シルシキー総司令官の初仕事、兵士70万人が何処にいるのか突き止めること

シルシキー総司令官の初仕事、兵士70万人が何処にいるのか突き止めること
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/commander-in-chief-sirshikis-first-task-is-to-find-out-where-700000-soldiers-are-located/

『ポドリャク大統領府顧問は9日「約100万人の兵士のうち戦闘に参加したのは20万人~30万人程度」「残りは最前線から遠く離れた場所にいる」「シルシキー総司令官の初仕事はどこに残りの兵士がいるのか突き止めることだ」と述べ、軍は膨れ上がった兵士を管理できていないと示唆した。

参考:В ОП задачей Сырского назвали аудит: с 1 млн мобилизованных на передовой до 300 тысяч

ゼレンスキー大統領の指摘通りでも、この状態を2年近くも放置してきたこと自体が驚きだ

ウクライナ侵攻当初「大義のない戦いに放り込まれたロシア軍兵士は士気が低い」「祖国を守るという大義の下で団結するウクライナ軍兵士は士気が高い」と繰り返し喧伝されていたが、戦場が東部戦線に移動する頃には「ウクライナ軍もローテーションの約束を守っていないため兵士の士気が低下している」という指摘が登場、2022年5月には兵士らが現地メディア(Аверс)を通じて「休息を与えろ」と訴えて注目を集めた。

バフムート方面で戦っていた第14機械化旅団の兵士らは「侵攻初日から戦い続けているため疲弊している。我々が求めているのは非常にシンプルなことで部隊のローテーションや疲弊した体を休める時間がほしい。決して戦うことを拒否しているのではない」と訴え、CBCの取材に応じたウクライナ軍兵士も「この国は2つのカーストが存在して我々は駒に過ぎない。金を手に入れた上流階級の連中は『前に進め』と命令するだけで、中央政府は『如何にウクライナが団結しているか』という美しい物語が欲しいだけ」と証言したが、当時は極少数の訴えで深刻な問題ではないと思っていた。

夏が終わる頃にはハルキウやヘルソンでの反撃が始まり、西側諸国は目を疑うようなウクライナ軍の成功に酔いしれたものの、この裏で「ローテーション」と「動員」に関する問題はじわじわと深刻化し、2023年に入ると軍事委員会が力ずくで動員対象者を連れ去る行為、ホワイトチケットの違法売買、動員対象者の不法出国などが表面化。

出典:Сухопутні війська ЗС України

POLITICOは2023年2月「急増する軍紀違反を罰則強化で解決する取り組みは兵士の恐怖と怒りに火をつけた」「適切な休息や交代を兵士に提供しない軍の作戦運用に問題がある」「前線で兵士が逃亡するのはローテーションが守られていないため」と報じ、南部司令部のグメニュク報道官も2月「ローテーションのため新たな動員が必要とされているのに人々の熱意は冷めつつある」と述べて動員に問題を抱えていると認めた。

3月に入ると第46独立空中強襲旅団の大隊長がNYT紙に「我々は経験豊富な兵士を失い過ぎた」「新兵を戦場に連れて行っても全てを捨てて逃げるだけ」「ソレダルでは何百人もの兵士が陣地を捨てて逃げた」「軍の指導者は真実を好まず構造的な問題を解決したがらない」と実名で訴え、待望の反攻作戦が始まっても動員や軍事委員会の問題はどんどん大きくなり、ゼレンスキー大統領は8月「軍事委員会のトップ全員を解雇する」と発表したものの、この決定は結果的に「動員や法律に精通した人間」の排除に繋がって「動員作業の行き詰まり」を引き起こしてしまう。

出典:Telegram経由

反攻作戦が失敗に終わり、ロシア軍が攻勢に出ると不満が爆発、アウディーイウカで戦う大統領旅団の司令官は「ロシア軍に防衛ラインを突破されたのは兵士不足が原因で通信兵や砲兵も塹壕に送り込んでいる」と、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏も「兵士の並外れた自己犠牲で前線が支えられている」「アウディーイウカを守る第110機械化旅団は1年半もローテーションを行っていない」と証言。

ウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将も「侵攻直後に軍に加わった人々は『客観的な理由』からほとんど軍に残っていない」「これは事実で理解し認識されなければならない問題だ」「これだけのニーズを満たすには動員しかない」「動員なしでやっていけると考えるのは不可能だ」と訴え、ザルジニー総司令官も公の場で「軍事委員会の解雇が補充兵の供給を難しくさせた」と批判、あるウクライナ人指揮官は「兵士不足が深刻で前向きな展望が全く見出だせない」「戦線の何処かが何れ崩壊するだろう」とワシントン・ポスト紙に不満をぶちまけている。

出典:PRESIDENT OF UKRAINE

ゼレンスキー大統領はローテーションや兵士不足の原因について「約100万人の兵士がいるのに最前線で戦っている兵士は少数で大半は実際の戦場を感じたことがない=ウクライナ軍の部隊運用やシステムのせいで兵士がいるのに活用されていない」と述べ、ポドリャク大統領府顧問も「最前線の戦闘に参加した人間の数は20万人~30万人程度だ」「残りの人間は最前線から遠く離れた場所にいる」「シルシキー総司令官の初仕事はどこに残りの兵士がいるのか突き止めることだ」「それを確認した後に必要な動員数を報告しなければならない」と述べた。

