インドネシアの首都移転、選挙控え民間にもためらい
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB317CW0R30C24A1000000/
『インドネシアの首都をジャカルタからカリマンタン(ボルネオ)島のヌサンタラ新都市に移転するという野心的な計画が、重大な岐路に差し掛かっている。ジョコ大統領が退任を控え、企業が投資を様子見する動きもある。
ボルネオ島のジャングルに、翼の生えた鳥の形をした大きなクロームメッキとガラス張りのビルがそびえ立っている。インドネシアの民話に登場する伝説のワシ、ガルーダを連想させる。
ここは2年前まで広大なユー…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『2019年に開始された新首都への移転計画は、ジャカルタの混雑と環境問題を緩和することを目的とし、290億ドル(約4兆2500億円)の費用が見込まれる。南部のジャワ島・ジャカルタに対し、インドネシアの群島の中では中央部に位置するボルネオ島の新首都は、ジャワ中心の経済発展から脱却し、他の群島の開発に寄与すると期待されている。昨年10月の世論調査では回答者の6割が計画を支持した。
しかしジョコ大統領の任期が終わりに近づくにつれ、計画には不透明感が増している。ジョコ氏の後継者と目される主要3候補のうち2候補は首都移転を支持しているものの、その実現にどの程度尽力するのかは予測が難しい。
政府は総費用の20%を融資し、残りの80%を企業など民間の投資に頼る計画だ。だが資金調達の勢いは鈍っており、外国人投資家たちは様子見の姿勢を取っている。現時点で民間企業の出資は必要額のごく一部にとどまる。』
『インドネシア政府によると、昨年12月の時点で、ヌサンタラの首都建設計画は5つの段階のうち、最初の段階が62%完了した。今夏には多くの政府省庁が事務所を開設し、7〜11月にかけて約3000人の公務員をヌサンタラに転勤させる予定だ。同市の人口は今年末までに6万人に増え、2040年には200万人に達するという。』
『ジャカルタのあるジャワ島は工業・サービス業が根付いているが、新首都のボルネオ島には林業、農業、鉱業が多い。ヌサンタラが首都に必要な機能をすぐ整備できるのか、専門家からは懸念の声が出ている。
在インドネシアのある外交関係者は「首都移転はビジネスチャンスだが、歴史的に移転が成功した例はほとんどない」と話した。』
『ある専門家によると、大統領選挙で仮に移転推進派が勝利したとしてもヌサンタラへの首都移転はコストがかかりすぎるため、外国からの投資を十分に呼び込むことができない場合、中止される可能性がある。次期大統領が移転に踏み切ったとしても、予算配分が変更されるか、あるいは計画が縮小される可能性があるという。』
『インドネシア政府は外国投資の呼び込みに躍起だ。ジョコ氏は昨年、フランスのマクロン大統領や中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に対して首都移転計画への投資を加速させるよう要請した。
ただ、具体的な支援を引き出すには時間がかかる。昨年12月に東京で開催された投資フォーラムで、日本の国際協力銀行(JBIC)担当者は「プロジェクトがあまりに壮大であるため、どこから着手し、何を優先すべきかがわかりにくい」と話した。「教育や再生可能エネルギーの分野では、優先順位が明確に定義されていない」という。』