バイデン米大統領、トランプ氏は「危険」 一般教書演説

バイデン米大統領、トランプ氏は「危険」 一般教書演説
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『2024年3月8日 7:04 (2024年3月8日 13:32更新)

バイデン米大統領は中間層や低所得層を重視する姿勢を強調した=AP

【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン米大統領は7日夜(日本時間8日)、連邦議会の上下両院合同会議で内政・外交方針を示す一般教書演説に臨んだ。11月の米大統領選で対決が確実な共和党のトランプ前大統領を「危険だ。受け入れられない」などと批判した。

経済政策では大企業や富裕層への課税強化を訴えた。「億万長者に25%の最低税率を提案する」と述べた。

バイデン氏は演説の冒頭「リンカーン大統領と南北戦争以来、

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『バイデン氏は演説の冒頭「リンカーン大統領と南北戦争以来、今日ほど自由と民主主義が国内で攻撃されていることはない」と発言した。「自由と民主主義が国内外で、まさに同時に攻撃を受けている」と力を込めた。

前大統領の存在とロシアによるウクライナ侵攻が念頭にある。

「我々がウクライナとともに立ち、自国を守るために必要な武器を提供すれば、ウクライナはプーチン(ロシア大統領)を阻止することができる」と強調した。議会にウクライナ支援を含む緊急予算案の審議を進めるよう改めて要請した。

前大統領がプーチン氏に融和的な発言をしたと指摘し「ロシアの指導者に頭を下げて、実際に言った」と述べた。「危険だ。受け入れられない」と加えた。

2021年1月6日の議会襲撃事件について「私の前任者やここにいる何人かは真実を葬り去ろうとしている」と非難した。「党派に関係なく、力を合わせて民主主義を守ろう」と呼びかけた。

中国を巡っては「我々は競争を望んでいるが、対立は望んでいない」と改めて語った。「台湾海峡の平和と安定のために立ち上がる」とも述べた。

バイデン氏の一般教書演説は2023年2月に続き3回目になる。富裕層や大企業への増税は政権発足後、たびたび主張してきたが、下院で多数派を占める野党・共和党の反対などで実現してこなかった。

ホワイトハウスによると現在は様々な優遇措置があり、富裕層の多くは全所得に対する実質の平均所得税率が8%にとどまる。法人税は最低税率を現在の15%から最低21%に引き上げる。11月の大統領選に向けた、事実上の公約になる。

トランプ前大統領は在任中、法人税を減税した。バイデン氏は中低所得層や中小企業を重視する姿勢を打ち出し、前大統領との政策の違いを鮮明にした。

バイデン氏は「ボトムアップとミドルアウト(低所得層と中間層の底上げ)から経済を構築する。米国全土、全ての米国人に投資する」と説明した。

一般教書演説は米大統領が1年間の内政・外交など政策全般にわたる方針を連邦議会で表明する場だ。今年はバイデン氏が2期目もにらみ大統領選での公約を訴える場としての側面もある。共和議員からは時折、やじが飛んだ。

バイデン氏は「私は生涯を通じて、自由と民主主義を受け入れることを学んできた」と言及。政治的に対立する相手に厳しい言動などを繰り返す前大統領を念頭に「恨み、復讐(ふくしゅう)、報復という米国の物語には私は相いれない」と説いた。

人工妊娠中絶の権利を守る立場を訴えた。共和は保守派を中心に中絶禁止を主張する。権利維持を求める女性に寄り添う姿勢を示し、無党派層の支持拡大をはかる。

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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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ひとこと解説 共和党でトランプ前大統領の候補指名が確実になり、バイデン氏の健康と認知能力に懸念が広がる中でのスピーチで、疑念を払拭したいバイデン氏は元気さと力強さを目いっぱいに演出したようです。

原動力は執拗なトランプ批判。冒頭から何度も出てきたのが「My predecessor(私の前任者)」という言葉でした。ロシアのプーチン大統領との関係、3年前の1/6に起きた連邦議会占拠事件、妊娠中絶の禁止、新型コロナウイルス対応……。ことごとくトランプ氏をやり玉にあげ、議場の民主党議員から「もう4年!」と再選を訴えるかけ声まで上がりました。

結束を訴えて就任したバイデン氏もいまや「敵意」を頼みにするしかないようです。

2024年3月8日 13:42 (2024年3月8日 14:00更新)

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