ミャンマー、EV普及も強権 ガソリン車禁輸で中国製勢い
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM113IA0R10C24A2000000/
『【ヤンゴン=渡辺禎央】ミャンマーで電気自動車(EV)の登録数が1月末に2200台を超えた。輸入免税で1年前の6.5倍に急増した。ガソリン車の禁輸や現地生産の荒廃というミャンマー固有の環境も思わぬ追い風だ。持続的な普及は見通せないが、中国製を軸にEVの導入が進んでいる。
最大都市ヤンゴンを回遊すると「BYD」など中国ブランドのほか、「EV」と銘打つだけで空っぽの新築ショールームが目に付く。当局が1…
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『ではなぜミャンマーでEVが消費者の関心を引き付けられるのか。背景にはEVを巡る「3つの非常識」がある。
第一は、相対的にEVが必ずしも高価でないことだ。リープモーターの「T03」は邦貨換算で約400万円。スズキの現地生産ミニバン「エルティガ」は中古車で状態がいいものだと500万円前後からだ。
軍政は貿易収支の改善や外貨節約の名目で、ガソリン車の輸入を2年以上禁じ、現地メーカーの外貨運用にも制限をかけている。部品輸入に支障が出て、スズキやトヨタなどの現地工場が思うように操業できないことも車供給の不足と価格高騰に拍車をかけている。
第二に、ガソリン車を前提とする自動車産業の守旧派が不在に等しい。ミャンマーの自動車供給は輸入中古車が大半だ。11年の民政移管前の軍政時代から輸入規制に翻弄され、部品製造から車体組み立てまでの産業の裾野が育たなかった。
さらに21年のクーデターが追い打ちをかけた。東南アジア諸国連合(ASEAN)自動車連盟(AAF)によると、23年のミャンマーの自動車生産はわずか1475台。域内最大市場タイの1250分の1で、月産1ケタ台の月が3回あった。
第三が「電欠」への心理的ハードルの低さだ。停電が当たり前の電力不足社会にあって「勤務先や自宅の充電器をうまく併用すれば、渋滞も多くないし電欠は心配ない」(NETA利用者)といった声に違和感はない。
人口5000万人超のミャンマーは自動車の普及で出遅れ、市場の伸びしろは大きい。EV販売が健全な経済政策をベースとする成長路線に乗るには時間を要するが、政情不安な「新・新興国」流の普及形態の一つとして注目に値する。
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