トランプ氏、共和党の支配一段と 裁判原資へ党資金狙う

トランプ氏、共和党の支配一段と 裁判原資へ党資金狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN290GG0Z20C24A2000000/

『【ワシントン=中村亮】米国のトランプ前大統領による共和党支配が強まっている。11月の大統領選勝利を前提に議会運営を円滑に進める体制を探る。相次ぐ裁判の費用を賄うために党の資金を使う狙いもある。

共和党のミッチ・マコネル上院議員は2月28日、11月に院内総務を退くと表明した。院内総務は共和党トップとして上院運営を仕切り、法案や予算案で民主党との調整役を担う。
前大統領が上院で影響力を増す環境が整う…

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『前大統領が上院で影響力を増す環境が整う。前大統領に近いリック・スコット上院議員は28日の声明で「国が直面する重要課題の解決に注力し、有権者の要望と向き合う機会になる」と指摘。マコネル氏の退任を歓迎した。

マコネル氏は2021年1月の議会占拠事件で前大統領の責任に触れたり、前大統領が目指したシリアからの米軍撤収に反対したりして対立した。ウクライナ支援で民主党のバイデン政権と協力し、保守強硬派の不評を買った。』

『大統領は国内の共和党組織を統括する全国委員会でも幹部に側近を送り込む構えだ。

前大統領はロナ・マクダニエル委員長の後任に南部ノースカロライナ州の共和党支部で委員長を務めるマイケル・ワトリー氏を推薦した。20年の大統領選で不正を主張する前大統領に同調した人物として知られる。

AP通信によると、前大統領は共和党が22年の中間選挙で想定どおりに議席を獲得できず、献金集めも伸び悩んでいると懸念した。マクダニエル氏の責任を問い、辞任を迫るようになったという。』

『全国委員会のナンバー2である共同委員長には次男エリック氏の妻であるララ・トランプ氏を挙げた。』

『側近起用は、相次ぐ裁判にかかる費用に全国委員会の資金を充当する狙いもあるとみられる。

ロイター通信によるとララ氏は2月下旬に前大統領への起訴に関し「人々はドナルド・トランプだけでなく国への攻撃と捉える」と指摘。全国委員会が裁判費用を充当するシナリオをめぐり「明らかに人々の大きな利益と合致する」と断言した。』

『前大統領は少なくとも計4億3000万ドル(650億円)の支払い命令を受けた。一族の運営企業による不正な利益取得や女性への名誉毀損が理由だ。保有資産は潤沢にあるとみられるものの、選挙活動との両立に向けて資金確保が課題になる。

共和党では裁判への資金捻出に反発が根強い。米メディアによると、全国委員会のメンバーは党資金を裁判費用に使わないようにするための決議案を準備している。』

『前大統領や側近が共和党の運営で前面に出るほど無党派層の支持が離れるリスクもある。

22年の中間選挙で共和党は激戦の東部ペンシルベニア州や西部アリゾナ州の上院選で相次いで敗れた。無党派層が前大統領に近い共和党候補を敬遠したことが理由との見方が多い。』