日経平均が史上最高値 米市場関係者に聞く相場の先行き
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22EGK0S4A220C2000000/
『日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新した。日本企業の業績向上や企業統治の改善を評価する海外投資家の買いが株高の一要因といわれている。海外投資家の買いは続くのか。米投資家の見方を聞いた。
在米投資家、日本株に強気傾く 一段高には成長必須
米国野村証券のアジア太平洋エクイティセールスヘッド、渡邉健太郎氏
今回の株高が過去と異なるのは、日本株に対する機関投資家の姿勢がほぼ一様に強気に傾いている点だ。…
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『ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント ファンダメンタル株式運用グループ・先進国株式運用責任者、アレクシス・デラデリエール氏
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのアレクシス・デラデリエール氏
日本はマクロ経済や企業・投資家の意識という多くの重要な点で深く、構造的な変化が起き、世界の投資家の注目度が高まった。例えば30年間悩んだデフレを経て発生したインフレ。当初は2022年の(ロシアのウクライナ侵攻など)混乱を契機に生じたが、賃金上昇と消費活動を原動力とする形に健全な移行が進み、より持続可能なものになった。
企業価値を解き放つガバナンス(統治)改革は、外国人投資家にとって日本をより投資しやすい国にしている。23年は企業や海外勢が日本株を買い越し、この勢いは24年も続くだろう。1月開始の新しい少額投資非課税制度(NISA)が個人の株式市場への参加も促すとみる。24年の日本株相場が強くなるための舞台は整っている。
今年は米国が利下げを始めるという見方が市場のコンセンサスである一方、日銀は早ければ4月にもマイナス金利からの脱却に動くとの意見がある。過去2年間の(円安・ドル高)水準と比べ、円高方向に進む可能性が高いのは確かだ。円安が日本株に追い風だったことを考えれば、円高で株安圧力も生じるだろう。
こうした相場の調整は買い場とみる。日銀は(適度な)インフレ環境を維持しようと緩やかに利上げを進めそうだ。日米金利差は十分に大きい水準を保ち、大幅かつ急な円高は想定していない。また22年以前は円高水準でも日本企業が優れた利益成長を遂げてきた。円高進行時は質の高い輸出企業を運用者が選別することが重要になる。
外国人投資家にとっては、リターンに響いた急な円安が適度な円高見通しになるほうが日本株市場をより魅力的にする面もある。資金流入の勢いが強まったにもかかわらず、国際的に運用するファンドの大半はまだ日本株への資金配分をアンダーウエートにしたままだ。日本株の持ち高を追加する余地は大きい。
東京証券取引所が取り組んだ改革は、当初はPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業(を減らすこと)に焦点をあてていた。今後はPBR1倍を超す企業にも資本コストにより注意を払い、自己資本利益率(ROE)改善を促す必要がある。
アクティブ投資家にとって24年に最も興味深いテーマは企業の戦略的保有株や持ち合い株の解消だ。東証プライム上場企業の純資産に占める持ち合い株の比率は平均8%と過去最低になったが、なお相当な規模の株を抱える。こうした資産はより良い経営判断や独立社外取締役、海外投資家の圧力を通じて放出されるのを待っている。改革先行型の企業を積極的に選び抜くことが決定的に大事になる。
(聞き手はニューヨーク=斉藤雄太)』
『在米投資家、日本株に強気傾く 一段高には成長必須
米国野村証券のアジア太平洋エクイティセールスヘッド、渡邉健太郎氏
米国野村証券の渡邉健太郎氏
今回の株高が過去と異なるのは、日本株に対する機関投資家の姿勢がほぼ一様に強気に傾いている点だ。日本株に追い風が吹いたタイミングはこれまでも何度かありながら、改革の遅れやインフレ期待の停滞などにより相場上昇は長続きしなかった。長く日本市場を見ている投資家ほど懐疑的だったが、状況は変わりつつある。
