バルト海「NATOの海」に スウェーデン加盟でロシア抑止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR26COY0W4A220C2000000/
『【ブリュッセル=辻隆史】スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟が26日、確定した。ハンガリー議会が承認し、全加盟国の手続きを終えた。NATO加盟国がバルト海を包囲する形となり、ロシア軍の活動の制約につながる。対ロシアの抑止力を高めるための米欧の結束が試される。
「全加盟国が承認したため、スウェーデンは32番目の加盟国になる。私たち全体がより強く、より安全になる」。NATOのストルテンベル…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『長く軍事的な中立を掲げてきたスウェーデンは、2022年のロシアのウクライナ侵攻を受けて政策を転換した。フィンランドと同時にNATO加盟を申請し、最終的に両国が加盟を実現させた。北欧ではバルト3国と同様、ロシアの「次の標的」になるとの危機意識が強く、単独では自国を守り切れないと判断した。』
『スウェーデンの加盟は他の加盟国にとっても利点が大きい。北欧の小国ながら強力な海空戦力を保有する軍事強国でもある。バルト海で運用するためにつくられた潜水艦は機動力や静かさに優れ、ロシアの海軍の活動を大きく制限できると期待される。
戦闘機グリペンを製造する航空機・軍需品メーカーのサーブを擁し、最新の兵器を開発・配備する能力がある。「グリペンをNATO戦闘機として迎えるのを楽しみにしている」。NATO航空司令部は26日、X(旧ツイッター)でスウェーデン軍の参加に期待感を示した。』
『ロシア、要衝で主導権喪失も
北欧まで達するバルト海は、バルト3国、フィンランド、スウェーデンなどNATO加盟国に取り囲まれることになる。バルト海からつながるフィンランド湾にはロシアの戦略的要衝・サンクトペテルブルクが面する。ロシアは重要なシーレーン(海上交通路)の主導権を失いかねない。
バルト海でポーランドとリトアニアの間に位置するロシアの飛び地カリーニングラードでの軍事活動も、NATOの航空機部隊がスウェーデンの基地を活用すれば制約が生じる可能性がある。』
『NATOは22年にまとめた戦略概念で「前方防衛」への考えへの転換を打ち出した。ロシアとの国境線を有する加盟国にあらかじめ部隊や装備を配備し、侵攻に対し迅速に対処できる体制をめざす。ロシアとNATO加盟国の間の緊張がより高まるリスクもある。』
『ロシアのウクライナ侵攻から2年という節目で、NATOは新規加盟で結束をアピールする機会を得た。ただ世界最大の軍事同盟であるNATO内にはガバナンス(統治)のほころびの兆しもみえる。
NATO、内部の結束にほころび
最大の懸念は、トランプ前米大統領が11月の大統領選で再選することだ。前大統領はNATO加盟国への防衛義務を順守しない可能性に言及した。同氏はかねて国防費を国内総生産(GDP)比で2%以上に増やすNATO目標を達成していない国に不満を表明してきた。
ストルテンベルグ氏は14日、24年に現加盟31カ国のうち18カ国が国防費の目標を達成する見込みだと発表した。欧州の加盟国は、トランプ氏再選なら米国の説得という新たな問題に直面する。』