ハイチ混迷、ギャングが支配 率いるは「バーベキュー」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13DH50T10C24A3000000/
『首都の8割をギャングが制圧し、食料不足が深刻化している(12日、首都ポルトープランス)=AP
【メキシコシティ=市原朋大】ハイチのアリエル・アンリ首相が辞意を表明し、首都ポルトープランスの8割を制圧したギャングが勢いづいている。国連の多国籍部隊を率いる予定だったケニアも、1000人規模の治安維持部隊の派遣を延期すると表明した。カリブ海の島国の政情悪化は深刻だ。
4000人前後の囚人の集団脱獄を受けて首都を含む地域に非常事態宣言が発令され、殺人や誘拐、暴行、略奪などの凶悪犯罪が多発する。治
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『ハイチでは21年にモイーズ大統領が暗殺され、ギャングによる支配が強まった。大統領職は空席のままで、選挙の予定も先延ばしされている。この間に複数のギャングが乱立し、暴力と懐柔によって首都と周辺地域で勢力を拡大してきた。
有力なギャング連合を率いるのは、別名「バーベキュー」として知られる元警察官のジミー・シェリジエ氏。ケニアを訪れていたアンリ氏が帰国すれば殺害すると脅し、国外に滞在していたアンリ氏を辞任表明に追い込んだ。その別名は対抗勢力を焼き尽くす残虐さに由来するという説もあり、米国の制裁対象者にも名を連ねる。
地元メディアによると同氏はかねてアンリ政権の転覆を公言し、地元メディアによると「国際社会がアンリ氏を支持し続けるなら内戦となり、大量虐殺が起きるだろう」と脅していた。国家警察と陸軍にアンリ氏の逮捕を求めており、2日夜に起きた刑務所からの集団脱獄にも関与を認めた。』
『カリブ共同体(カリコム)はハイチで選挙による新政権発足を支援するための暫定評議会を設立することで合意した。アンリ氏は暫定トップが選出されれば辞任するとしている。ただギャングを率いるシェリジエ氏はこの評議会によって設立された政府を承認しないと宣言しており、民主的な政権の発足にはなお壁がある。
国連世界食糧計画(WFP)は12日、ハイチでは140万人が「飢餓の一歩手前」の極限状態に置かれていると警告した。港湾や道路がギャングにより封鎖され、食料の持ち込みも制限されている。栄養失調の割合は他国の戦闘地域に匹敵する水準だ。
WFPのシンディ・マケイン事務局長は「温かい食事のための資金はあと2週間で尽きる」と訴える。
ブリンケン米国務長官はケニアが主導する治安維持部隊の派遣に追加で1億ドル(約147億円)を拠出し、拠出額を計3億ドルに積み増す考えを表明した。欧州委員会も13日、人道支援に2000万ユーロ(32億円)を拠出すると発表した。ただ米国内にはハイチの政情悪化によって米入国を目指す不法移民が増えると懸念する向きも多い。』