もっと多く兵士を動員しなければならないウクライナ、原因は死傷者数
https://grandfleet.info/european-region/ukraine-must-mobilize-more-soldiers-cause-is-number-of-casualties/
『ドイツ軍のクリスチャン・フロイディング少将は「ウクライナはもっと多くの兵士を動員しなければならない」「私が見る限り(動員が必要な理由は)死傷者数が原因だ」「前線で戦い続けた兵士の交代を行わなければならない事情もある」と指摘した。
参考:Bundeswehr-General Freuding: „Die Ukraine wird mehr Soldaten mobilisieren müssen“
長期的に見ると大統領府と軍部の対立は国防努力に資するものではないだろう
ピストリウス国防相は今年5月、国防省改革の一環として長期的な国防戦略や計画の立案・管理を行う部署を設立してクリスチャン・フロイディング少将を任命、同氏は昨年2月から国防省内のウクライナ支援に関する責任者も努めており、これまで「2年近くに及ぶウクライナとロシアの戦争状況」や「得られた教訓」を率直に語って注目を集めていたが、今後は独RNDのインタビューに応じた中で「ウクライナは確実にもっと多くの兵士を動員しなければならないだろう」と述べた。
出典:Сухопутні війська ЗС України
RND:2年前にウクライナとロシアの戦争が始まったが、これはいつ終わるのか?
ウクライナが勝利すれば戦争は終わるだろう。
RND:なぜ、そこまで楽観的なのか?
私はウクライナ軍が出来ることに、我々の支援に、ウクライナを支えるパートナーの団結に自信を持っているから楽観的なのだ。
出典:Mil.gov.ua/CC BY 4.0 2022年6月に蛇島を攻撃したBohdana(プロトタイプ)の様子
RND:貴方は他の人間よりも優れた洞察力を持っている。最前線で何が起きているのか教えてほしい。
傍から見ると前線位置が停止しているように見えるかもしれない。これは双方が集中的な作戦を実施している結果で、歩兵、戦車、無人機、大砲を使用した戦いが、場合によっては1m単位の争いが繰り広げられていることを忘れてはならない。同時に長距離攻撃兵器で兵站能力や指揮施設を破壊して心理的効果を得ようとしている。最近の例で言えば黒海でロシアの軍艦が沈没した。これは相手にとって何らかの意味がある。
RND:ウクライナで特に深刻なのは弾薬不足だ。この分野におけるロシアの優位性は10対2とEconomistが指摘している。EUは砲弾納入の約束を果たせず米国からの支援も不透明だ。
弾薬供給は重要な問題だが弾薬の数をロシアと比較して意味がない。ウクライナ軍が使用する兵器システムの殆どはロシア製よりも正確で効率が高く、目的達成に必要な弾薬はロシア製よりも少なくて済む。さらにドイツが供給する弾薬量は去年の2倍以上になる予定だ。とは言え、西側支援に関して弾薬供給が中心的な課題であることに変わりはない。
出典:Генеральний штаб ЗСУ
RND:ウクライナは欧米からの武器や弾薬だけではなく、もっと多くの兵士を必要としているのか?
ウクライナは確実にもっと多くの兵士を動員しなければならないだろう。私が見る限り(動員が必要な理由は)死傷者数が原因だ。さらに24ヶ月間も前線で戦い続けた兵士を再編しなければならないという事情もある。ウクライナでは動員の範囲や条件について政治的・社会的に議論が行われている最中で、人口動態に対する動員の影響も懸念事項の1つだ。そのためウクライナ人は軍事的持続性と経済的持続性にバランスに注意を払わなければならない。
RND:動員を巡ってゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官の間に対立が起きている。この対立はどの程度深刻なのだろうか?
