メッシ騒動で見える中国社会の価値観

メッシ騒動で見える中国社会の価値観
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/33505480.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『 メッシと言えば、現代での頂点のサッカー選手として、興味の無い人も名前くらいは聞いた事があるでしょう。私も、サッカーに興味は無いですが、知ってはいます。最近、メッシ選手の中国における振る舞いについて、かなり反発を受けています。彼は、現在、インテルに所属しているのですが、このプロ・サッカーチームが海外で誘致されて親善試合を行う場合、メッシ選手がグラウンドでプレイするかどうかで契約金が変わります。それぐらい、彼個人のプレイを観にくる観客が、世界では多いということです。

先日、香港で行われた香港リーグ選抜との親善試合で、コンディション不良を理由にベンチ入りしたものの、試合には出場せず、これが中国人のプライドを傷つけて、かなりの問題になっています。返金を要求する騒ぎになり、実際にチケットの半額返金が現地の運営から行われた模様です。そもそも、試合前にインテルからメッシが試合に出場しないことは、事前通告されており、試合の契約金も、その分の割引が行われていたので、ちゃんと広報しなかった現地運営の責任とも言えます。

で、更に輪をかけたのが、試合前のレセプションで、香港の行政長官の李家超氏を始めとした行政のおエラ方が、選手と握手する為に並んだ列を、かなり露骨に回避して、わざわざ列から離れて、独りで高官の列を避けるという塩対応をしたのですね。これで、メンツを潰されたと激怒した、ピンクちゃん(無条件愛国戦士)が、激怒して発狂する自撮り動画をSNSにアップしています。

さらに、その後、数日空けて、日本でも親善試合を行ったのですが、この時はコートに出て練習をする姿を見せ、神戸ヴィッセルとの試合では途中出場もしていたので、仮病で香港での試合を回避したと言われても仕方ない状態です。その為、更にピンクちゃんの発狂が加速して、メッシの背番号のユニホームを切り裂いたり、燃やしたりという動画が、燃え盛っています。

これ、中国人や韓国など、儒教文化の強い国で顕著な国民性なのですが、自己評価の基準が他人からの評価に依存しているのですね。他から、どう思われるかで、自分の立ち位置を決める文化と言えます。なので、「有名人と握手」というのが、儀礼に留まらず、それをした自分の価値を高める為の行為と見なされるのです。なので、すっぽかされると侮辱と取るわけです。昔、日本の政治家の小沢氏が、わざわざ、民主党議員を引き連れて、習近平氏と握手させに中国へ渡りましたが、あれ、まさに「皇帝」たる習近平氏が好きなセレモニーなんですよ。いわゆる朝貢スタイルですね。まぁ、あの時は、「友好を示すのに、こういう事から始めるのが大事なんだ」とかなんとか理由を付けていましたが、相手のご機嫌取りに、日本が臣下の礼を示したと、向こうでは解釈されます。公式見解が、どうであろうが、中国の国民は、そう解釈します。

中国で相手との距離を測る為に、まず年収を聞く事から始めます。自分より高ければ格上、低ければ格下。初対面でも、ズケズケと聞いてくるので、付き合うとビックリします。資産という基準、コネを持っているかどうかという基準、有名人と知り合いかどうかという基準。社会で通用する価値が、自分基準ではなく、他人基準なんですね。なので、春節に故郷に帰る時には、レンタルでも高級車に乗って帰り、実家の庭に目立つように停めておくのが、ステータスだったりします。結婚式には、結納金で準備した現金の札束を、目立つようにテーブルに並べて記念写真を撮ります。この記念写真用に、札束をレンタルするビジネスもあります。見栄の文化と呼ばれる所以です。そして、もともと、お金が大好きです。旧正月に吊るされる飾り物の殆どは、財布や黄金、金運を象徴するもので、良く見かける「福」という壁掛けも、お金に所以があります。

その為、香港の行政長官である李家超氏が、握手を無視されたというのは、許しがたい行為なわけです。なので、この件に関しては、行政府を挙げて非難に油を注いでいます。「中国でサッカー・ビジネスができなくなるぞ」と脅しています。では、中国人が全員、怒っているかと言えば、実は試合の行われた地元の香港人は、まったく正反対です。というのは、李家超氏は、立候補資格が1名という形だけの選挙で選ばれた、習近平氏の代理人に過ぎず、彼を公然と無視したメッシの評価が上がっています。中には「真の漢だ」と感心するコメントも多いです。一国二制度と言いつつ、香港の自治権は形だけのものになっていて、本土の警察が普通に香港で逮捕や拘束もできます。それが、香港の経済価値を低めて、この間、ハンセン指数が台湾に抜かれたのですが、こういった政治リスクをバリバリに高めていて、更に経済を何とかしろと言っているのが、経済音痴の習近平氏です。根本的に、資本主義の根幹に「信用」がある事を理解していないのでしょうねぇ。金融が信用という一時を根拠に成り立っているのが判らないから、約束を平気で破っておいて、信用しろと言うわけです。

こういう欧州の有名サッカー選手の塩対応というのは、数年前に韓国でロナウド選手が、高額な違約金を払ってまで、韓国で行われた親善試合の出場を見合わせた時にも起きました。この原因なんですけど、数百億の年収をもらっていて、サッカー選手としての評価も頂点を極めて、彼を目的に観客が集客できている場合、そういう人が次に望むのは、どういう事だろうと思います。それは、「嫌いなヤツに会ったり、頭を下げる事をしなくてよい権利」を確保する事なんじゃないかと思います。それは、プロ選手として義務を果たしていないんじゃないかという意見もあるでしょうが、どうせサッカーが好きでも無いのに、笑顔で握手を求めてくるヤツを相手にしたくないというのは、この立場になると出てくるのじゃないでしょうか。単純な嫌悪感です。

ちなみに、中国でサッカーが盛んなのは、「習近平氏がサッカー好きだから」です。なので、政府と親しい事で事業を急成長させた中国の不動産会社の大手は、どこも専属のサッカー・クラブを所有していて、有名選手を大金で呼び寄せていました。見せるのが目的で、金で釣って集めたチームなので、恒大のチームなどは、なかなか強かったのですが、選手を育てるつもりが無いので、金が切れるとたちまち成績不振になりました。ようは、権力者に媚びを売る為に、国民スポーツとしてサッカーを奨励し、波に乗ったほうが良い事があるのを知っている国民が応えて、国家的人気スポーツになったわけです。スポーツでも、芸術でも、科学でも、最終的に金と結びつかないと盛んにならない為、立派な施設はバカスカ出来ますが、プレイヤーが育たないのですね。 』