サイバー攻撃犯罪集団「ロックビット」メンバーか 2人を検挙
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240221/k10014365611000.html

『2024年2月21日 11時02分
警察庁は日本など各国の警察から協力を受けたヨーロッパの警察機構が、世界中の企業などを標的にサイバー攻撃を繰り返す犯罪グループ、「ロックビット」のメンバーとみられる2人を検挙したと、20日発表しました。
「ロックビット」は、日本でもこれまで企業や病院など100件以上の被害が確認されています。
警察庁によりますと、ユーロポール=ヨーロッパ刑事警察機構が、身代金要求型のコンピューターウイルス、「ランサムウエア」で、各国の重要インフラにサイバー攻撃を仕掛けたとして、20日までに2人を検挙しました。
2人は、世界中の企業などを標的に、ランサムウェアによる攻撃を繰り返している犯罪グループ、「ロックビット」のメンバーとみられ、日本を含む10か国の警察が捜査に協力したということです。
「ロックビット」は身代金の支払いに応じない場合、盗んだデータを闇サイトなどで公開する手口で知られ、企業や病院など、これまでに100件以上の被害が確認されているということです。
また今回の事件では、日本の警察が開発し、ユーロポールに提供したツールが、盗まれたデータの回復に役立てられたということです。
警察庁は、外国の捜査機関との連携をさらに強化し、サイバー空間での犯罪の取締りや、実態解明を進めるとしています。
「ロックビット」日本でも企業や病院で被害
「ロックビット」は2019年の夏ごろから活動が確認されている国際的なハッカー集団で、日本でも去年、名古屋港のコンテナターミナルがサイバー攻撃を受け、3日間にわたりコンテナの積み降ろしができなくなったほか、2021年には徳島県の病院が電子カルテのデータなどが暗号化され、およそ2か月にわたって産科などを除いて新規患者の受け入れを停止するなどの被害が出ています。
手口は身代金要求型のコンピューターウイルス、「ランサムウエア」によるサイバー攻撃で、ターゲットの組織のサーバーに保管されたデータなどを暗号化して事業を停止に追い込んだ上、解除を引き換えに身代金を脅し取るというものです。
セキュリティー会社「三井物産セキュアディレクション」によりますとランサムウエアを使う攻撃グループは世界で140余りが確認されていてことし1月までの1年間で攻撃を受けた可能性があるのは5089件あり、このうち、ロックビットによるものは1111件、全体の2割余りに上っています。
「検挙後 名前変えるなどで活動再開するケースも」
上級マルウェア解析技術者の吉川孝志さんは「ほかの犯罪グループと比べても攻撃件数がぬきんでており最も活発なグループで、世界にとって大きな脅威だ」としています。
吉川さんによりますと、日本に関係する組織への攻撃も相次いでいてこれまでに少なくとも68件確認されているということです。
このうち2023年は、名古屋港のコンテナターミナルで、およそ3日間にわたりコンテナの積み降ろしができなくなる事態になったほか、2021年には徳島県の町立病院で電子カルテのデータなどが暗号化され、およそ2か月にわたり産科などを除いて新規患者の受け入れを停止、また2022年には大手タイヤメーカーや大手食品メーカーなども被害を受けています。
吉川さんは「サイバー犯罪者はさまざまな国に分散して活動しており、さまざまな国の捜査機関などが連携する必要がある」とした上で、今回の摘発について「日本の機関もしっかりとした存在感を示すことができていてほかの犯罪者にも非常に強力な抑止力になると考えられる」としています。
一方で、ハッカー集団によるサイバー犯罪は、グループの一部のメンバーが検挙されてもその後、名前を変えるなどして活動を再開させるケースも多いということで、今後も警戒は必要だとしています。
対策としては、「VPN」といったネットワーク機器を常に最新の状態に保つこと、多要素認証の導入、データのオフラインでのバックアップなどがあります。
三井物産セキュアディレクションの吉川さんは「対策の多くは従来から言われてる基本的なものだが、やはりなかなかできていないからこそ攻撃が続いてしまっている。基本的な対策を改めて見直してほしい」と注意を呼びかけています。』