その裏舞台まで見ることはできないが、大統領府と軍部の話し合いについては承知している。防衛のため強い力を発揮してきたウクライナの団結が維持されることを望んでいるが、この手の話し合いは民主主義の特徴的な部分でもある。但し、長期的に見ると大統領府と軍部の対立は国防努力に資するものではないだろう。
出典:左 PRESIDENT OF UKRAINE/右 Головнокомандувач ЗСУ
ウクライナは西側諸国に自軍の犠牲者数を共有しておらず、2023年3月時点で米国やNATOは「10万人前後(ドイツ政府関係者は12万人以上)」と推定、2023年の反抗作戦やロシア軍の反撃でウクライナ軍の犠牲者が増えているのは確実で、ワシントン・ポスト紙も「ザルジニー総司令官は火力と兵力に優れるロシア軍相手に成功を収め、昨年と同程度の人的損失に備えるには50万人程度の追加動員が必要と主張した」と報じていたことがある。
仮に2022年2月~2023年1月までの死傷者数が10万人、2023年2月~2024年1月までの死傷者数も同程度、2024年2月~2025年1月までに見込まれる死傷者も同程度だった場合、ウクライナ軍が100万人体制を維持するには30万人分(乱暴な方法で算出した数値)の補充を見越して動く必要があり、24ヶ月間も前線で戦い続けた兵士の再編成=動員解除を行うには更に多くの兵士が必要だ。
果たしてウクライナ軍は2025年以降の戦いを担保する「弾薬」と「兵士」を確保できるだろうか?
関連記事:ウクライナ軍が直面する兵士不足、戦争を継続できるかどうかは動員次第
関連記事:ドイツ軍の現役少将、ロシアが制裁下で軍需生産を増加させたのは予想外
関連記事:自由のための戦いに期限なし、ドイツは2032年までの予算計画にウクライナ支援を盛り込む
※アイキャッチ画像の出典:Bundeswehr クリスチャン・フロイディング少将
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 50 』
『 ななし
2024年 2月 06日
返信 引用
一周回って内政問題を理由に損切りを検討できるアメリカが健全に見えてくる
38
歴史と貧困
2024年 2月 06日
返信 引用
結局日本もドイツも、こういう時に後処理ATM扱いされるんですよね。
アメリカの軍事力に頼り切って、経済繁栄を追い求めたツケがここにきて出ているのか。
軍備をせずに経済にふったのは、国防上の必要経費を前借りしただけの、奨学金じみた借金だったのやも。
39
amw2
2024年 2月 06日
返信 引用
健全というか、アメリカが大国だから損切りできるということですな。
台湾も内政問題を理由に損切りを検討されたら、五大国以外は生きていけない世界になりそうですが。
15
hoge
2024年 2月 06日
返信 引用
アメリカ的には損切りというか、元から国内と同盟国の準備が整うまで時間稼ぎをしてくれればそれで良いという感じなのでは。
渡しているのは弾薬以外は旧式の武器、もしくは新型でも最前線で戦う戦車やIFVよりも損失が少なそうな自走砲ばかりですし。
10 』
『 Easy
2024年 2月 06日
返信 引用
仮に2022年2月~2023年1月までの死傷者数が10万人、2023年2月~2024年1月までの死傷者数も同程度、2024年2月~2025年1月までに見込まれる死傷者も同程度だった場合
現実的には,反転攻勢時の2023年度の死傷者が防衛戦主体だった前年度より少ないはずもなく。そして弾薬と兵士と武器で劣勢になった現在の戦いを1年続けて初年度の死傷者と同じ数字で留まるはずもなく。
不足分が50万人という試算が、むしろ控えめで最低限の数字であることが分かりますね。
逆に言うとこの50万人では戦局を大きく変えるには不足しており,ゼレンスキー大統領の求める勝利にはその数倍の数、もしかしたら10倍の死傷者が必要となるかも知れません。
33
D-day
2024年 2月 06日
返信 引用
私も同感です。50万人と言う数字は控え目なものでしょう。
