難航していたウクライナへの軍事支援、EU加盟国が50億ユーロ提供で合意
https://grandfleet.info/european-region/eu-member-states-agree-to-provide-5-billion-euros-in-military-aid-to-struggling-ukraine/
『2024.03.14
EU外務・安全保障政策上級代表のボレル氏は13日「ウクライナに50億ユーロの軍事支援提供で加盟国が合意した」と発表、これでEUは財政支援と軍事支援を用意出来たことになり、ウクライナに対する資金供給が正常化するかどうかは米国の決定待ちになった。
参考:EU agrees 5 bln euro boost for Ukraine military aid fund
あとは米国の支援が決まればウクライナに対する資金供給は正常化する
EUは通常予算を軍事支援に割り当てることが出来ないため、ウクライナ向けの軍事支援は通常予算外の基金=欧州平和ファシリティ(EPF)を通じて行われており、過去2年間で56億ユーロ相当の軍事支援を提供していたが、新たなウクライナ向けの軍事支援はEPFの見直し議論に巻き込まれて合意が遅れていた。
出典:PRESIDENT OF UKRAINE
EPFに最も多くの資金を拠出しているドイツは二ヶ国間支援を増やすため「これにかかった費用をEPFへの拠出金からを差し引きたい」と提案したもののEU当局が反対し、フランスは「約束した砲弾100万発を期限内にウクライナへ届けるため域外調達を行うべきだ」と訴えたポーランドやバルト三国と衝突したことがあり、見直し議論の中で「EPFの資金はEU域内からの調達に限定する条項を設定すべきだ」と主張したが、迅速なウクライナ支援のため域外調達を主張する国々が反対。
この相違点について加盟国の関係者は「妥協案がみつかった」と明かし、EU外務・安全保障政策上級代表のボレル氏も13日「EPFを通じた50億ユーロ分の軍事支援提供で加盟国が合意した」と発表。
We made it: #Coreper agreed on the #UkraineAssistanceFund.
The Fund will allow us to step up our military support to #Ukraine with another €5 billion.
The message is clear: we will support #Ukraine with whatever it takes to prevail.#EuropeanPeaceFacility
— Josep Borrell Fontelles (@JosepBorrellF) March 13, 2024
合意された最終文書には「拠出金の算出時に二ヶ国間支援にかかった一部費用を考慮する」「EPFの資金はEU域内からの調達を優先し、ウクライナのニーズに見合った期限に間に合わない場合にのみ例外を認める」と妥協案が盛り込まれているため、チェコの取り組み(域外から砲弾80万発調達)にEPFが使用が可能になり、EU外務理事会で承認されればウクライナ向けの軍事支援が確定する。
これでEUは財政支援と軍事支援を用意出来たことになり、ウクライナに対する資金供給が正常化するかどうかは米国の決定待ちだが、ジョンソン下院議長を迂回した強行採決が実現するかどうかは何とも言えない。
関連記事:ウクライナ軍が直面する砲弾不足の原因、問題は何処に潜んでいるのか
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 66 』
『
gepard
2024年 3月 14日
返信 引用
ジョンソン下院議長を迂回して採決に持ち込む方法には218名の署名が必要になるため、下院民主党と共和党からの造反5名が必要になる。
トランプが共和党を正式に乗っ取った現在はハードルはさらに高くなっていると個人的に感じている。
ちなみにジョンソン議長を含む多くの共和党議員はウ支援そのものへの反対ではなく、ウ支援を優先して国境管理と不法移民対策にバイデンが消極的なことを批判している。バイデンが国境管理で譲歩し、大統領令で対処する姿勢を見せればウ予算を通すのは容易だろう。
しかし低支持率に苦しみトランプとの世論調査対決で現状負けているバイデンはウ支援の為に自らの支持層の離反を招く決断をすることは恐らくない。
ウ予算の問題はアメリカの国境次第で決まると断言しても良いだろう。』