フランス、グーグルに制裁金410億円 報道記事使用巡り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR204920Q4A320C2000000/
『2024年3月21日 3:33
【パリ=北松円香】フランスの競争委員会(日本の公正取引委員会に相当)は20日、米グーグルに2億5000万ユーロ(約410億円)の罰金を科すと発表した。人工知能(AI)の開発に各メディアの記事を無断で使用したほか、各社との記事使用料を巡る協議に誠実に応じるなどの約束を履行しなかったとしている。仏競争委が記事使用を巡って同社に制裁金を科すのは2021年に続き2回目。
仏競争委によるとグーグルは事実関係については争わない姿勢を示し、今回指摘された不履行に対応するため是正措置を提案しているという。
欧州連合(EU)は19年にIT(情報技術)大手に記事の使用料の支払いを義務付け、フランスも合わせて改正著作権法を施行した。仏競争委は同法を踏まえてグーグルに記事使用料に関してメディアと交渉するよう求め、誠意ある協議がなかったとして21年に5億ユーロの制裁金を科した。
グーグルはその後、メディアとの誠実な協議や、メディアが適正な報酬を算出するために必要な情報の開示など7点を約束したが、仏競争委はうち4点の履行が不十分だとして2度目の制裁金に踏み切った。
特に同社の人工知能(AI)のBard(バード、現Gemini、ジェミニ)について「メディアにも仏競争委にも知らせず、基盤モデルのために報道機関や出版社のコンテンツを利用していた」と批判した。
またメディアに対してバードによるコンテンツ使用を拒否する(オプトアウト)する技術的な選択肢を示さず、メディアによる適正な報酬交渉を妨害したとしている。
AIによる記事使用の是非を巡っては、米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)がオープンAIと同社に出資する米マイクロソフトを著作権法侵害で訴えている。また欧州メディア32社がデジタル広告で損害を被ったとしてグーグルを訴えるなどメディアとIT大手の対立が深まっている。』