AI音声でバイデン氏なりすまし ニセ電話で選挙かく乱か

AI音声でバイデン氏なりすまし ニセ電話で選挙かく乱か
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『【ワシントン=赤木俊介】米大統領選を巡って人工知能(AI)を使った不当な介入が表面化してきた。東部ニューハンプシャー州の司法長官室は22日、バイデン米大統領になりすまして予備選への投票を控えるよう呼び掛ける悪質な電話が確認されたと発表した。何者かがAIを利用し予備選に介入したとして、州司法省の選挙法部門が捜査を開始した。

同州では23日に共和・民主両党が大統領選の予備選を実施する。司法長官室によると、21日までに「11月の本選と違い、予備選に投じられる票に意味はない」といった内容の電話が同州で相次いで確認された。

音声はバイデン氏本人の声に聞こえるものの、初期分析の結果、「AIによって生成されたことを示す痕跡を確認した」と司法長官室は説明する。電話番号も偽装され、同州でバイデン氏を支持する政治団体の関係者を装ったという。

バイデン氏への投票を妨害する意図があったとみられる。今回、同州は州法に定められているとして、民主党全国委員会の意向に反する形で予備選を実施した。その影響で投票用紙に候補としてバイデン氏の名前は記載されないものの、有権者は「バイデン」と書いて投票することが可能だ。

民主党全国委員会が公認する予備選は2月3日、南部サウスカロライナ州で開幕する予定だ。

ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は22日の会見で「電話はフェイクであり、大統領の声ではない」と述べ、先端技術によって簡単に生成できるようになった偽画像や誤情報の危険性を強調した。

こうした懸念を受け、AIの利用を制限する動きも広がる。対話型AI、Chat(チャット)GPTを開発する米オープンAIは選挙活動の目的で自社が開発するAI技術を利用することを禁止している。

20日には民主党の候補者指名争いに名乗りを上げたディーン・フィリップス下院議員を支持する政治団体がネット上で公開した対話型AIを巡り、作成に当たったAI新興企業によるオープンAIの技術の利用を同社が禁止したと米紙ワシントン・ポストが報じた。

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