発を招く。』

『11月に米大統領選を控え、バイデン氏が抱えるこの二律背反の苦しさをネタニヤフ政権は見透かしている。

イスラエルは弾薬供給などを米国に頼っており、バイデン政権が支援を止めれば戦闘継続は難しい。包囲網が狭まっているのは自覚しつつ、強硬姿勢を貫いて少しでも時間を稼ぎ、目標達成に近づこうとしている。

訪米中のガラント国防相は25日「人質がガザに捕らわれているのに戦争をやめる道徳的権利はない」と強調した。』