ロシアの兵器産業崩れず 戦時動員と迂回調達で持続

ロシアの兵器産業崩れず 戦時動員と迂回調達で持続
東大先端科学技術研究センター・小泉悠准教授
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM051A70V00C24A2000000/

『ウクライナへの侵攻を続けるロシアが兵器の製造能力を維持している。欧米が軍事転用可能な製品の輸出を禁じても、迂回取引などを通じて一部の部品を確保している。ロシアの軍事戦略に詳しい小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター准教授に聞いた。

――ロシアの兵器製造の現状をどう分析していますか。

「西側諸国が当初想定したほどにはロシアの兵器産業は崩れなかった。例えば戦車は月間で15〜25台の新造能力があり、…

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『例えば戦車は月間で15〜25台の新造能力があり、改修なども含めると1カ月あたり約50台の戦車を戦地に送り込んでいるとみられる。戦地で損耗する分にはやや届かないものの、おおむね補えている可能性がある」

「兵器の性能自体は落ちている可能性がある。例えば旧式のセンサーしか調達できずに砲弾の着弾精度が低下するといったケースが想定される。だが戦争においてまず重要なのは、必要な場所へ、必要な時に、必要な量の兵器を送り込めるかどうかだ」

――製造能力をどう維持していますか。

「戦時動員の準備が効いている部分がある。過去、企業に予備の工作機械の確保や機械部品の生産に使う治具の保管などを義務付けてきた経緯がある。これにより国内で一定のものづくりを完結させられる仕組みができている」

――弱みはありませんか。

「ロシア兵器産業の弱みといえるのはエレクトロニクスの領域だ。戦車などに備えるセンサーや通信機器、半導体については西側諸国の技術や製品に依存しているものも多い。これらの一部は中国の技術に切り替えたり、第三国をバイパスに調達したりして補っている」

――制裁に効果はありませんか。

「侵攻から2年が経過し今後は、これまでに西側諸国が敷いてきた対ロシア制裁の効果が出てくるかもしれない。切削工具など工作機械の保守部品の調達のほか、生産設備向けのソフトウエア更新などが滞っているはずで、影響がどのように表出してくるか注目したい」

「ロシアに資金がわたらないようにする取り組みも重要だ。米国は『敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)』を根拠に、ロシアの兵器を購入した国の軍関係機関や関係者などに制裁を科した。ロシアが輸出した兵器の買い戻しに応じようとする国に圧力をかけて抑止することも必要になる」

(聞き手は比奈田悠佑)』