そうでなければ、前線兵士の平均年齢43歳、補充新兵が50歳越えとかあり得ない。それとこういう報道はザルジニー含む前線から出ているものです。
人事にせよアメリカにも見捨てられた感が見えますしバイデンも下院をナメた案しか出していません。多分予算は通らないことを考えると損切りに入ったように見えます。
32 』
『 暇な人
2024年 2月 06日
返信 引用
一日千人、一月三万人が死傷者として除籍されてるといわれてます。
これに60歳定年やら脱走や降伏などが含まれるかわかりませんが、あらっぽい集計でも二年近くたっているのを考えると70万の死傷者などがでていなくなっていると思われます。
これを補充出来ないと今88万なのであと二年でほぼなくなります
7
MarkⅡ
2024年 2月 06日
返信 引用
>一月三万人が死傷者として除籍されてるといわれてます。
死傷者の内、死者は25%~33%と言われてるので(ウクライナ市民団体調べ)、
1ヶ月で8千~1万超亡くなってる計算になる。
死者の増加ペースで、あの朝鮮戦争すら上回ってるのは普通にヤバいんだけど、
マスコミは誰も騒がないのは闇を感じるね(朝鮮戦争は3年で30万人)
13
暇な人
2024年 2月 07日
返信 引用
30万くらいはたぶんもう死んでますね。
ウクライナの手足ない人が第一次大戦のドイツや英国並みといわれてます。
ドイツや英国は50万から100万近く戦死しました。
1 』
『 lang
2024年 2月 06日
返信 引用
逆に逃げた兵士を撃ち殺すようなロシアより犠牲者を出すような戦い方って興味ある
普通なら数十万人が短期間に死ぬような戦争とも思えないのだけれど・・・
2
MarkⅡ
2024年 2月 06日
返信 引用
ヴェルダンの戦い(1916年2月-10月)のドイツ軍が10万人程亡くなってるので
ウクライナの実態に近い物があるかと、当時のドイツが10ヶ月で攻勢頓挫する
レベルの損害を2年近く出し続けてると聞くと、まあ、50万徴兵もしたくなる
と思いますね。
4
2024年 2月 06日
返信 引用
まず大前提として、敵前逃亡なんてものはどこの国でも死刑か終身刑になる重罪です
軍法会議にかけずに現場指揮官がその場で処断する体制の問題はありますが別にロシアに限った事例ではありません
そもそも統計の上でそういう特殊例をことさら論うことに意味はなく、当然ながら死傷者の大多数は敵の撃った弾で生まれるわけです
砲兵戦で終始劣勢で機械化比率もはるかに低く包囲下での戦いを強いられ続けているとなれば当然相手の何倍も犠牲が出ますよ
11 』
『 MarkⅡ
2024年 2月 06日
返信 引用
死傷者以外にも、傭兵、義勇軍部隊が大量に除隊したのが大きいと聞きますね、
詳しい内訳は分かりませんが、ポーランドと周辺の旧ソ連構成国から結構な数が
参戦してたらしいけど、ここにきて急に除隊が増えているそうな。
反攻作戦にはあんま投入されてないし、賃金未払いなどは某日本傭兵から
度々報告されていて今更なので、何かしら政治的な意図で撤退が決まった可能性がある?
11 』
『 名無し太郎
2024年 2月 06日
返信 引用
ウクライナは追い詰められているが、ロシアも追い詰められている。ただ今のところはウクライナの方が危機的だと思うし、ここまでは楽観的になれない。
反攻作戦で失敗し、多大な犠牲を出したのが痛かった。なぜ航空支援無しの陸上戦力だけで勝てると思ったのか、これが本当に不思議だ。おそらく世界最強のアメリカ陸軍でも、出来ないことだろう。
でも、なんとかしてウクライナには勝って欲しい。また領土の完全奪還を諦めたとしても、主権と国防力だけは維持して欲しい。
それにF16が到着すれば、私は風向きが変ると思う。専門家は否定するけど、やはり欧米の戦争期の性能は侮れないはず。
ゼレンスキー大統領とザルジニー司令官の人となりと能力は、判断する材料に欠けているので分からない。だから二人の対立が、どういう影響を与えるかは、推測できない。最も現場の士気には、多大な悪影響を与えると思うけど。