要するにザルジニー体制の参謀本部は「100万人まで膨れ上がった兵士を管理できていない」「遊んでいる兵士が何処にどれだけいるのかも把握してない」「兵士はいるのにローテーションに活用されていない」という意味で、刷新したシルシキー体制の参謀本部に「追加動員を国に要求する前に遊んでいる兵士の所在を把握しろ」と要求しているのだ。

出典:СИРСЬКИЙ

因みにアウディーイウカで戦う大統領旅団の司令官も「前線で戦っている人数は100万人中30万人程度」と述べているため、ポドリャク大統領府顧問が言及した数字と一致し、前線から遠く離れた地域に何十万人もの兵士が留め置かれているなら、追加動員を急ぐ必要もなく規模も小さくて済むだろう。

シルシキー総司令官が活用されていない兵士を見つけ出し、これを前線に投入できるようシステムを変更し、ローテーションを実施できるようになれば前線の不満は静まると思うが、この状態を2年近くも放置してきたこと自体が驚きだ。

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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 60  』

『 絶対防御将軍
2024年 2月 10日

返信 引用 

まずウクライナ軍は50万人以上死傷している。次に70万人も所在不明の兵士がいるなら既にザルジニーが探し当てている。よってウクライナは詰んでいる。
30

    タチコマ
    2024年 2月 10日
    返信 引用 

50万損失の客観的証拠があるんですかね……?
というか比率的にそれだけ損失あったらとっくの昔に組織も戦線も崩壊していると思うんですけど
ウクライナ側もロシア側も損失については諸説あるとは言え理由もなく最大数で決めつけるのはどうなんでしょう
27
        みり
        2024年 2月 10日
        返信 引用 

    まぁ1日500人として2年で36万人ぐらいが妥当じゃない?
    12
        MarkⅡ
        2024年 2月 10日
        返信 引用 

    >というか比率的にそれだけ損失あったらとっくの昔に組織も戦線も崩壊していると思うんですけど
    約2年で50万なら大したことない、死者3割としても月5万も徴兵してるなら余裕で戦える。
    そもそも最大って訳じゃないよね、元々の宇軍が40万ちょっと、毎月5万徴兵×24ヶ月で
    本来160万ぐらい居るはずのウクライナ軍が、今現在90万ちょいしかいないって事は最大で
    70万の死傷者って計算になる
    17
            MarkⅡ
            2024年 2月 10日
            返信 引用 

        訂正
        ウ軍初期兵力40万
        ↓
        ウ軍初期兵力100万以上(アゾフ大隊、郷土防衛隊、国境警備隊、治安組織を含む)
        なので100万+5×24で本来なら240万人いる計算になるが、今90万ってことは
        最大で150万人の死傷者が出ている計算になる。

        まああくまで最大数だけど、いまのゼレンスキーやウクライナ軍の虚勢、混乱、
        狼狽えっぷりを見るに死傷者は50万所では無いと思うんだよね
        15
                ゆj
                2024年 2月 10日
                返信 引用 

            「バフムトでロシア軍毎日1000人死傷!壊滅間近!」って言ってるのと同レベルですね。
            「死傷者は50万人どころでは無いと思う」の根拠が「ゼレンスキーやウクライナ軍の虚勢、混乱、狼狽えっぷり」という、単なる主観・感想なのだから。
            21
                     
                    2024年 2月 10日
                    返信 引用 

                動員解除がない現状、動員規模からして200万人以上はいるはずの兵士が現在100万人しかいないなら何らかの理由で100万人以上が軍を離れざるを得なかったってことで根拠示されてるでしょ
                コメントの言葉尻だけ取って印象操作するのやめなよ
                20
                        ゆj
                        2024年 2月 10日
                        返信 引用 

                    このコメントのどこに、「ウ軍初期兵力100万以上(アゾフ大隊、郷土防衛隊、国境警備隊、治安組織を含む)」や、ウクライナ軍が開戦以来毎月5万人を徴兵し続けている、という情報の根拠が示されているんでしょうか?
                    その根拠を示さず、推定を「最大数」とした上で、「ゼレンスキーやウクライナ軍の虚勢、混乱、狼狽えっぷり」を根拠として、「死傷者は50万人どころでは無いと思う」と記述しているのですから、「言葉尻だけ取って印象操作」では無いでしょう。
                    15
                            MarkⅡ
                            2024年 2月 10日
                            返信 引用 

                        >という情報の根拠が示されているんでしょうか?
                        中東、東南アジアの報道でそういった話は出てますよ?
                        徴兵の話はニューヨークタイムズにも出てましたがね

                        んまぁ、ウクライナは損害に関して正確に公表することは
                        ほぼありえんので、推計を重ねるしかないんですよ、
                        ロシア軍の損害のようにね
                        13
                            MarkⅡ
                            2024年 2月 10日
                            返信 引用 

                        あと死傷者の推計に関しては貴方の見解にも興味あります。
                        徴兵数、総兵力、初期兵力等に関してある程度情報をお持ちなら教えていただきたい。
                        5 』