東欧モルドバ情勢再び緊迫 分離勢力がロシアに保護要請

東欧モルドバ情勢再び緊迫 分離勢力がロシアに保護要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR29E2R0Z20C24A2000000/

『【ウィーン=田中孝幸】旧ソ連圏の東欧・モルドバ情勢が再び緊迫している。同国東部の一部を実効支配している親ロシア派勢力の議会は28日、モルドバ中央政府の圧迫からの保護をロシア側に要請し、同国外務省は「注意深く検討する」と応じた。

フランス外務省は29日、数日以内にパリで開く欧州の外相・国防相協議でモルドバを支援する方策を検討すると発表した。欧米各国はロシアがウクライナと接するモルドバの親欧州政権を…

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『欧米各国はロシアがウクライナと接するモルドバの親欧州政権を揺さぶろうとしていると警戒する。

20万人のロシア人が住むとされるこの地域では1990年に親ロシア派が「沿ドニエストル共和国」として分離独立を宣言した。92年以来、ロシア軍が駐留し、中央政府の支配が及んでいない地域になっている。

ロシアはモルドバのEUや北大西洋条約機構(NATO)への加盟を阻むために有用とみてこの地域を支援してきた。住民は費用を支払わずにロシア産天然ガスの提供を受けてきた。

ただ、2年前に始まったロシアのウクライナへの全面侵攻で沿ドニエストル側とウクライナとの境界は閉鎖された。これで地域の企業は独自の輸出入ができなくなり、関税収入など財源も減少した。

経済的な窮状が深まったことを受け、沿ドニエストルの議会は28日、ロシアに「モルドバからの圧力が高まる中、沿ドニエストルを保護する措置」を取るよう訴える決議を採択した。

ロシア国営メディアによると、同国外務省は決議を検討すると表明した。「沿ドニエストルの住民の保護は優先事項の一つだ」とも強調した。

ロシアにはウクライナ侵攻が泥沼化する中、この地域の併合に向けて戦線を広げる余力はない。このため今回の一連の動きには、親欧米に傾斜するサンドゥ政権を揺さぶる思惑があるとの見方が広がる。欧州連合(EU)は昨年12月、モルドバの加盟交渉の開始を決めていた。

欧米の軍事支援をウクライナからモルドバに割かせる狙いも透ける。ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、アルバニアでサンドゥ大統領と会談し「ロシアが状況を不安定にさせようとしている」と警戒感をあらわにした。

西側各国は懸念を強める。ロイター通信によるとフランス外務省高官は29日「モルドバはますます攻撃的な不安定化の試みに直面している」と述べ、他の欧州各国とモルドバの防衛力の強化を協議する方針を示した。

米国務省のミラー報道官も28日、「沿ドニエストルにおけるロシアの行動と同地域の広範な状況を非常に注意深く監視している」と語った。

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池上彰
ジャーナリスト・東京工業大学特命教授
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貴重な体験談 去年の暮れ、モルドバから自称「沿ドニエストル共和国」に入りました。
モルドバ国内を走る自動車のナンバープレートに沿ドニエストルものが多いのにビックリ。理由をモルドバ国民に聞いたら、「この登録の方が費用が安いから」と、ケロッと答えていました。

ロシアからの支援で、さまざまな負担が少なくて済む実態が見えましたが、モルドバは、これを容認。余計な摩擦を起こさないようにしているのでしょう。

ロシアの脅威についてモルドバの国防大臣に話を聞いたところ、「ウクライナがロシアの侵略を食い止めてくれているおかげで私たちは安心していられる」と述懐していました。ウクライナの劣勢はモルドバの危機に直結するのです。

2024年3月1日 13:22 』