アメリカのテック企業で進む大量解雇
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/33624997.html
『アメリカのテック企業で解雇が進んでいます。1月も多かったのですが、2月に入っても勢いが止まりません。アメリカのニューヨーク・ダウが史上最高値を、この前更新していますので、景気が悪いわけでは無いはず。(判りやすくする為に、断定的な書き方をしていますが、このブログの判断として、ニューヨーク・ダウの株価は、必ずしもアメリカの景気を反映していないと考えています。)この大量解雇の嵐は、どこに原因があるのでしょうか。
今年に入って、アメリカのテック業界で解雇された人数は、既に42324人に上っています。テック企業の特徴を見ると、一芸特化で業績拡張をしてきた企業が多く、そういう企業にとって、業績と経営を安定させる為に調整が必要な時期に来ていると言えるようです。目立ったところを列挙すると、次のようになります。
Cisco(ネットワーク機器製造・販売)・・・・・4250人
Snap(業務用メッセンジャーソフト)・・・・・500人
Sony(SOEのゲーム開発部門)・・・・・900人
Bumble(出会い系マッチングアプリ)・・・・・従業員の30%
Expedia(旅行・オンライン予約)・・・・・商品開発・オペレーション部門で1500名
いずれも、業績が悪化していて、大量の解雇によるコストの圧縮で対抗しようとしています。面白いのは、こうして解雇で人件費をカットする一方で、自社株買いをして、株価を買い支えている企業もある点で、必ずしも解雇と株価の関係は比例していない点です。つまり、人員整理=株価下落では無いという事です。こういう仕組みもあるので、上場している株価が上がったから景気が良いと、断定して言えない部分があります。実際、アップルがEVから全面撤退して、恐らく関連従業員の配置転換か大量解雇があるはずですが、損切りが評価されて、一時期株価が上がりました。
2024年の一日あたりのテック企業の解雇は、780名になる計算です。これだけの人数が職を失っているのに、失業率が上昇基調にあるとはいえ、未だ低いというのが、なかなか統計の闇を感じる部分です。さて、なぜに業界単位で人員削減が続くのかです。一つには、コスト意識が高く、財務に厳しい企業が投資家に評価されるという、市場のトレンドがあると言われています。そういう姿勢を見せると、投資家から評価されて、高金利で金融機関から資金を借りにくい時期に、投資を集めやすいという事ですね。先日の商業不動産の借り換えでも話題にしましたが、この政策金利の高止まりは、かなり事業運営には効いていますし、経済の一画を壊しつつあります。それよりも、インフレ退治が優先課題なので、止めるわけにいかず、ある程度経済が死ぬのは折込済みです。
アメリカの物価は、マクドナルドが「気軽に入れるお店でなくなる」ぐらい値段が高騰しています。日本の感覚で考えていると、その馬鹿高い値段に驚愕します。サラリーマンの昼食は、バナナ1本とかピーナッツバターだけを塗りたくったサンドウィッチ一枚を、ビニール袋に入れて弁当にする人が増え、夕食はピザという値段で食事内容を決める人が増えています。こうした偏った食生活で、アメリカの平均寿命は、先進国中で最下位です。これは、事実上普及していない国民保険制度のせいもあります。日常的に大病すると、治療費で破産するので、健康を崩したら詰みです。また、少し調子が悪いくらいで、気軽に医者にかかれません。
え、どこかの発展途上国の話ではありませんよ。アメリカの普通の市民の話です。ちなみに、業務出張している日本人が会うアメリカ人は、恐らく上澄みの人達なので、知人を基準にして生活レベルを考えると、その国の平均の生活レベルを見誤ります。中国人でも、日本に出張してくる人達は、上澄みの人達で、地方に行けば未だに生活レベルが清朝時代と変わらないところは多いです。壁は土壁ですし、良くてレンガです。高層ビルがヤケクソのごとく林立しているのは、本当に一部の地域に過ぎません。なので、中国人旅行客が、日本で驚くのが、田舎でも生活レベルが都会と差が無い点です。この差というのは、農村と都会では、別の国かと思うくらい差があるのが中国で、受けられる教育のレベル自体が天地の差があります。その上、農村からの居住移動を制限しているので、基本的に地域から外に出て生活する事ができません。戸籍が農村と都市で分けられているので、出稼ぎで都会に労働力として入っても、その都市に永住できる人間とは見なされません。体が壊れるまで使われて、役に立たなくなったら、実家に帰るしか無い人々です。
ちなみに、その実家も、維持が難しくなっていて、将来的には帰る場所が無くなる出稼ぎ労働者が増えてると予想されています。当然ながら、若手が農業から離れて都会に出ると、実家と土地を守るのは、老人だけになり、管理が体力的に不可能になって休耕地になる畑が増えています。畑だけならまだしも、家も親世代が亡くなったら、人が管理しなくなり、廃墟になります。この後継ぎのいない空き家問題が、新たな農村の課題になっていて、年老いた農民工が実家すら失うという社会問題にもなっています。ちなみに、中国は自国だけで食料を賄えない国です。大量に食物を輸入しないと、国が立ち行かなくなります。この前、習近平氏が号令をかけて食料増産を指示し、見せかけだけの耕作面積の拡大を行いましたが、農作をする人がいないので、農業生産能力は落ちています。役人は、書類上で新たに開拓した耕地を数字で示せば評価されるので、道路の一部のアスファルトを剥がして畑にしたり、公園を潰して畑にするなんて事をやっていました。もちろん、実績に繋がるはずもなく、単にインフラを破壊しただけで終わっています。
アメリカも中国も、ついでにロシアもそうなのですが、面積が広く、人口が多い国は、いかに「大多数から薄く広く収奪するか」で、一部の人が富を独占する傾向があり、それが地方に住む人々の生活を破壊する方向に作用します。凄く簡単な言い方をすると、「国内に奴隷が欲しい」のです。今のロシアで言えば、命を換金して戦争で鉄砲玉をやってくれるスラブ民族以外の少数民族であり、中国で言えば働ける間だけ言い値で労働力を提供してくれる農民工であり、アメリカであれば、法外の賃金で雇える不法移民の人達です。ちなみに、テキサス州あたりでは、不法移民排除を訴えていますが、そこに住む上流階級は、メキシコ人の不法移民をメイドや庭師として雇っています。そういう階級の奥様は、社会運動に参加していて、家の事はメイドにやらせています。しっかり恩恵は受けていて、病気とか怪我をしたら、即解雇です。不法移民ですから、彼らが警察に通報する事はありません。
なので、都市部と地方では、まるで世界が違う事と、株価で示されるような経済は、国全体を代表していない事を把握しておかないと、世の中を見る目が濁ります。』