PBRとは?

PBRとは?
PER、ROEとの違い、計算方法や目安などを徹底解説
https://www.orixbank.co.jp/column/article/258/

『2023.8.8

監修者
大竹 麻佐子 氏
(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)

PBRとは? PER、ROEとの違い、計算方法や目安などを徹底解説
(画像=iStock)

基本的な株価の指標のひとつに「PBR」があります。このコラムでは、PBRが何を目的とした、どのような指標かということについて解説します。また、PBRの計算方法や適切な使い方、PER・ROEといった関連する指標の特徴や、それらのPBRとの違いもあわせて解説します。資産運用時の、株価の評価を行う際の参考にしてください。

目次

PBR(株価純資産倍率)とは

PBRと株価の関係性は?

PBRとともに用いられる各指標との違い

PBRの計算方法とは?

PBRの基準は1倍

PBRを使う際の注意点は?

注意点1:PBRの算出に使用されるのはあくまで帳簿上の数値

注意点2:長期間に渡ってPBRが低い状態の銘柄は要注意

PBRの具体的な使い方

1:同業種での比較
2:時系列での比較

まとめ

PBR(株価純資産倍率)とは

「PBR(株価純資産倍率)」は「Price Book-value Ratio」の略で、企業分析を行う際に役立つ株価指標のひとつです。会社の純資産と、発行済み株式の時価の差を評価し、現在の株価が割安か、割高かを調べる際に用いられます。

PBR では、株式の時価が1株あたりの純資産の何倍にあたるかがわかるため、市場での評価の高さや経営状況、成長性を見定める際にも役立ちます。

計算式は「PBR=株価 / 1株あたりの純資産」です。純資産は金融機関からの借り入れといった負債などが関係ないため、会社の純粋な資産(正味財産)がわかります。この計算式により算出されるPBRは、会社の資産に対する、投資家の評価度合いと言うことができます。

PBRと株価の関係性は?

PBRは純資産に対する株式の時価の割合を表すため、1倍の際には株価と会社の資産価値は変わりません。この場合には、株価が適正価格とされます。基本的には、1倍を上回ると本来の資産よりも高いことから割高、反対に下回るケースでは割安だと考えます。

普段はPBRが高い銘柄が、一時的にPBRが低くなったという状況では、割安ととらえることが可能です。ただし、赤字や営業不振などが生じてPBRが下がっているケースもあり得ますので注意が必要です。設立から間もない新しい会社で、まだ会社の規模が小さく純資産が少ないなどの理由からPBRが高く見えているケースにも気をつけましょう。

PBRとともに用いられる各指標との違い

株式投資における代表的な指標は、PBR、PER(株価収益率)、ROE(自己資本利益率)の3種類です。これらの指標を用いると、資産運用時の株価評価に役立ちます。

PERは「Price Earnings Ratio」の略で、株価が会社の1株あたりの純利益の何倍にあたるかを示します。「PER=株価 / 1株あたりの純利益」の式で算出が可能です。純利益は、会社の営業損益に、営業外・特別損益も含めたうえで税金も差し引いた、事業年度の最終的な利益です。

PERの数値が低いケースでは、会社が生み出す収益に対して低い価格で株を購入できることから、割安と考えられます。反対に、PERが高いケースでは割高になります。

ROEは英語で「Return On Equity」と呼ばれる、会社が自己資本の活用によりどれだけ収益を出しているかがわかる指標です。「ROE(%)=当期純利益 / 自己資本×100」の式で算出されます。

ROEが高いと、資本を効率的に用いて高い収益を出している会社、低い場合には資本の価値に対して利益が出せていない会社と考えられます。業種によって異なりますが、一般的には、ROEが10%以上のケースで優良企業と判断される場合が多いです。ROEは資本と利益の比較になるため、会社に高額の負債があったとしても負債額がわからない点には注意が必要です。

PBRとPERは、株価の妥当性を判断するのに役立つという点では同じですが、PBRは純資産、PERは収益力と、判断の基準が異なります。

また、ROEの計算に用いる「自己資本」は、PBRの計算で使用する「純資産」の一部を構成するものです。ROEとPBRは注目している点は似ていますが、ROEの計算式では会社の収益性、PBRの計算式では株価の妥当性と、算出されるものが異なります。

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PBRの計算方法とは?

