ラファ侵攻方針に各国懸念 エジプト避難民流入を警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR123880S4A210C2000000/
『【カイロ=久門武史】イスラエルのネタニヤフ首相がパレスチナ自治区ガザ最南部ラファに地上侵攻する方針を強調し、国際社会の懸念の声が高まっている。ラファは100万人超の避難民で過密状態だ。犠牲者が一層増えかねない。隣国エジプトは避難民流入に警戒を強めている。
「ラファに侵攻するなと言う者は、戦争に負けろと言っているに等しい」。ネタニヤフ氏は11日放映の米ABCテレビのインタビューでこう強調した。壊滅…
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『壊滅を目指すイスラム組織ハマスの大隊がラファに残っているとした。
バイデン米大統領は12日、少なくとも6週間の戦闘休止を働きかけていると話した。ハマスが拘束する米国人を含む人質の解放やより長期的な停戦をめざすという。ラファへの侵攻については「現地に避難している人たちの安全と支援を確保する実行可能な計画なしに進めるべきではない。彼らを保護する必要がある」と再度けん制した。
バイデン氏は11日にネタニヤフ氏と電話協議し、ラファへの地上侵攻に懸念を伝えていた。
国連によるとラファには140万人がいる。ガザ北部などからイスラエル軍の攻撃を逃れてきた人々で膨れ上がった。
国連のグテレス事務総長は「ガザの人口の半分がラファに押し込められ、逃げ場がない」と訴えた。
ドイツのベーアボック外相は「ガザの人々が空中に消えることはない」とX(旧ツイッター)に投稿した。
既にイスラエル軍の空爆でラファでも多数の死傷者が出ているが、地上戦となれば被害はさらに膨らむ。
脱出を願う住民が境界に殺到しかねない。
身構えるのが、ガザに接し現在唯一の出入り口となっているエジプトだ。
エジプトのシュクリ外相はラファ侵攻は「深刻な結果をもたらす」と述べた。米メディアは、エジプトがイスラエルと1979年に交わした和平条約の停止をちらつかせ警告していると伝えた。ガザ境界に戦車40両を配備したとも報じられた。
エジプトは重傷を負ったガザ住民を入国させて治療し、人道支援物資をガザに運び入れてきた。一方、避難民の受け入れは重ねて否定してきた。パレスチナ人が国家樹立の前提となる土地を追われる事態を避ける立場を強調している。
ガザに隣接するエジプト北東部シナイ半島で、ただでさえ不安定な治安が悪化する懸念もある。避難民に紛れたハマス戦闘員がイスラエル軍の標的になれば、直接戦闘に巻き込まれる恐れさえある。
エジプトはアラブの国で初めてイスラエルと国交を樹立し、今回の衝突でもハマスとの休戦や人質解放へ交渉の橋渡し役を務めている。
ラファ侵攻はガザ住民の人道危機に加えて、仲介努力の停滞を招く恐れもある。ハマス幹部は11日、ラファ侵攻が始まった場合は、イスラエルによる人質解放が「失敗に終わる」と述べた。
こうしたなかイスラエル軍は12日、ラファでハマスに拘束されていた人質2人を救出したと発表した。60歳と70歳のイスラエル人男性で、健康状態に大きな問題はないという。これまでに軍が救出した人質は計3人になった。
ガザにはほかに100人以上の人質が残されているとみられ、ネタニヤフ氏は12日「継続的な軍事的圧力だけが人質解放につながる」と重ねて強調した。
米CNNは、ネタニヤフ氏がラファでの地上作戦を3月10日ごろに始まるラマダン(イスラム教の断食月)までに終わらせるよう指示したと伝えた。
AP通信によると人質2人を救出した作戦に伴うイスラエル軍の空爆で、パレスチナ人67人が死亡した。ガザ保健当局によると、昨年10月以降でガザで2万8000人以上が死亡した。
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