米議会公聴会、メタCEOが謝罪 SNSの若者被害巡り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN31E830R30C24A1000000/
『【シリコンバレー=山田遼太郎】米連邦議会上院の司法委員会は31日、メタなど米SNS大手5社の最高経営責任者(CEO)を呼んで公聴会を開いた。議員は運営企業が有害なコンテンツから若年層の利用者を守っていないと強く批判した。各社は子どもが使える機能の制限や投稿を監視する人員の増加といった対策の説明に追われた。メタのマーク・ザッカーバーグ氏が謝罪に追い込まれる場面もあった。
ザッカーバーグ氏のほか、X…
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『31日の公聴会では「各社は安全より利益を優先し、子どもを危険にさらしている」(民主党のダービン議員)と批判が相次いだ。SNSが自殺などを助長したとの報告を踏まえ、共和党のグラム議員は「あなたたちの手は血で汚れ、製品が人々を殺している」と語気を強めた。
議員らは犯罪者が若者をだまして性的な画像などを送らせる事案が増えていると指摘。有害なコンテンツの削除件数や、各社の監視体制が不十分だと非難した。
特にザッカーバーグ氏に非難の集中砲火を浴びせた。
ホーリー議員(共和)は「あなたは犠牲者に自社がしたことの償いをしたのか。いま謝罪したらどうか」と責め立てた。ザッカーバーグ氏は自社が対策を強めていると説明していたが、ホーリー氏に強い調子で迫られると、立ち上がって被害者の家族らに向き合い「あなたたちが経験したことを申し訳なく思う」と述べた。
メタのザッカーバーグCEO(前列右、背中を向けている男性)はSNSで被害を受けた子供らの家族に向き合い、会場で謝罪した=ロイター
クルーズ議員(共和)も「いったい何を考えているのか」とザッカーバーグ氏を追及した。メタが同社のアプリで、子どもに関する不適切な画像の可能性があると警告しつつ「それでも結果を見る」との選択肢を示していたと指摘した。
中国・字節跳動(バイトダンス)傘下のTikTokには中国政府との関係をただす質問も相次いだ。周氏は「米国の利用者データを中国政府に求められたことはなく、提供もしていない」と述べた。米国の利用者は1億7000万人に増えたという。
各社は対策を拡充していると訴えた。メタはこのほどインスタグラムで16歳(一部地域は18歳)未満の利用者が知人以外からメッセージを受信できないよう初期設定を変更したほか、保護者が子どもの利用時間やフォローする相手を確認する機能を設けていると説明した。
Xのヤッカリーノ氏は米南部テキサス州に投稿の監視や削除を担う拠点を新設し、人員の採用を進めると述べた。TikTokの周氏は24年にサービスの安全性向上などに「20億ドル(約2900億円)以上を投じ、多くを米国事業に使う」と表明した。
スナップは画像共有アプリ「スナップチャット」を手がけ、動画共有アプリのTikTokなどと並び若い世代の利用が多い。ディスコードはゲーム利用者ら向けに、音声を中心としたSNSを提供する。
これらのサービスは友人らとの交流を便利にする一方、プライバシー侵害や依存症といった弊害の指摘が増えた。投稿や利用者間のやりとりがきっかけで若者が自傷行為に至る例もあり、SNS企業が十分な手立てを講じていないとの声が米国で強まっている。』