【随時更新】米軍が報復で空爆開始 イランの精鋭部隊施設など

【随時更新】米軍が報復で空爆開始 イランの精鋭部隊施設など
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240203/k10014346001000.html

『2024年2月3日 11時25分

アメリカ軍は、中東のヨルダンで軍の拠点が攻撃され、兵士3人が死亡したことに対する報復措置として、イラクとシリアの領内にある、イランの軍事精鋭部隊の関連施設などに空爆を行ったと発表しました。

アメリカ政府高官は「攻撃は成功した」とする一方、イランとの衝突は望まないと強調しました。

目次

“シリア東部で複数の空爆 戦闘員13人死亡”の情報

バイデン大統領「米国民に危害加えれば われわれは対応する」

アメリカ中央軍は、現地時間の2日夜、イラクとシリアの領内で活動するイラン革命防衛隊の「コッズ部隊」やそれに関係する武装組織に対し空爆を行ったと日本時間の3日朝に発表しました。

今回の攻撃について、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は2日、記者団に対し、先月28日、中東のヨルダンでアメリカ軍の拠点が攻撃され、兵士3人が死亡したことへの報復措置だと説明したうえで「攻撃は、イラクとシリアの合わせて7か所に向けて行われ、標的は、武装組織の指揮所やミサイル、それに無人機の関連施設など85に上る」と述べました。

カービー調整官によりますと、攻撃はおよそ30分続き、精密誘導弾が125発以上使用されたほか、作戦にはアメリカ本土から飛び立ったB1爆撃機も参加したということです。

カービー調整官は「初期段階の評価では攻撃は成功した」としたうえで「報復措置は今夜始まったが、今夜、終わるわけではない」と述べ、攻撃は一定期間続くとの考えを示しました。

一方で「アメリカはイランとの衝突も、中東での衝突の拡大も望んでいない」と強調しました。

また、このタイミングで報復措置に踏み切った理由について、アメリカ軍の幹部は視界を確保しより精密な攻撃ができるよう、天候が大きな要因だったと説明しました。

“シリア東部で複数の空爆 戦闘員13人死亡”の情報

中東シリアの情報を集めているシリア人権監視団によりますと、2日、イラクと国境を接するシリア東部デリゾール県で、複数の空爆が行われたということです。

この地域にはアメリカやイスラエルと敵対するイランの支援を受ける民兵組織が活動していて、今回の空爆でこれまでに民兵組織の拠点など17か所が攻撃を受け、戦闘員13人が死亡したということです。

バイデン大統領「米国民に危害加えれば われわれは対応する」

アメリカのバイデン大統領は2日、声明を発表し「私の指示により、アメリカ軍は、イランの革命防衛隊と、関連する武装組織が使用するイラクとシリアにある施設を攻撃した。われわれが選ぶタイミングと場所で、攻撃は続く」として、報復措置を断続的に続けるという考えを示しました。

その上で「アメリカは中東などで紛争を望んではいない。しかし、アメリカ国民に危害を加えれば、われわれは対応する」と警告しました。

バイデン大統領 死亡した兵士3人の到着に立ち会う

アメリカによる報復措置を前にバイデン大統領は2日、東部デラウェア州の空軍基地で、先月28日にヨルダンで無人機攻撃によって死亡したアメリカ人兵士3人の遺体の到着に立ち会いました。

バイデン大統領はオースティン国防長官らとともに星条旗がかけられた棺が運ばれる様子を見守っていました。

イラク軍報道官「米空爆は主権の侵害 イラクや周辺地域の脅威」

イラクの地元メディアは3日、治安関係者の話として、「イラク西部での空爆によりこれまでに2人が死亡、5人がけがをした」と伝えています。

一方、イラク軍の報道官はシリア国境沿いのイラク西部の町カイムでアメリカ軍の攻撃があったことを認めた上で「空爆はイラクの主権の侵害であり、イラクや周辺地域を予期せぬ結果に引きずりこむ脅威であり、悲惨な結果をもたらすだろう」とする声明を発表し、アメリカを非難しました。

