うーん、何か今頃になって本気だしてきた対ロシア網
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/33697970.html
『最近、フランスのマクロン大統領が「我が国の兵士をウクライナに送る可能性を排除しない」と発言して、物議をかもしています。明確に対ロシアを意識した発言ですが、開戦当初、戦車・航空機・長距離ミサイルを絶対に援助しないと断言していた態度と比べると格段の差ですね。言ってしまえば、「問題がウクライナ一国の取引で済むなら、どう転んでも政治的に解決する用意があったが、EU全体の安全保障にかかわってきたので、真剣に取り組みます」と言い始めたという事です。
ヨーロッパで国単位の取った、取られたというのは、普通に繰り返してきた歴史があるので、欧州の政治家が口で何を言っていようと、ウクライナ一国の影響で事が収まった場合、政治的には解決する用意があったと思います。ウクライナという国が無くなろうと、ウクライナ人がロシアに民族浄化されようと、自国に多大な被害が出ない限り、静観する構えだったはずです。
第二次世界大戦ぐらいまでは、力のある国が、勝手に当事者抜きで、国境線を変更して、それで政治的な取引を当たり前にしていたのが欧州なので、別に力で領土を取りに行く事は、さほど奇異な事ではありません。それをやっていると、欧州全体が滅びるから止めようというのがEUが設立された一つの目標だったりするので、反動で左翼思想全開の巨大官僚組織になったとも言えます。もし、ロシアによる「力による現状変更」を、本気で止める気があったなら、攻め込む前に、武器の支援やら、声明やら、決してロシアが無傷で済まない事をアピールしていたはずですが、「私達は凄く懸念しています。良くないと思っています」と言いつつも、「同盟国ではないので、武器は援助しません」と念押しもしていました。だから、プーチン氏は、「攻め込んでも、遺憾砲の連発くらいで、実際に何かできる国は欧州にはない」と考えたのでしょう。実際、NATOの軍としての弱体化は、実際に戦えるかどうかというレベルまで進んでいました。「戦争は起きない」という前提で、予算が削られまくっていたからです。プーチン氏が「特別軍事作戦」と呼んでいたのは、「戦争ではない」という名目さえたてとけば、西側は過剰反応せず、損得勘定でウクライナをあきらめるだろうと踏んだからです。
ただし、過去に一度でも旧ソ連に自国を蹂躙された国は、支配されれば地獄になる事は知っていたので、東欧と西欧での温度差というのは、際立っていました。特にポーランドは、いつロシアと戦争になるか判らないという前提で、陸軍の増強を進め、恐らく欧州でも最大の軍事国家になりつつあります。結局、EUが東欧諸国の多くを取り込んでいた事が、今回の件をなぁなぁで済ます事のできなかった原因になりました。実際、ノルドストリームを破壊されて天然ガスの供給を止められる前のドイツでしたら、余計な騒動に発展せず、ゼレンスキー政権は、さっさと解体されてウクライナという国名を残したまま、ロシアの傀儡国家になるのが最も被害が少なくて済んだので、それを望んでいたと思います。実際、ウクライナ政府が救援を要請しに行った時、「外交は次の政権とするから、今は何も決めない」と言われたらしいですからね。
どうも、そのレベルでの終結が危うくなってきたので、少なくてもロシアが譲歩するくらいまでは、戦果で叩いておかないと、欧州が不利な条件で紛争が終結する可能性が出てきたので、最近になって本気を出し始めた感じですね。とはいえ、EU全体としては、まだ「他国の紛争」という雰囲気を出していますけどね。ただ、支援すると言っても、砲弾の生産能力すら、ままならない状態なので、実質的に役に立つレベルで出来るかは微妙です。マクロン氏も、どこまで本気か怪しい部分もありますし、イギリスなどは、本音を言えば、経済がガタガタで戦争どころじゃないでしょう。ドイツは基本的に、決定的にロシアと喧嘩する気は、今でも無いです。
こういう欧州を見ているからこそ、イスラエルはEUが何を言っても、自分の判断で紛争をコントロールする意思を曲げないわけです。口で何を言われても、守られる保証は無いし、状況が変化すれば、無かった事にされるし、そういう中で、同胞を600万人失ったわけですから、他所からどう罵られようとも、今更気にしていられないという感じですね。この前、亡くなったイギリスのドキュメンタリー映画の監督でルーク・ホランド氏という方がいるのですが、遺作になった「ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言」という作品で、そろそろナチス支配下のドイツを体験している年代が90歳を越え始めて、証言できる人がいなくなるという事で、加害者側の視点からのナチズムを題材にしています。
この作品の中で、アウシュヴィッツ収容所の近くの村で、子供の頃に施設の煙突からユダヤ人を焼く煙が上がっていたのを常に見ていた老人が、「私達は知らなかったんです。」とインタビューに答える横で、別の老人が「嘘つけ。私達は何が起きているか誰でも知っていた。知っていて、黙っていたんだ」と告発するシーンがあるのですが、欧州の政治というのは、まさにこういう状態です。EUというのは、それを「ポリコレ」という砂糖菓子で包んだ団体と考えれば大体合っています。なので、思想的に過激に走りがちなんですね。一律に何でも、どこでも同じに行う事を強制してくるので、各国で反EUの動きが活発になるわけです。』