露軍のハードウェアのうち、砲熕兵器の摩滅減損が深刻。
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『Tom Holsinger 記者による2024-3-20記事。
露軍のハードウェアのうち、砲熕兵器の摩滅減損が深刻。これは外からは目に見えない。目に見えるハードウェアでは、AFVの損耗がやはり深刻。
このダブルパンチで自走砲が急減しているため、古いストックの牽引砲をひっぱりだして穴埋めさせている。
最終在庫品は、牽引式122ミリ榴弾砲だ。50年以上前の製造だが、2021年時点で4000門あったと推計されている。
この122ミリ牽引野砲が消耗すると、もうストックは無い。新造するしかない。しかしロシアの砲熕野砲の年産力は、200門くらいである。
砲熕兵器の年産量を2000門くらいに引き上げないと、ロシアは、2024年以降、継戦が難しくなるだろう。
現代の大砲は、砲身が二重構造になっていて、内側のライナーチューブだけ交換できるようになっている。しかし、このライナーを長期戦に備えて余分に保管しているような国は、どこにもない。
ライナーだけ増産させようとしても、その新プラントの計画から操業開始までには2年かかる。
ライナーの寿命は、ロシア製火砲の場合、1000発である。西側製火砲でも、1500発から2000発でライナー交換が必要になる。
ライナーが磨り減っても砲弾は発射できるのだが、最大射程は縮み、着弾がバラつくようになる。新品の大砲の5倍から20倍の砲弾を発射しなければ、敵に有効打を与えられなくなってしまう。
そのくらいならまだいいのだが、最悪、「腔発」が起きてしまう。大砲そのものが「爆発した葉巻」みたいになってしまうのだ。
122ミリ加農の場合、もともと最大レンジは十五加にくらべて不利なので、最強装薬で発射することになる。近距離で射ち合えば、特攻ドローンの餌食にもなりやすいから、とにかく弱装薬での発射など、あり得ない。これが、ますます焼蝕を加速する。
古い4000門のストックのうち、いまさら使用に耐えるのは3000門だろう。しかもそれらは、ライナーの「余命」が1000発ぐらいしかないであろう。
もしそうだとすれば、露軍は122ミリ砲弾をあと300万発、発射したところで、大砲がなくなってしまう。』
※ 『6 月の戦闘におい
てロシア軍が使用した砲弾数は、1日あたり約 50,000 発3とも、70,000 発4と
も言われている。( https://www.mod.go.jp/gsdf/tercom/img/file2113.pdf )』
『ロシア軍には1日に1万発発射できるほどの砲弾の在庫がある。ウクライナ軍が今年、ピーク時に発射できると見込まれる砲弾数よりもさらに数千発多い。( https://forbesjapan.com/articles/detail/69826/page3 )』
※ 「1日1万発」で計算すれば、「300日」(≒10カ月)ということだが…。