イラクとシリアの民兵組織とは

ガザ地区で去年10月に、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が始まって以降、イラクとシリアでは駐留するアメリカ軍の部隊に対し、無人機やロケット弾による攻撃が相次いでいます。

こうした攻撃についてはイランの支援を受ける「イラクのイスラム抵抗運動」と名乗るグループが犯行声明を出し、イスラエルへの軍事支援を続けるアメリカへの反発を示してきました。

このグループは、先月28日、ヨルダンにあるアメリカ軍の拠点で兵士3人が死亡した攻撃に関与した可能性があると指摘される「カタイブ・ヒズボラ」など、複数の親イランの民兵組織で構成されているとみられています。

こうした民兵組織は、イラクで2014年、過激派組織IS=イスラミックステートが台頭した際、政府軍に代わってISと対じし、存在感を示しました。

そして、ISが衰退したあとも、いわば「イランの代理勢力」として、影響力を保持し、イラクに駐留するアメリカ軍と対立してきました。

【解説動画】米軍“報復攻撃”の背景は

今回のアメリカ軍による攻撃の背景と、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突に与える影響について、国際部の戸川デスクの解説です。

【動画:4分12秒】※3日午前7時のニュースで放送しました

Q. 今後、攻撃の応酬がエスカレートするおそれは?

その可能性含め、今後の情勢を見ていく必要がありそうです。

アメリカのオースティン国防長官は1日「われわれの対応は重層的なものになる」と述べ、攻撃が一定期間続くことを明らかにしています。

つまり、今回の攻撃だけで終わらない可能性があるということです。

ただ、アメリカ側はこの地域で緊張が高まることは避けたいという考えです。

今回、攻撃があった場所、これまでの情報だと、イラクとシリアの領内、つまり、イラン領内は含まれていません。

アメリカもイランとの直接的な緊張の高まりは避けたい考えです。

そのイランは、ヨルダンでの攻撃について関与を否定しています。

その上で、地域で緊張が高まっている責任は、ガザ地区への軍事作戦を続けるイスラエルや、支援するアメリカ側にある、とする考えを示しています。

中東各地では、イランが支援する「抵抗の枢軸」と呼ばれる武装組織のネットワークが、イスラエルやアメリカへの対決姿勢を掲げています。

▽パレスチナの「ハマス」や、▽レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」、
▽紅海で船舶への攻撃を繰り返している、イエメンの反政府勢力フーシ派、そして、
▽イラクやシリアの親イランの民兵組織です。

アメリカもイランも、ともに緊張の高まりは望んでいないとしても、こうした勢力が独自の判断でイスラエルやアメリカへの攻撃を拡大させるおそれもあり、報復の応酬によって、中東の情勢がいっそう不安定化する懸念があります。

Q. イスラエルとハマス 停戦交渉に与える影響は?

イスラエルとハマスの間の戦闘休止と人質の解放に向けた交渉が進んでいます。

その交渉ですが、ハマスがイスラエル側から提案を受け取ったことを明らかにしていて、条件面など慎重に検討を重ねているものとみられます。

そうしたなかで、アメリカの報復措置がありました。

次に親イランの民兵組織やイランがどのような反応を示すのか、注視の必要があります。
報復の応酬が続けば、中東の情勢がさらに不安定になり、結果として、交渉にも影響を与える可能性もあります。

交渉を仲介するカタールのムハンマド首相は「私たちの行っている努力が損なわれ、これまでのプロセスを危うくすることがないよう願っている。状況に歯止めがかかることを望む」と述べていました。

アメリカのブリンケン国務長官が4日から中東を訪問し、イスラエルやカタールなどを訪問する予定です。

人質の解放と戦闘休止の交渉を進展させつつ、紛争の拡大を防ぐことができるか、そこも焦点となっています。 』