PBR(株価純資産倍率)向上など東京証券取引所が打ち出した施策は、投資家からの評判が極めていい。食品の値上げが受け入れられやすくなるなど、消費者心理もデフレ時代から徐々に変わり始めた。
2023年春からの株高の初動は、相場トレンドに追従するCTA(商品投資顧問)などによる機械的な買いが主導した。その後、マクロ系ファンドが相場を押し上げ、ヘッジファンドも動き、23年夏ごろからロング(買い持ち)中心の投資家が動き始めた印象だ。
とはいえ、在米のロングオンリーの機関投資家のほとんどは現状でも、日本株組み入れ比率がグローバル株価指数よりも低いアンダーウエートのままだ。明確にオーバーウエート(株価指数よりも高い組み入れ比率)にしている投資家はまだ数えるくらいだろう。
主因は投資スタイルの問題だ。23年に株価が上昇した日本企業の業種は鉄鋼や海運、卸売りなどで、典型的なバリュー(割安)銘柄が目立つ。対して、在米投資家は元々、グロース(成長)株投資の比率が高い。世界シェアを高めて利益率3割を確保できるような企業を探す投資家にとって、日本企業の利益率が数ポイント改善しても、なかなか食指を動かしにくい。
成長株投資家が関心を持ちそうなのは半導体関連やゲーム会社などだが、時価総額と流動性が壁になる。資産規模が10兆円から数十兆円に及ぶ大手投資家は、米国株に匹敵するような時価総額や流動性がある銘柄を好む。成長期待があり、一定の時価総額や流動性を持つ日本の銘柄は実は多くない。
足元の株高は既に自己資本利益率(ROE)のさらなる改善を相当程度織り込んだ水準だ。さらなる相場上昇のためには、企業統治改革だけでは十分とは言いがたい。やはり企業の成長性が必要となってくる。
(聞き手はニューヨーク=竹内弘文)』
『企業改革と収益性向上、長期的に持続と確信
モルガン・スタンレー株式ストラテジスト、ジョナサン・ガーナー氏
モルガン・スタンレー株式ストラテジスト、ジョナサン・ガーナー氏
日本株を担当し始めた2012年以降、日本企業の収益性は著しく向上した。主要市場の中で最低だった4%の自己資本利益率(ROE)は現在、10%近くに達している。16%〜18%で推移する米国には及ばないものの、欧州や他の主要市場に匹敵する水準だ。我々の予想では日本企業のROEは一段と上昇し、25年までに12%に到達するとみている。
S&P500種株価指数の予想PER(株価収益率)が現在、21倍前後となっている一方、東証株価指数(TOPIX)の予想PERは15倍に達していない。21年初頭の水準(18倍)にも届いておらず依然、上昇余地がある。
日本株が割高でないと言えるのは、収益が力強く伸びているからだ。日本企業のEPS(1株利益)成長率は世界の主要市場でも最も高く、米国や欧州よりも優れている。24年から25年にかけてEPSが毎年9〜10%程度成長するという我々の予想を踏まえれば現状、日本株が過小評価されているとは言えない。
歴史的に外国人投資家の多くは日本株の配分を基準以下(アンダーウエート)にしてきた。だが足元ではニュートラル(中立)か、わずかに基準以上(オーバーウエート)に転じようとしている。日本株を中立に戻すのは(05年の)第3次小泉内閣以来の出来事となる。日本への投資意欲は非常に旺盛で、幅広い投資家から多くの資金が流入している。
アベノミクス以降、コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革、女性の労働市場参加の拡大、移民政策の進展など、日本は様々な構造改革に踏み切ってきた。外国人投資家も日本企業の変革と収益性の向上が長期的に持続するものだとの確信を深めている。
日銀が利上げに転じたとしても日本株には影響はないだろう。基本的には金利の正常化プロセスの一環であり、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を踏まえれば適切な対応だ。日銀が利上げに転じ、米国が利下げにかじを切れば為替相場は緩やかな円高に向かうとみている。
我々は米国と世界の経済がソフトランディング(軟着陸)することをメインシナリオに据えている。日本株にとって最大のリスクを挙げるとすれば、米経済が我々の見立てに反して突然、景気後退に転じることだ。日本企業の収益は米企業業績に大きく依存しているからだ。
(聞き手はニューヨーク=三島大地)
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