経済制裁効かぬロシア 原油収入で継戦能力向上

経済制裁効かぬロシア 原油収入で継戦能力向上
平和のコスト(下)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13C5O0T10C24A2000000/

『think!多様な観点からニュースを考える

白井さゆりさん他2名の投稿白井さゆり上野泰也村上芽

「米国の制裁は機能していない」。ロシアのプーチン大統領は米国人ジャーナリスト、タッカー・カールソン氏が6日にモスクワで実施したインタビューで、米国など西側諸国による対ロ制裁効果が出ていないと強調し、米国にロシアとの交渉を呼びかけた。

2022年2月に始まったウクライナ侵攻が長期化し、米国や欧州などはロシアに対して経済・金融など多数の制裁を科した。だが、ロシアは中国やインドなど「友好国」へ輸出先の…

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『多様な観点からニュースを考える
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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説 ロシアは資源国であり、コモディティ価格が高騰していたところにウクライナ侵攻がさらにそれらの価格上昇をもたらした。このため食料やエネルギーを輸入する新興国・途上国はロシアに対して強い態度でのぞむのは難しかった。より重要なポイントは欧州だ。もともと米国は天然ガスや安く生産でき、欧州の価格の半額程度だった。ウクライナ戦争と制裁により欧州はエネルギー価格が高騰し、現在は低下したとはいえまだ以前よりも高く、ドイツ経済は大きな打撃を受けている。利上げも景気減速に拍車をかけておりECBに対して利下げ圧力が高まっている。一時的にエネルギー価格が高騰しうる気候政策に懸念も生じており一枚岩でなくなっている。
2024年2月21日 8:10いいね
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 「米欧の対ロシア経済制裁が機能していない」ということは、「ロシアは経済的に孤立していない」ということと、ほぼ同じである。米国を中心とする民主主義陣営の国家群に対し、ロシアや中国を中心とする専制主義陣営の国家群が存在し、世界は分断されている。そして、両者の中間に位置する国々の中にはインドのように、ロシア産原油を購入することによって間接的にロシアの戦費調達に協力している国々がある。さらに言えば、民主主義の旗頭であるはずの米国は政治的に国内が分断されており、11月の大統領選がトランプ氏の勝利となれば、ロシア寄りの姿勢をとるとみられている。民主主義を信奉する人々にとって「非常に都合の悪い真実」がある。
2024年2月21日 7:56いいね
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村上芽
日本総合研究所創発戦略センター エクスパート
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ひとこと解説 ロシアから石油・ガスを輸入している国向けに、脱炭素支援をすることの重要性を示す内容です。なお、日本も、2022年にはロシアから原油1744億円、液化天然ガス6783億円分を輸入しており、ふたつ合わせると2021年よりも実は増えています(貿易統計より)。液化天然ガスに限れば、ウクライナ侵攻前よりも増えているのも事実。日本は日本なりのやり方で平和に貢献するんだとこの2年間信じてきましたが、足元の脱炭素投資でさえ、まだまだ足りないと考えます。
2024年2月21日 7:53いいね 』