バイデン氏はレーガン氏になれるか 高齢不安再燃の憂鬱

バイデン氏はレーガン氏になれるか 高齢不安再燃の憂鬱
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN113EI0R10C24A2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】現在81歳のバイデン米大統領の認知力に再び注目が集まっている。相次ぐ失言に加えて検察当局から記憶力低下を指摘されたことが拍車をかける。40年前の大統領選でレーガン元大統領は高齢批判を追い風に変えた。再選を狙うバイデン氏も有権者の不安を払拭できるのか。

「私の記憶力は大丈夫だ」。8日夜、ホワイトハウスで急きょ設定された記者会見でバイデン氏は怒りを込めた。有権者の間で年齢への…

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『会見はバイデン氏の個人事務所や私邸で機密文書が見つかった問題を捜査していたハー特別検察官が刑事訴追しないと結論づけた報告書を発表したのを受けて開いた。

報告書は、聴取の際にバイデン氏の記憶が「著しく乏しかった」などと記した。自身が副大統領だった時期や長男が死去した年を思い出せなかったと指摘。訴追を見送った理由に関し、陪審員がバイデン氏のあいまいな記憶や捜査協力を踏まえ「悪意のない過ち」と判断する可能性が高いと結論づけた。

バイデン氏は「高齢だが、自分が何をしているかわかっている」と話したうえで「私はこの国で最も米国大統領にふさわしい」と力を込めた。だが、その直後の中東情勢の質問に対し、エジプトのシシ大統領を「メキシコのシシ大統領」と言い間違えた。

4日にはフランスのマクロン大統領を故・ミッテラン元大統領と混同。7日にもドイツのメルケル前首相を故・コール元首相と言及した。米大統領史上最高齢となっているバイデン氏への年齢に対する関心が高まるゆえんだ。』

『米大統領は世界最強の軍事力を持つ米軍の最高司令官で、戦争の遂行や核兵器を使う最終判断を下す立場にある。米軍制服組トップの前統合参謀本部議長であるミリー氏は米メディアで「バイデン氏と頻繁にかかわるが、戦争や和平の決断を下し、核兵器などを扱うことを心配しているなら安心していい」と語った。

バイデン氏の担当医も「健康で元気。軍最高司令官を含む大統領としての職務を順調に遂行できる」とお墨付きを与えたとはいえ、健康不安は消えない。』

『米ABCテレビなどが9〜10日に実施した世論調査によると、86%はバイデン氏がもう1期務めるには高齢すぎると回答した。一方、同氏との再戦の可能性が高まる共和党のトランプ前大統領は77歳。同調査では62%が高齢すぎると答えた。前大統領も外国の指導者らの名前を勘違いする場面が目立つ。』

『前大統領と共和の候補者指名を争うニッキ―・ヘイリー元国連大使は75歳以上の政治家に認知テストを義務付けるべきだと主張。「年をとるほど衰えるという現実を直視しなければならない。米国の安全保障、経済の将来を決める人物が最高の状態にあると知る必要がある」と提起する。』

『1984年の大統領選も年齢に関心が集まった。選挙戦で共和のレーガン氏は73歳で2期目に入るのは高齢過ぎないかと問われ「相手の若さと経験のなさを政治利用するつもりはない」と切り返した。それを境に支持率は回復し、再選した。

「あなたが私を年寄りと呼ぶなら、私は経験豊富と呼ぶ」「年齢を重ねる利点のひとつはちょっとした知恵がつくことだ」――。バイデン氏はレーガン氏の発言をヒントに、年齢を逆手にとった攻めに転じようともくろむ。それを言葉だけでなく行動で示せなければ、再選戦略にも影を落としかねない。』