米兵殺害、大統領が報復宣言 「イランと戦争は望まず」

米兵殺害、大統領が報復宣言 「イランと戦争は望まず」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN29C410Z20C24A1000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は親イラン勢力による米兵3人の殺害に対する報復の具体的な検討に入った。イランとの直接対峙を含む戦火の拡大を避けながら、米世論が納得する対抗策をとれるのか。米国の中東戦略は剣が峰に立たされている。

シリア国境に近いヨルダン北東部の米軍拠点が28日に無人機の攻撃を受け、米兵3人が死亡、40人以上が負傷した。イスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃した2023年…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』

『バイデン氏は28日、親イラン組織の犯行だと断定し「反撃する」と明言した。米国防総省のシン副報道官は29日の記者会見で、イラクの親イラン勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」が関与した痕跡があると明かした。

米主要メディアは29日、米軍の無人機が帰還するのと同じタイミングで敵の無人機が接近したため迎撃できなかったと報じた。シン氏は事実関係を調査していると述べるにとどめた。

ブリンケン米国務長官は記者会見で報復について「段階的、長期的なものになるだろう」と説明した。』

『米国防総省によると、昨秋の中東緊迫後だけで親イラン勢力による米軍への攻撃は29日までに160件超あった。28日にヨルダンで起きた以外はイラクとシリアが対象になった。これまでは紛争が広がるのを懸念する米国は自制的な対応に努めてきた。

防空システムでの迎撃に成功したり被害が小さかったりすれば、原則として強力な対抗措置をとらなかった。紅海周辺で米軍や民間船舶を狙ったイエメンの親イラン武装組織フーシによる攻撃などに対しても、武器庫やインフラに絞った攻撃にとどめた。

28日の無人機による攻撃は米兵の殺害という「レッドライン」を越えた。米野党・共和党からは「(バイデン氏に)イラン国内の重要な標的を攻撃するよう要求する」(リンゼー・グラム上院議員)との強硬論が出始めた。』

『米国が敵対するイランと直接戦火を交えれば、中東の緊張が一段と高まる。対応次第では報復の連鎖に歯止めが利かず紛争に引きずり込まれるおそれもあり、目標とする地域の安定は一段と遠のく。

半面、バイデン氏の判断が「弱腰」と映れば、再選をめざす11月の大統領選に響くリスクもある。国際社会は中東情勢の行方を左右しかねない米国の決断を注視している。』