イスラエル軍、1日最多の24人死亡 休戦交渉に後退懸念

イスラエル軍、1日最多の24人死亡 休戦交渉に後退懸念
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『【フランクフルト=林英樹】イスラエル軍は23日、イスラム組織ハマスとの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザで兵士24人が死亡したと発表した。昨年10月の侵攻以降、1日あたりの兵士の死者数で最多だった。イスラエルは戦闘休止に向けて交渉に前向きな姿勢をみせていたが、世論が変化すれば交渉の機運が後退する可能性もある。

ガザ中部で22日夕、ハマスの戦闘員がイスラエル軍の戦車にロケット弾を発射した。近くの建物2棟が爆発し、予備兵21人らが死亡した。建物内に設置した軍の地雷が爆発した可能性もあるという。ガザ南部では別の攻撃で将校3人が死亡した。

ネタニヤフ首相は23日「我々は最も厳しい日のひとつを経験した」と述べたうえで「英雄の名において完全に勝利するまで絶対に戦いを止めない」と改めて戦闘継続の意思を示した。

米メディアなどによると、イスラエルはこの間、仲介するカタールやエジプトを通じ、人質全員の解放と引き換えに最長2カ月の戦闘休止を提案したとされる。

戦闘の長期化や人質帰還の遅れから揺らぐ世論に配慮したとみられるが、イスラエルのレビ報道官は23日「ガザに人質を残し、ハマスの権力と軍事が温存されるような戦闘休止はあり得ない」と述べ、いかなる譲歩にも応じない考えを示した。

ガザの保健当局は23日、10月の侵攻以降、累計の死亡者が2万5490人に達したと発表した。連日、百人単位で増えている。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官はイスラエルの自衛権を認めたうえで「病院にいる無実の人々を可能な限り守る国際法上の義務もある」と注文をつけた。

一方、イエメンの親イラン武装組織フーシに対する22日の米英軍による攻撃について、英国のスナク首相は「すべての標的が破壊されたのを確認した」と成果を強調。直接的な攻撃に加え、数日以内にフーシへの資金支援を対象とした経済制裁を発表すると明らかにした。

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