PBRの計算式は、前述のとおり「PBR=株価 / 1株あたり純資産(BPS)」です。BPSは、負債などが関係しない純資産を「発行済み株式の総数」で割った数値です。発行済み株式総数は期中の平均値や期首・期末平均の数値を使用し、「BPS=純資産 / 発行済み株式総数」の計算式で算出できます。

純資産は、会社が解散した際に株主の手元に残る資産のため、「解散価値」と呼ばれる場合もあります。会社が順調に利益を出して内部留保などの純資産が増えると増加するのがBPSです。BPSを用いると、会社が安定しているか不安定な状況かを見定めることも可能です。

PBRは、株価と上記BPSを利用して計算します。

【計算方法】

株価が1,200円、1株あたりの純資産が800円の場合
PBR=1,200÷800=1.5倍

株価が1,600円、1株あたりの純資産が2,000円の場合
PBR=1,600÷2,000=0.8倍

PBRの基準は1倍

上記でも述べたとおり、PBRが1倍(「株価」と「1株あたりの純資産=BPS」が等しい)の状況が株価の適正価格です。PBRが1倍とはつまり、もし会社が解散しても株主には株価と同額の資産が残るということでもあります。

基本的には、株価が1株あたりの純資産を上回る場合には1倍を超えるため「割高」、下回る場合には1倍未満となるため「割安」ととらえることができます。

ただし、その時点では割安であっても、株価や純資産は日々変動するため、PBRの数値はあくまで参考程度にとどめ、株価が下落傾向である要因や背景も考慮したうえで株式の購入を検討する必要があります。

PBRを使う際の注意点は?

PBRは、株式の割安・割高感を知るための便利な指標です。ただし、PBRを見ただけで銘柄を完全に理解できるとは限りません。PBRは帳簿上で確認できる数値から算出されたものであること、PBRがずっと低いままになっている銘柄もあること、などの注意点もあります。

注意点1:PBRの算出に使用されるのはあくまで帳簿上の数値

PBRは、帳簿上に記載された純資産を用いて計算されているため、実際の資産価格と帳簿上の価格のずれが生じている場合、時価を反映させた正しい数値は出せません。

棚卸資産などの減損がある、資産の時価が帳簿の価格よりも下がっているなどの状況では、帳簿上の数値で計算されたPBRをもとに株式が割安か、割高かが判断できない場合があるため注意が必要です。

株式市場が全体的に下落中の場合など、短期的に株価が変動している時期には、優良企業でもPBRが一時的に低下することがあります。そのようなときも、PBRの数値が割安に見えるからといって飛びつくのは危険です。

現在の帳簿上では純資産が豊富にあるように見えても、その会社の経営状況によっては、今後、純資産の減少とともにPBRの数値も割高へと変化していく可能性があります。また、投資家からの人気がない銘柄では、その影響によりPBRが下落していく状況も予測されます。

注意点2:長期間に渡ってPBRが低い状態の銘柄は要注意

PBRの低い状態が長い期間続いている銘柄には、保有するリスクが高くリターンが期待できないものもあるため気をつけなければなりません。

業績悪化を株価が先取りしている場合には、現在PBRが低くても、将来資産の売却などが進み資産価値が下がるリスクがあるため、PBRだけで判断するのではなく、会社の経営状況の確認も必要です。

PBRの具体的な使い方

PBRを使用する際、算出した数値が1倍を上回っているのか下回っているのかという点だけでは、投資対象として適切かどうかを完全には見極められません。PBRは、同業種の他社の数値や、会社の過去の数値と比べることが重要です。

1:同業種での比較

PBRは、基本的に業種によって数値に差がでます。業種を問わない全体的な目安となる「1倍」を基準に見るだけでは詳細な見極めができません。実際に割安といえるか詳しくチェックするには同業種の他の会社などと比べることが重要です。

保有設備や資産の価格が低くても高い利益を上げられる業種はPBRが高く、事業の運営に多くの保有資産が必要な業種は低くなる傾向にあります。業種別PBRは、日本取引所グループの公式ウェブサイトで確認が可能です。

2:時系列での比較

単年度のPBRを見るだけでなく、過去と現在のPBRを比べて違いをチェックすることも重要です。会社が変わらない経営活動を続けている場合、PBRも変わりにくいため、PBRで会社の経営状況を把握できます。

複数年度のPBRを時系列でチェックすると、適正な数値がどのくらいかを理解でき、PBRの推移から、問題が発生しているか否かの推測が可能です。

まとめ

PBRは、「株価」が「1株あたりの純資産」の何倍かを示す株価指標のひとつです。PBRの適正価格は1倍とされ、基本的な目安にもなります。さらに、1倍よりも低い場合には割安、高いと割高と評価できます。

ただし、PBRは帳簿上の数値をもとに算出されるため、現実の資産価格と帳簿上の価格のずれが生じている場合には注意が必要です。PBRを使用する場合は、より詳細な結果を把握するために、数値を同業種や時系列で比べ、確認することが重要です。

大竹 麻佐子 氏写真

監修者
大竹 麻佐子 氏
(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)

FP事務所「ゆめプランニング」代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て、2015年FP事務所開業。個別相談・執筆・セミナーを通して、「お金と向き合うこと」で「より豊かに自分らしく生きること」を伝える。知識だけでない経験(失敗も含め)も踏まえたアドバイスとサポートを行う。FP以外に、相続診断士、整理収納アドバイザーとしても活動している。

執筆者
サイトエンジン株式会社 』