ただプーチンが狂人だというのは断言できる。プーチンのこれまでの言動から、狂った歴史観に取り付かれ、その実現のためならロシア人が何十万人と死のうと、ロシアが経済制裁で破綻しようと構わないと思っている狂人としか思えない。
今の世界で、プーチンほど悪影響を生み出している人間は、他にいないだろう。ゼレンスキー大統領に関しては否定的な意見が増え始めているけど、それでもプーチンよりは数段はマシな人間だと確信できる。
2
ak
2024年 2月 06日
返信 引用
プーチンの事をどう呼ぼうとあなたの勝手ですが、彼が狂っているとは私はカケラも思いません。
彼の行動原理はロシアの大国化だというのは確かですが、それは「西側からの侵略を防ぐ為に強力な国家であることは必然だから」という事に過ぎません。
日本を含めた西側のマスコミはロシアを「悪役」にしたくて仕方が無いようですが、「ロシア視点」で考えると彼の考え方は極めて真っ当で、だからこそ国民からの支持も受けている訳で。
「力による侵略で国境線を変える事は許されない」とアメリカやEUは大声で主張していますが、
・ユーゴを侵略してコソボという国を勝手にでっち上げ
・イラク戦争でイラクのフセイン政権を滅ぼしてアメリカの傀儡政権を作り、
・シリアの内戦に首を突っ込んで未だにそこに軍隊を居座わらせ続ける
・アフガンの政権を転覆させた挙句に全てを放り出す
こんな事をしているアメリカやEUが、プーチンを「他国を力づくで侵略する悪の帝王」扱いするのは、ダブルスタンダードも甚だしい、お笑い草でしかありません。
何よりソ連崩壊後の政治経済の混乱を収支し、再び大国へと導いている過去の実績から、彼がカリスマ性に溢れる有能な指導者(ロシア人的にはとても正しい指導者の形)であるのは明白です。
21
名無し太郎
2024年 2月 06日
返信 引用
>西側からの侵略を防ぐ為に強力な国家であることは必然だから
NATOに領土的野心なんてないし、そもそも一致団結すら出来ていない。仮にNATOの脅威を感じているのなら、被害妄想も甚だしい。
それに軍事面で見れば、ロシアの大国化は失敗している。ロシアには自国内で先進国に対抗できるほどの兵器を開発する能力は無いんだ。欧米を敵に回したことで、技術革新は停滞すると思うけどね。
>「ロシア視点」で考えると彼の考え方は極めて真っ当で、
ウクライナ侵攻は例えロシアの勝利に終わってもデメリットの方が多い。自国よりも科学技術が進んでいる国と対立するのは、愚策中の愚策だよ。
メリットとデメリットを秤にかけない行為は、真っ当とは思えない。
>こんな事をしているアメリカやEUが、
どれも今回のウクライナ侵攻と比べれば、まだ正当な理由があるものばかり。比較の対象には成らないと思う。
というかアメリカの横暴って、最近になってプーチンが言い出したことだ。こんなことを真に受けるなんて、ネットに転がっている反米陰謀論に惑わされているだけじゃないの?
どうも人間には、何十万という罪なき人間を殺した独裁者を、大義のために私利私欲を捨てた高潔な人物だと美化する。その一方で、ささやかな私利私欲から些細な犯罪を犯しただけの人物を、必要以上に憎む。
そういう不可解で悍ましい側面があるように思える。
>何よりソ連崩壊後の政治経済の混乱を収支し、再び大国へと導いている過去の実績から、
それはロシアには資源があったから。偶々資源高が味方をしたため、資源国の強味を生かしただけだと思う。
仮にプーチンが日本の政治家だったら、凡庸な政策しか取れないと思うが。
』
『 名無し
2024年 2月 06日
返信 引用
今のロシア社会でもおそらく100万程度の損害までは許容できる。対してウクライナは兵士の平均年齢からもわかる通り追加動員なんかしてもまともに使える兵隊はもう望めなくなっている。西がどれほど武器だけを送ろうが、それを動かせる人員の数はたかが知れている。高度な訓練がいる戦闘機や戦車ならなおさら。にもかかわらずウクライナ人をランセットと砲弾の餌にし続けているのはなぜか。右派セクターと仲良しなザルジニーら軍部が継戦に消極的なのに、ゼレンスキーがもはや実現不可能になったノヴォロシアの再征服に固執するのはなぜなのか。
これはもうウクライナのための戦いじゃない。
5 』